「ハーブ&ドロシー」続編の佐々木芽生監督 夫妻との出会いは「人生を180度変えてしまった」
2013年4月1日 15:29
[映画.com ニュース] ニューヨークの現代アート収集家夫婦を追ったドキュメンタリーの続編「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」が公開中だ。前作に続き、夫妻のコレクションとアートとのかかわりを追うが、今作はふたりの愛の軌跡も映し出している。佐々木芽生監督に話を聞いた。
元郵便局員のハーブと図書館司書のドロシー夫妻は、自分たちの給料で買える値段で、自宅アパートに収まるサイズであることを条件に、アート作品の収集を続けてきた。4000点の作品を国立美術館に寄贈したふたりは、そこで収蔵しきれなかった作品を全米50州の美術館に50点ずつ寄贈するという一大プロジェクトを計画する。
コレクションを受け取った全米各地の美術館、夫妻と交流を持ったアーティストへの取材を敢行した。夫妻のアートへの向き合い方を、登場人物一人ひとりが語るインタビューが実に興味深い。人選の決め手は「美術館の知名度や規模には関係なく、わかりやすく、シンプルな言葉でふたりをストレートに語ってくれる人たち」という。
第1作撮影前から、夫妻と家族のような信頼関係を築き上げてきた。ハーブの死が近づき、夫婦の別れも作品に盛り込むことになった。「テーマは愛する人の死ではなくアートなので、ハーブがもし亡くなっても今まで作ってきた映画の構成は変えないようにしようと思っていたのです。でも、やはりハーブが亡くなったことは大きく、1回リセットして構成を変えました」と明かす。
夫妻との出会いは「私の人生を180度変えてしまった」ほど大きなものだった。そして、「自分は誰で、何がしたくて、この人生をどういう風に生きるべきかということを、すごく考えさせられた。あと、人の幸せって、何なんだろうと。お金や職業や、社会的地位ということではなくて、自分のパッションを見つけることなのかなと。そういう意味では、映画製作は自分のパッションになっているので、ふたりには深く感謝しています」と述懐する。
今作はインターネット上で製作費を集めるクラウドファンディングを利用し、915人から、日本最高金額となる1460万円の支援を受けた。「集めるところまでは、簡単とは言えませんががんばればできるのです。しかしその後にその映画がちゃんと完成するのか、そして完成した後に作品のレベルが低ければ支援者から不満が出てくるでしょうから、そこが本当にチャレンジでした」と完成までの苦労を振り返る。
夫妻の情熱と愛情、そしてふたりに対する佐々木監督のあたたかな眼差しが、数々のアート作品と共に映し出され、本作に触れた誰もが胸を熱くすることだろう。これから映画を見る人にメッセージを寄せてくれた。「現代アートのコレクターの話ですが、決してアートに特化しているのではなく、人の生き方を問う作品。しかも、ごく普通の人がコツコツと自分のパッションをかけていった時に、成し遂げた偉業を映しています。そして、ふたりの情熱と愛に触れてほしいのです。そこにはハリウッドの劇映画にはない発見があると思います」
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