「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」開催 仏気鋭女性監督に聞く
2013年3月28日 16:00

[映画.com ニュース]フランス気鋭女性監督3人の新作を集めた特集上映「フレンチ・フィーメイル・ ニューウェーブ」が渋谷シアターイメージフォーラムで3月30日から開催される。恋愛、キャリア、妊娠、家族……女性が経験する身近なテーマから、それぞれの登場人物の心のひだを丁寧にすくい取った珠玉の3作品を紹介する。来日したエリーズ・ジラール監督に話を聞いた。
公開作品は、ジラール監督が「私たちの宣戦布告」のバレリー・ドンゼッリ、ジェレミー・エルカイムを迎えて、子どもを授かったカップルのすれ違いを描いた「ベルヴィル・トーキョー」、ミア・ハンセン=ラブ監督自身の10代の初恋をモチーフにした「グッバイ・ファーストラブ」、ジュリー・デルピーが監督、脚本、出演を兼ね、1970年代を舞台にした、個性豊かな大家族の群像劇「スカイラブ」の3本。
ジラール監督は、女優を経験したのちパリの老舗映画館に勤務し広報を担当。その後ドキュメンタリー作品2本を発表し、今作「ベルヴィル・トーキョー」が初の劇映画となる。登場人物は父親になることを受け入れられない夫と、妊娠期間をシングルで過ごすことになり情緒不安定になる妻。ジラール監督の実体験が基になっている。
「夫は私の妊娠中に私のもとを去りましたが、映画好きの私は妊娠しているカップルの別離を描いた映画はこれまで1本も作られていないと気付いたのです。実生活の中でも私と同様の経験をした女性はたくさんいるのに、それを恥だと思うのか、あまりそれを口にせずタブーのようなところがある。だから、私がこのテーマで撮るべきだと思ったのです」と作品の着想を明かす。

フランスの観客から多くの共感を得られたが、女性の視点からすれば身勝手ともとれる夫の振る舞いを描いたことで、監督に対し怒りをあらわにする男性もいたという。「女性は妊娠したら体から漸次的に母親になっていきますが、男性は身体は変わらないので、なかなかそれを受け入れられない、父親になるということは簡単ではなく複雑なものがあるということを共有したのだと思います」
フランスは日本よりも女性監督の数は多いが、やはり権力を持って決断するのは男性で、女性が活躍できる場の数はまだ限られていると感じている。「でも私は、女性だから無理だとか自分で制限を設けることはしてはいけません。女性であろうが、やるべきことはやるという態度で仕事をしなければと思っています。女性と話をして気がつくのは、多くの女性が自分で自己検閲をしているということ。女性には社会的、文化的、そして家族の中でと様々なプレッシャーがのしかかってくるので自分で無理だ、と決めてしまう人が多いと思うのです。自分で自分を制限しないという自分自身の問題を解決しないと、男性との関係の戦いの段階にも入れないのです」と力強く語る。
繊細な心理描写の巧みさはもちろん、つらい経験も自らの糧にして成長していく女性のたくましさを感じられるジラール監督の作品をはじめ、3作品ともに女性監督ならではの視点で紡がれた物語を楽しめるラインナップ。パリや地方都市の美しい風景や登場人物のファッションも見逃せない。
「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」は3月30日から渋谷シアター・イメージフォーラムで開催、その後全国順次公開。
(C)Paolo Woods
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