インドメジャー作品で唯一の女性監督が来日「監督業はジェンダーレス」
2013年3月16日 12:00

[映画.com ニュース]2007年に本国公開し、当時最高の興行収入4000万ドル(約32億円)という大ヒットをおさめたインド映画「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」が、3月16日から日本公開される。インドメジャー映画界で大成功をおさめた唯一の女性監督、ファラ・カーン監督がこのほど来日した。
ボリウッドを代表するスターのシャー・ルク・カーン主演、映画業界を舞台に輪廻転生をテーマにしたラブストーリーが、ゴージャスな歌曲やダンスシーンと共に繰り広げられるマサラムービー。ヒロインに抜てきされた新人女優ディーピカー・パードゥコーンの神々しいまでの美しさも、観客の目を楽しませてくれる。
カーン監督の父親がB級映画の監督だったこともあり、おのずと自身も映画の道に進むことを志し、助監督からキャリアをスタートさせた。インド映画でもっとも重要視されると言っても過言ではないダンスシーンの振付を代役で担当したことから、その才能が高く評価され、舞踏監督を経て2004年に映画監督デビューした。
振付師時代から付き合いのあるシャー・ルク・カーンをデビュー作「僕がいるから」で起用して成功を収め、第2作である本作の製作費は当時600万ドル(約5億円)をかけた。日本に比べて物価が安いということを考慮しても、インド映画としては大作の部類に入るだろう。
「今作ったとしたら1000万ドル程度かかるでしょうか。男性監督だったらもっとかかったかもしれませんが、女性なのでお財布のひもが固いのです(笑)。使うところにはきちんと使って、無駄遣いはしないというのがポリシーです」という。70年代の映画スタジオを復元するために、大がかりなセットをボリウッドの撮影所ムンバイ・フィルムシティに一から作って撮影した。

本作はインドの伝統的な文化と現代的なものがミックスされており、登場人物の衣装、鮮やかな色使い、遊び心のあるエンドクレジットなど、作品の本筋やダンス以外でもカーン監督の才能が全編にちりばめられている。そのインスピレーションの源となったのは70年代カルチャーだ。「70年代の映画が大好きで、それが自分の中で今も大きく生きています。衣装やヘアスタイル、使われている車も当時の大スターの車を使ったりと、その頃の文化が創造の源になっていると思います」
このような大規模の娯楽作品を手がける女性監督は、日本はもとより世界的に見ても数多くはいないだろう。女性であることで苦労した経験があるかと問うと「ノー!」ときっぱり。そしてこう続ける。「女性だからこそ、男性にはできないことができるでしょう。監督という職業がジェンダーレス。男女というよりも、その人がどんな人間かが重要なのです」
本作公開直後に3つ子を出産し、現在は母親としての顔も持つ。「女性は一度にいろんなことをこなすのが得意だと思うのです。子どもがいるので、4日以上家を空けることはできないし、それ以上かかることがあったら子どもを連れて現場に行きます。映画を作ることに関しても、この作品の後、次の作品をつくるまでに1年の休みをとりました。シッターさんに預けるのであれば子どもをもうけた意味がないと思うのです。その一方で、女性は職業を持つべきで、その仕事で満足感を得て人生が満たされるということも重要だと思います。要はバランスですね。私は社交的なお付き合いはしないので、仕事が終わったら、すぐに帰って子どもと過ごすようにしています」と仕事と家庭を両立させる秘けつを語る。カーン監督のパワフルな生き方は、女性から大きな共感を呼びそうだ。
ラブロマンス、ミステリー、映画へのオマージュ、そしてダンスシーンが万華鏡のように次々と繰り出される、きらびやかなボリウッドエンタテインメントを是非大スクリーンで体感してほしい。「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」は、3月16日から渋谷シネマライズほか全国順次公開。
(C)Eros International Ltd
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