グラミー授賞式を待たず 伝説のシタール奏者ラビ・シャンカールさん逝く
2012年12月12日 17:00
[映画.com ニュース] インドの民族楽器シタールの“伝説の奏者”とうたわれる、ラビ・シャンカールさんが12月11日、米カリフォルニア州サンディエゴの病院で死去した。92歳だった。シャンカールさんは呼吸器と心臓を患っており、心臓弁置換手術を行ったばかりだった。
シャンカールさんは、兄ウダイ・シャンカールが主宰する舞踏団のダンサーとして、欧米諸国で活動。その後、祖国インドでシタールの奏法を習得し、政府の文化使節のリーダーとして世界を飛び回った。60年代にはモントレー・ポップ・フェスティバル、ウッドストック・フェスティバルなど野外フェスティバルにも出演。バイオリニストのユーディ・メニューインらと共演するなど、ロックやジャズなどジャンルを超え、多くのアーティストに影響を与え続けてきた。日本でも、第9回高松宮殿下記念世界文化賞音楽部門を受賞するなど親しまれている。
多くの映画音楽も手がけており、第9回カンヌ映画祭特別賞受賞作「大地のうた」(55/サタジット・レイ監督)、SF小説「アルジャーノンに花束を」を映画化した「まごころを君に」(68/ラルフ・ネルソン監督)、ベン・キングズレー主演作「ガンジー」(82/リチャード・アッテンボロー監督)などを担当した。
元ロックバンド「ビートルズ」のギタリスト、故ジョージ・ハリスンさんの“シタールの師”としても知られ、自伝的作品「ラヴィ・シャンカール わが魂の詩・ラーガ」(71/ハワード・ワース監督)で共演。71年に、ハリスンさんの呼びかけで実現したチャリティコンサート「バングラデシュ難民救済コンサート」にも参加し、同公演を収録したライブアルバム「バングラデシュ・コンサート」で、第15回グラミー賞最優秀アルバム賞を受賞した。
12月6日に行われた第55回グラミー賞ノミネート発表では、新作「The Living Room Sessions Part 1」がベスト・ワールド・ミュージック・アルバム部門に名を連ね、シタール奏者で娘のアヌーシュカ・シャンカール(「Traveller」)との“親子ノミネート”が話題になっていた。ジャズ歌手で娘のノラ・ジョーンズは、第45回グラミー賞8部門に輝いている。
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