西川美和監督、山本容子氏らをうならせた28歳の仏女性監督デビュー作が公開
2012年12月7日 15:00
[映画.com ニュース] 大女優カトリーヌ・ドヌーブがその才能を絶賛した、フランス映画界の新星レア・フェネール監督の長編デビュー作「愛について、ある土曜日の面会室」が、12月15日に公開される。日本でも西川美和監督をはじめ表現者として活躍する女性たちが、28歳でルイ・デリュック賞新人監督賞を受賞したフェネール監督の手腕に感服している。
マルセイユを舞台に、移民や貧困など現代フランス社会の一面を映しながら、刑務所の面会室へと向かう3人の心の軌跡と愛を、繊細かつ力強く描いた群像劇。フェネール監督自身が経験した刑務所の面会人へのボランティア体験から着想を得て、脚本を執筆した。
同じ女性監督であり、人間心理の奥深くを描きあげる力に定評のある西川美和監督をして「デビュー戦にしてこの手綱の引き様。しかしこの監督はそれを誇示することに興味なんかないんだろう。人生、生活、関係性、それらに対する探求心と情熱がほとばしる。人を見つめるために生まれてきたような人だと思う」と言わしめる。
版画家の山本容子氏は、「未熟。音信不通。怠け者。自己中心的。顔面は幾通りもの心の変化を表現する。その表情を静かに見つめるレア・フェネールは、最高の画家だ。見あきることのない一枚の絵が描かれた」と、最大の賛辞を送っている。
「3年B組金八先生」やNHK大河ドラマ「徳川家康」などを手がけた脚本家の小山内美江子氏も「人は、人を愛さずにはいられない。どれほど辛くても、どれほどかなしくても。愛する人がいる限り、人は生きていくでしょう」と深い共感を語る。
国内の映画評論家からは社会の弱者に光をあてるダルデンヌ兄弟、緊迫した状況の人間心理に迫るジャック・オーディアール、愛と運命に導かれる人々を優しく見守るクシシュトフ・キエシロフスキーのようとの声があがり、弱冠28歳にして名立たる監督を彷彿とさせる完成度の高い作品をつくりあげた。世界の名匠に続く、新しい才能をぜひスクリーンで堪能してほしい。
「愛について、ある土曜日の面会室」は12月15日シネスイッチ銀座ほか全国で公開。