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高橋泉監督、最新作を語る「そんな君にも居場所があるよ」

2012年11月28日 14:00

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「あたしは世界なんかじゃないから」高橋泉監督とキャスト陣
「あたしは世界なんかじゃないから」高橋泉監督とキャスト陣

[映画.com ニュース] 「ある朝スウプは」の高橋泉監督最新作「あたしは世界なんかじゃないから」が11月27日、東京・有楽町で開催中の第13回東京フィルメックスのコンペティション部門で上映され、高橋監督ほか、廣末哲万、新恵みどり、並木愛枝高根沢光らキャスト8人が舞台挨拶に立った。

前作「むすんでひらいて」もフィルメックスのコンペティションで上映された、気鋭の高橋監督による群像劇。保険セールスマンの黒川(廣末)は恋人(新恵)に怪しげな撮影のバイトを持ちかけられるが、それはいじめられていた女性の凄惨な復しゅうを記録するというものだった。

廣末は「この時間だけは、よその世界だけはどうでもいい。皆さんとこの時間を共有できていることが何よりも幸せ」と感無量の面持ち。高根沢は、「みんなで思いを込めて丁寧に作った爆弾。たくさんの人たちとともに点火できることをうれしく思う。母ちゃん、俺やったぞー!」と雄叫びを上げ、喜びを爆発させていた。

上映後、観客とのQ&Aセッションに出席した高橋監督は、「9年前くらい前にネットで中学生の時の友だちの名前を検索していたら、『2ちゃんねる』のいじめ掲示板にヒットした。そこには僕の名前もあって、彼は僕のことを15年くらい恨んでいた。僕は特定の誰かをいじめた覚えはないけど、悪いなと思いつつ、『そんなところでやってないでこの劇場にナイフ持ってきちゃえよ』くらいに思った。そのことで何個か本を書いてみたけどうまくいかず、去年やっと書き上げた」と製作経緯を明かす。代表作「ある朝スウプは」からの心境の変化を聞かれると、「あの先を自分の頭の中では想像していた。だけど、そこで描いていた先までも映し出していきたいという気持ちが強くある。つばを飛ばし合って話さないと、何も伝わらないということを伝えたいと思って映画をつくっている」と語った。

また、東日本大震災を扱う映画が増えていることに関しては、「その裏側にスポットを当ててあげなかったら誰が当てるんだと。震災を扱うことは大切だけど、僕は自分の近くにいる誰かを思うことを選択する」と胸中を吐露。さらに「僕が生きづらいからというのもあるけど、『そんな君にも居場所があるよ』という映画をつくりたかった。救うことはできないけど、そういう存在があるということを伝えることはできる」と力強く語った。

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