倉本聰、司会者を一喝 仲代達矢は高杉真宙に太鼓判
2011年11月21日 18:24
[映画.com ニュース] 「北の国からの」の脚本家・倉本聰がカナダのロッキー山脈を舞台に描き上げたドラマで、2012年の元日にWOWOW開局20周年を記念して放送される「學」の制作発表会見が11月21日、東京・赤坂の在日カナダ大使館で開催。倉本をはじめ仲代達矢、高杉真宙、八千草薫、雨宮望監督が出席した。
倉本が1992年に執筆した幻の脚本が、約20年の時を経て映像化される。誤って少女を死に至らしめたことで心を閉ざし少年が、祖父に連れ出されたカナダの山で自然と向き合い、生きる意味を取り戻していく姿を描く。
倉本は本作について、これまで2度ほど映像化に向けた動きがあったものの、いずれも実現に至らなかったと告白。「改めて取り出してみると、いまの時代に合ってきちゃったのかなと思う」と複雑そうな表情。執筆当時を振り返り、「『北の国から』のネガティブバージョンとして違った視点で若者たちを描きたかった。ちょうどそのころ、コンピュータが入り込んできて、子どもが自然から離れていった。若者がどんどん崩壊していくような気がしてそれを書きたかった」と作品に込めた思いを語った。
仲代は、「何でこんな素敵な作品が20年も放送されなかったのか不思議」と語る。仲代自身、「無名塾」を主宰し、長年にわたって後進の指導にあたってきており「だから僕には『いまどきの若いものは』という気持ちはないんです。ただ、我々の若いころと比べて役者になるための戦い方が薄いとは感じています」と若者に向けてメッセージを発した。60歳以上も年の離れた高杉に対しては、「15歳で監督の過酷な要求に対し頑張った」と称える一方で、「僕はもうすぐ80歳で、60年も俳優やってるけど変な商売だよ。こんなかわいい子が芸能界なんて変なとこに入って……。ちゃんと勉強して大学行って、幸せつかんで、子ども2人ぐらい作って定年という生き方もあるぜ(笑)」と独特のアドバイスで笑いを誘った。
高杉は劇中、ヘビの皮をはいで食べるシーンなどもあったが「ササミみたいな味で骨が多かったですね」とケロリとした様子。演技面では監督から厳しい指導を受けたそうだが、「厳しくしてもらったからこそ『學』で成長できたと思います」と感謝の思いを口にした。これには雨宮監督も「泣いてもいいですか?」とおどけつつ、その成長ぶりに目を細めていた。
また倉本は、司会者から本作の魅力を聞かれ「あなたは自分の魅力を聞かれたらどう答えるの? 作り手は自分の作品のことなんて恥ずかしくて言えないよ!」と毅然と拒否するなど、頑固な倉本節は健在だった。
「學」は、WOWOWで2012年1月1日放送。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。