香山リカ、「人生に勝ちも負けもない」
2010年9月14日 11:31
[映画.com ニュース] 精神科医の香山リカが9月13日、都内で行われた映画「メッセージ そして、愛が残る」の公開記念トークショーに出席し、「後悔しない人生の法則」をテーマに持論を語った。
原作はギヨーム・ミュッソによるフランスのベストセラー小説。息子を亡くしたショックから仕事に没頭する弁護士ネイサン(ロマン・デュリス)は、死を予見できる医師ケイ(ジョン・マルコビッチ)と出会い、自身の死期が近いと直感。別れた妻との絆(きずな)を取り戻そうとするが、そこには予想できない運命が待っていた。
香山は、「息詰まる重いテーマだが、映像が美しく思わず引き込まれた」。もし命の期限を知ることができたら「不義理をしている人がたくさんいるので、まずその人たちに会って、謝らなければいけない。そしてこんなにたくさんの人たちに支えられ、つながり合っていたんだと実感したい」と吐露した。若いころは、漠然と死を恐れたこともあったというが「今年で生まれて半世紀(笑)。せっかくだから、(死期を)知って自分のやるべきことをやりたいなという心境になった」と打ち明けた。
映画が描く夫婦愛には「一度離れた気持ちを取り戻すのは難しいが、愛情の形はワンパターンではない。年齢を重ねることで、関係性や相手に求めるものも変わってくる」と展開。そして、「若いころはルックスなど相手に求めることも多かった。今考えるともったいないことしたかな」と後悔するひと幕も見られた。
20数年に及ぶ精神科医の経験を通して、“後悔しない人生の法則”は存在しないと痛感したといい「人生に勝ちも負けも、成功も失敗もない」と断言。「今の時代は、成功や幸せのモデルが特定され過ぎている。お金持ちや有名人は幸せかといえば決してそんなことはないし、幸せは社会的な尺度とは違うところにある」と結果だけが重んじられる現代の風潮に警鐘を鳴らした。
「メッセージ そして、愛が残る」は、9月25日から全国公開。
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