トム・クルーズ新作への助成金に、オーストリア映画人が憤慨
2009年11月16日 19:27
[映画.com ニュース] 米ボストンで撮影が行われていた、トム・クルーズとキャメロン・ディアス共演のアクションコメディ「Knight & Day(Wichitaから改題)」が、11月19日から約1週間、撮影現場をオーストリアのザルツブルクに移すことになった。それに伴い、同作に助成金を与えたザルツブルク市に対して、地元映画人から抗議の声が上がっている。
英スクリーン・デイリー誌によれば、同作が受け取った助成金の額は30万ユーロ(約4000万円)。同市の映画関連の助成金予算総額が50万7000ユーロ(約6770万円)しかないにもかかわらず、この1作品に与えられる金額が大きすぎるというのが憤慨の理由だ。
今回の助成金は、市の経済振興を目的にした基金から捻出されているという。インディペンデントプロデューサーで監督のヘルマン・ペセカスは、地元紙の取材に対して「ザルツブルク観光局の局長にとっては、値は張るが格好の宣伝チャンスなんだろう。地元のアート系映画の窮状を尻目に、ザルツブルクは単なる背景として売られたわけだ。だが、この街のファサードには30万ユーロのコマーシャルなんて必要ないはずだ」と憤りをあらわにした。
「Knight & Day」の撮影期間は、当初の3週間から1週間へと短縮されたそうだが、助成金の額は変わらず。一方で、200人を超える製作スタッフとキャストが同市滞在中に使う金額は120万ユーロ(約1億6000万円)以上とも試算されているようだ。