“お化け”ではなく“悩める人間”。精神病患者に密着した「精神」想田監督
2009年6月12日 12:00

[映画.com ニュース] 前作「選挙」が、アメリカで放送界のピュリッツァー賞とも呼ばれるピーボディ賞に輝くなど、海外でも高い評価を受けるドキュメンタリー映画作家・想田和弘の第2作「精神」ついて、想田監督に話を聞いた。
本作では、外来の精神科クリニック「こらーる岡山」を舞台に、精神病患者の日常をモザイクなしでカメラに収めた。撮影の条件は、患者ひとりひとりから了解を得ることだったが、10人中8~9人に出演を断られたという。「職場やご近所に病気のことを内緒にしているとか、理由は千差万別。逆に、出演をきっかけにカミングアウトしたいという人もいました」
承諾を得ると、すぐその場でカメラを回した。「こらーるでは誰も白衣を着ていないので、誰が患者か見分けがつかない。カメラを回すうちに相手のことが徐々に分かってくる。その過程も含めた僕の“体験”を映画にしようと思いました。だから普通、テロップで『○○さん 統合失調症歴X年』など説明を入れるけど、それもしなかった」
監督は素朴な疑問を投げかけ、患者も自殺願望や子供を失った過去など包み隠さず話していく。「僕から何かをほじくり出そうとしたわけではありません。最初は『選挙』同様、“ガラスで隔てられた観察者”に徹し、一切質問しないつもりでした。ところが、こらーるでは、みんなが僕に話しかけてくる。だからそれに答えたり、質問したりせざるを得ないわけです。その過程で、ごく自然にさまざまな話が飛び出してきた。僕と患者さんの関係性が、そのまま映画に反映されたのです」
そうしてタブーとされる精神科に密着した監督は、さらにこう続けた。「子供の頃、近くの精神病院は、僕にとっては“お化け屋敷”のような存在でした。でも、僕も20歳で燃え尽き症候群になり、精神疾患に対するイメージが180度変わった。その経験が『精神』を撮るベースになりましたが、撮ってみると、やはり内側は実にあっけらかんとしていて。そこで見たのは“お化け”ではなく、“悩める人間”でした。タブーは怖がって触らないからタブーであり続けるわけで、それに向き合うだけで消えるものだと思います」
「精神」は6月13日公開。
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