映画狂のバイブル、仏カイエ・デュ・シネマ誌が英アート出版社に売却
2009年2月13日 12:00
[映画.com ニュース] 芸術映画の権威ある批評誌で、1960年代には寄稿した若手批評家からジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、クロード・シャブロルといった“ヌーベルバーグ”の映画作家たちを生んだ、フランスのカイエ・デュ・シネマ誌が、イギリスのアート系出版社ファイドン・プレスに売却されることになった。
月刊誌カイエ・デュ・シネマ(“映画の手帖”の意)は、1951年創刊。初代編集長アンドレ・パザンが提唱した“作家主義”を標榜し、ジャン・ルノワール、アルフレッド・ヒッチコック、ハワード・ホークスらを再評価した世界的な映画誌である。70年代には、クリント・イーストウッドの作家性に注目したことでも知られ、過去の記念号ではゴダール(300号)、ビム・ベンダース(400号)、マーティン・スコセッシ(500号)、北野武(600号)らが責任編集を務めた。
同誌は03年より仏ル・モンド紙の傘下となったが、最近は発行部数2万部と低迷。昨年末から誌名が売りに出されていた。
一方のファイドン・プレスは、独タッシェン、米リッツォーリなどと並び、アート、建築、写真、デザイン関連のビジュアル本を数多く編集・出版する世界的な出版社。1923年にオーストリア・ウィーンで設立されたが、第2次大戦中にドイツ軍占領下になると、英国に拠点を移した。
ファイドン・プレス社広報によると、来年からカイエ誌で初めて英語版を出版する予定だという(現在、同誌ウェブ版では日本語を含む8カ国語で一部の翻訳記事が紹介されている)。