ジュリアン・ムーアが息子と性交渉する母を演じた「美しすぎる母」監督来日
2008年4月21日 12:00
[映画.com ニュース] ジュリアン・ムーア最新主演作「美しすぎる母」のトム・ケイリン監督とプロデューサーのケイティ・ルーメルが来日し、4月18日、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホール内ビュッフェにて記者会見を開いた。
同作は、72年にアメリカの富豪ベークランド家で実際に起こった事件を映画化したもの。息子に対して偏執的な愛情を抱く母バーバラが、息子アントニーと性的な交渉を持ったあげく、最後はその愛する息子に刺殺されてしまうというR-18指定のスキャンダラスなドラマ。オスカーノミネート女優のジュリアン・ムーアが、母バーバラを熱演している。
92年の監督デビュー作「恍惚」も、同性愛者の美しい青年2人が子供を誘拐・殺人するという問題作だったケイリン監督は、本作でもまた、近親相姦や親の殺害というタブーに向き合っている。そんな作品を手がけた理由について、監督は「センセーショナルな事件は他にもたくさんあるが、この事件は、家族という最も根源的な人間関係の中で起こった事件であり、愛の限界や境界線といったものも描かれている。登場人物は極端な行動に走ってしまうが、彼らを通して人間の本質が探求できると思った」と明かした。
なぜ、アントニーは母親バーバラを殺(あや)めてしまったのか、映画は明確な答えを示しているわけではないが、監督も「本当に子が母を殺したのか? それとも、母が子を道具として自殺を図ったとも言えないか? バーバラは絶望していて、息子に殺させることによって絶望から逃げたのではないかとも考えられる。映画を見て、自問自答してほしい」と訴えかけた。
「美しすぎる母」は、5月下旬よりBunkamuraル・シネマほかにて公開。