タブーを打ち破る!政治サスペンス「ユゴ/大統領有故」イム・サンス監督

2007年12月14日 12:00


タブーも娯楽性もたっぷりと!
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[映画.com ニュース] 1979年10月26日に起こった韓国第9代大統領パク・チョンヒ大統領暗殺事件を題材に描く政治サスペンス「ユゴ/大統領有故」。本国韓国では、本作の公開直前に映画が故人の名誉を毀損したとして大統領の遺族が上映禁止を裁判所に訴え、一部映像を削除しての公開を余儀なくされた。07年12月現在も係争中という問題作だが、12月15日より世界初の無修正版が日本で上映されることになり、日本公開に合わせて来日したイム・サンス監督に話を聞いた。

韓国ではタブーとされる大事件を扱っていることから、訴えられることは製作前からあらかじめ覚悟していたそうだが、監督本人は「訴えられること自体はそれほど気にしてなかったんだ。そうやって話題になった方が映画は当たるからね」と涼しげな表情。そもそもなぜ韓国では、政治家ついての事件を描くことがタブー視されているのか。「パク・チョンヒ大統領が亡くなった後も、生前の彼と手を組んでいた勢力はいまだに健在で、財閥や“マスコミ財閥”と呼ばれるメディアの力を持つ勢力を築いているのが現状だ。彼らがいる以上、そう簡単に政治的な内容は扱えないだろうね」と、保守派が強い権力を握る韓国政治の現状を露呈した。

さらに監督は、「特に本作の中では、大統領の頭に銃弾を打ち込むという描写はタブー中のタブーだった。僕はこの映画がきっかけになって、韓国における他のタブーも打ち破られればいいと願っている」と自らに続く勇気あるクリエイターを募った。ちなみに“他のタブー”とは、先述のマスコミ財閥や朝鮮日報を批判することなのだそう。

政治的内容ばかりが注目されがちな本作だが、監督が一番伝えたいことを聞くと「とにかく映画を純粋に楽しんでほしい。確かに政治的な内容を扱っている作品だが、そういったことを全く知らない人が見ても楽しめるはずだからね。ヤクザ映画やスリラー映画を見るのと同じように、“大統領暗殺”を描くこの映画を見てほしいんだ」と映画のエンターテインメント性を強調した。

ユゴ/大統領有故」は12月15日より公開。

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