「ブロークバック・マウンテン」監督が再び禁断の愛に挑戦!「ラスト、コーション」
2007年12月5日 12:00
[映画.com ニュース] 前作「ブロークバック・マウンテン」で05年度アカデミー監督賞を受賞したアン・リー監督が、新作「ラスト、コーション」のPRのために来日。12月4日、東京・六本木のザ・リッツ・カールトン東京にて来日記者会見が行われ、リー監督、出演者のタン・ウェイ、ワン・リーホンが出席した。
1940年前後の日本軍占領下の中国・上海を舞台に、抗日運動の女性スパイ、ワン(タン・ウェイ)と、彼女が命を狙う日本軍傀儡政府の顔役イー(トニー・レオン)による禁断のロマンスを描いた本作は、今年のベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞とオゼッラ賞(撮影賞)のダブル受賞を果たした話題作。戦争や当時の社会情勢を通して、人間心理の深層を探求しようとしたというリー監督は、大きな話題となっているセックス描写について「この映画におけるベッドシーンは、シーツの上で男対女の心理的“戦争”を描く究極のパフォーマンス。映画の中では、虚、実、真、偽とはどういったものなのか、言葉では表現できないものをそのパフォーマンスを通して表現しようと試みました。ただ、今回はそれを実演してくれた俳優たちに本当に感謝です」と語り、改めて俳優たちに献辞を送っていた。
一方、1万人のオーディションの中からワン役を勝ち取り、監督の期待に応えた新人女優のタン・ウェイと、本作で本格的映画デビューを飾った人気アイドルのワン・リーホンは「3カ月の準備期間のあと、5カ月(実働114日)の長い撮影に臨みました。準備期間中は当時の風俗や歴史などを学んだほか、監督のアドバイスやトニー・レオンとのディスカッションなど多くが糧になったと思います。そういった期間を経ての撮影はまさに勉強の毎日でした」(タン・ウェイ)、「準備期間は僕にとってタイムマシーンのようなものでした。アメリカ育ちの僕にとって、映画の時代背景は全く未知の分野で中国の歴史を学ばなければなりませんでした。また、アクセントを含めた言葉も学ぶ必要がありました」(ワン・リーホン)と、それぞれに振り返った。
オスカー受賞後に中国に戻って本作を製作したことについて監督は「『ブロークバック・マウンテン』と今回の映画は姉妹作のようなもので、オスカー受賞とは関係なく必然的な成り行きだったと思います。この2作に共通しているのは、禁断の愛、不可能なロマンスというテーマと、女性作家による原作、そしてタブーに触れているということです。オスカーに関して言えば、オスカー受賞のおかげで僕は資金力・財力を手に入れました(笑)。もし、オスカーを受賞していなければ、この映画を作ることは出来なかったでしょう」とオスカー受賞の影響力を噛みしめるように語っていた。
「ラスト、コーション」は08年2月2日より、全国ロードショー。
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