「レンブラントは世界最初の映画監督」ピーター・グリーナウェイが語る

2007年10月31日 12:00


ピーター・グリーナウェイ“教授”
ピーター・グリーナウェイ“教授”

[映画.com ニュース] 「英国式庭園殺人事件」「コックと泥棒、その妻と愛人」など、娯楽作とは一線を画する芸術的な作品で知られるイギリスの映画作家ピーター・グリーナウェイ監督が新作「レンブラントの夜警」のPRのために、約10年ぶりに来日。10月30日、東京・銀座のホテル西洋銀座にて来日記者会見を行った。

レンブラントの夜警」はオランダの天才画家レンブラント(1606~69)の生涯と彼の代表作である世界的名画「夜警」の謎に迫る作品。画家、そしてキュレーターらしく、西洋絵画におけるレンブラントの重要性について語るなど、グリーナウェイ教授による講義のような会見となった。

監督は、本作について「映画監督と画家の比較、類似性、そして“目”と“見る”ことに焦点を当てて作った」と語り、「私はレンブラントが世界最初の映画監督だと思います。なぜなら、もし彼が現代に生きていたら絶対に映画監督になっていただろうと確信できるからです。映画というのは元来、人工的な光を操ることです。光の魔術師と呼ばれたレンブラント、カラバッジョ、ルーベンス、ベラスケスといった画家たちは17世紀のローソク(人工の光)の発明という視覚的な革命に出会って、傑作を生み出しました。そして、それらの作品は、まさに映画的な過程を経て出来上がったのではないかと思うのです」と持論を披露した。

そして、かねてから現代の映画の在り方に疑問を抱いている監督は「皆で暗闇の中で大きなスクリーンを見る時代は過ぎてしまいました。これからは、(携帯電話を取り出して)この小さなスクリーン、そして双方向性のものがイメージのコミュニケーションメディアとして大事になると思います。120年前、オペラが映画に替わったように、そろそろ新しい“オーディオ・ビジュアル”の形態が生まれるのではないでしょうか。私としては映画なんていう、死につつあるメディアは置いておいて、今生まれつつある新しいメディアに期待したい」と語り、セカンドライフでの作品発表など、“オーディオ・ビジュアル”の未来に馳せる思いを語った。

レンブラントの夜警」は、08年1月12日より全国順次ロードショー。

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