「白い馬の季節」の夫婦が、“環境の変化への対応”を訴えた
2007年10月4日 12:00

[映画.com ニュース] 砂漠化により、古来からの遊牧文化が失われつつある中国・内モンゴルを舞台に、必死に変化に対応しようとする一家の姿を描いた人間ドラマ「白い馬の季節」。本作のPRのために来日した監督・主演のニンツァイと、製作・出演を務めたニンツァイの公私にわたるパートナー、ナーレンホアに話を聞いた。
ニンツァイは中国のアカデミー賞といわれる金鶏奨最優秀主演男優賞を受賞している中国の名優。モンゴルの遊牧民出身の彼が長編映画監督デビュー作の舞台に選んだのは、故郷である内モンゴルだった。「我々、内モンゴルの遊牧民は、何世紀にもわたって放牧生活を送ってきましたが、環境の変化によって、生活様式を変えざるをえない状況になってきています。今の私たちが迎えている局面、そして現状を反映した映画を作りたいと思っていました」
劇中での主人公の一家は、遊牧生活を捨てて街に出て行くか、草原に残るかの決断を迫られるが、監督によると、この一家は今も世界中に数多くいる、何かしらの変化に適応できずに困惑している人間たちの比喩でもあるという。「我々は、内モンゴルという環境、遊牧民、そして白い馬を通して、どうすることもできない環境の変化への対応を描きましたが、その変化を迫られる精神的な葛藤は世界中どこへ行っても同じ。劇中、『この馬は本当に老いたのだろうか?』というセリフがありますが、それは本当にこの遊牧文化は今の時代に通用しないものなのか、この遊牧文化を捨ててしまっていいのだろうかということを問いかけてもいるのです。これは、選択の問題でもあるし、今までの伝統文化にどうやって別れを告げるかを問題提起した作品と言えると思います」
TV・映画を問わず、数多くの作品に携わっているニンツァイとナーレンホアの2人は、見終わった後にすぐに忘れてしまうような作品は作りたくないという。2人で「確かに、答えを出すのが難しい映画ですが、この映画をきっかけにして、環境の変化についてそれぞれの観客が考えてくれれば、それが一番嬉しいですね」と付け加えた。
「白い馬の季節」は10月6日より、岩波ホールにてロードショー。
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