「全く記憶に残らなかったし感情も揺さぶられなかった」ある閉ざされた雪の山荘で まりもさんの映画レビュー(感想・評価)
全く記憶に残らなかったし感情も揺さぶられなかった
まず、私自身はミステリー小説を全く読まないし、
映画もあまり鑑賞しません。
好きになった作品であれば何度でも見ます。
そうでなければ二度と見ません。
東野圭吾先生の原作小説も読んでいませんが、
ただ「タイトル」を見て、興味を持ち、DVDを購入して鑑賞しました。
映画とは関係ありませんがクリエイティブ系の仕事をしている為、
『モノづくりをする以上、それを見た、聴いた、体験した人に何か主張できる作品』
こそ名作であると考えていますが、
この映画を見終わった時、正直何も残りませんでした。
起承転結の「起」は悪くは無かったとは思います。
舞台設定、キャラクターの人間関係、非日常感の演出は
ミステリー的な『何かが起こりそう』な王道な期待感を醸していました。
しかし2日目になって「事件」が起こった辺りから、
どうにも腑に落ちない事が異常に多く起こります。
・カメラで監視されている事が分かっていて起こる殺人
(これに関しては「転」に繋がる伏線ではあったのでしょうが)
・たいして抵抗もしない犠牲者
・見つからない死体
・突如探偵役のようになる登場人物
・自衛せずにのうのうとそのあとも過ごし続ける参加者
・家の間取り図っぽい謎の演出
・「雪の山荘」という設定がまったく活かされない
その後の進行で結局全て「芝居だった」という事が分かるわけで、
説明口調で『3重構造』となり、転回部から結末部へと進んでいくんですが、
ノックスの十戒を破って、ずっと潜んでいた8人目の登場人物の存在や
(見ている限り、伏線は特に無かったと思いました)
実は誰も死んでなかったという事に大した驚きは無いし、
「すみませんでした」と謝るその様すら芝居味を感じてしまい、
そしてラストシーン。
特に何の説明もなく唐突に舞台のシーンとなり、
探偵役が脚本の作品だったという事で終了……と大体こんな流れでしたが。
小説版の原作がどんな感じなのかは非常に気にはなりました。
これだけ『何も感情が動かなかった』作品。
しかし小説は高評価が多い事を知ったので買おうかなとは思いました。
何故、なにひとつ心が動かなかったのか。感動できなかったのか。
結局「全部芝居なんです。あとはあなたの解釈にお任せします。」という、
投げやりな作りになっていたという印象を、私は強く感じてしまったからかもしれません。
この映画版をもう一度見直す事は、たぶん無いです。