「悲しい事件と「物語」を求める人たち」ぼくは君たちを憎まないことにした 和江さんの映画レビュー(感想・評価)
悲しい事件と「物語」を求める人たち
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テロや、日本だと自然災害などが起きた時に、こうした「物語」を人々は求めてしまいます。
「テロには屈しない」「日常を過ごすことでテロリストに勝つ」という態度は、感動的な物語であり、おそらくあの投稿によって救われた人も一定数いると思うんです。
でも、犠牲者や被害者、その周囲の人には日常が続いていくし、マスメディアや大衆が求めるような「物語」通りにはいかない。
悲しい酒を飲んで当たり散らしてしまうのが人間だと思います。
フランスという国の社会が抱える問題、移民や多文化共生、宗教的な対立、それらの背後にある政治や経済にまつわるあれこれを映画で描くのは難しい。
この映画はあくまで犠牲者と家族の物語としての観ないと、社会問題に関心のある人からすると不満の残る作品になってしまうでしょう。
ただ悲しい事件を報道に出てくる犠牲者の数字や、テレビ番組の「物語」としてとらえている人には、一人一人の「現実」が重くのしかかってくると思います。
フィクションを通して、現実をきちんと向き合うきっかけにしたいですね。
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