「スティングの「フラジャイル」必聴」ぼくは君たちを憎まないことにした regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
スティングの「フラジャイル」必聴
2015年のパリ同時多発テロ事件で妻を失ったジャーナリストのアントワーヌ・レリスが、事件発生から2週間の出来事を綴ったエッセイを映画化。
愛する人が、コラテラル・ダメージで突然この世からいなくなってしまったらどうなるか。悲しみ、憎しみ、不安といったさまざまな負の感情に苛まれるだろうが、アントワーヌは幼い息子と「生きていく」事を宣言する。綺麗事と捉えられるかもしれないが、負の感情に取り込まれたらテロリストと同じになってしまうのを避ける最終兵器だ。観ていて『復讐者たち』を想起したのは自分だけではないはず。
アントワーヌの妻が亡くなった会場はスティングのコンサートで復興し、1曲目に歌ったのは「暴力は何も生まないし、怒りに囚われると成す術がない」という歌詞を含む「フラジャイル」だった。もし自分が大事な人をコラテラル・ダメージで亡くしたら、彼のようにできるかは分からない。だからこそ生き方が試される。
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