「やることが……やることが多い!」僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト らいすさんの映画レビュー(感想・評価)
やることが……やることが多い!
A組全員動かしたい、オールマイトワナビーのやたら強い敵も出したい、プロヒーローも動かしたい……と全部詰め込んだ結果110分の尺が全く足りておらず、概ね薄味なものの詰め合わせになってしまった印象。ストーリーも切り詰めるだけ詰められており予告編を見てこんな話だろうなぁと予想した流れがほぼそのままお出しされる。
事実上主役扱いのデク、爆豪、轟君のアクションシーンは非常に力が入っており、その他のシーンも劇場版だけあって高めの水準を保ち続けているため単なるファンムービーとしては十分な出来ではあると思います。
話の中心に関わらない状態でいきなり活躍するキャラクターが多い事や作品固有の要素の説明が最低限のものすらなく、敵であるダークマイトの薄っぺらさ故の味やそれに対するデク達のリアクションといった要素が「ボロボロになりながらも平和の象徴として時代の中心を走り抜いたオールマイト」という偉大な人物の存在を下敷きに成立しているにも関わらず本作のオールマイトは後方で心配そうにしているガリガリのおじさんでしか無いなど、完全に原作を履修している事を前提にした作品なのでそれ以外の方にはオススメしません。
特典のインタビューで原作の堀越耕平氏が「毎年(原作から外れたオリジナルストーリーの)ドラゴンボールの劇場版を観ていた」といった話をされていましたが、良くも悪くもそんな感じ
蛇足
タレント声優さんにレベルの高い演技をしろとは言わないんですが、専門じゃないし。滑舌が怪しいレベルなのはちょっと勘弁してほしかった。「これで対等だね」といった感じのセリフが「ダイドー」に聴こえて、一瞬だけ脳内が自動販売機のイメージに支配されました
3作目の吉沢亮氏がかなり自然な演技をされていたのと比べると大分残念な気持ち。
キャラを増やし過ぎて、どんどん単発映画には向かない作品になってきましたね。
ダークマイトの強さはバフで、それを与えたアンナの個性は消失、という後腐れのなさは上手かったです。