メカバース 少年とロボットのレビュー・感想・評価
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リアルよりヒーロー寄り
「グアイウ 地下鉄の怪物」に続いて、シンガポールに縁があって鑑賞。というか同国発のロボットSFなんて見ないわけにいかない。ということで評価にはかなり贔屓目が入っている。
何よりも、「パシフィック・リム」同様に、アニメ・特撮を問わず、ヒーローロボットドラマへの憧憬が表れていると感じた。フィリピンで「ボルテスV」がリブートしたように、志が世界に広がるのは素直に嬉しい。
映像は、ちょっとレトロフィットなロボや戦闘機の造型はいい線いってるし、実景との合成もよくできていると思った。ただ戦闘シーンが動いているものが多すぎて追いづらい。コンテがよく練れてないような感じ。音響は、吹き替え(しか今のところ上映してない)なのにしばしば台詞が聞きとりにくい。ロボや通信の音声へのエフェクトが強いとか、効果音とのバランスの問題か。原語版も見たい。
世界設定やストーリーは(「スターシップ・トゥルーパーズ」とか、それこそパシリムなどで)既視感があるが、父は地球軌道で戦死し、「父さんは宇宙から見守っている」と言っていた母も土星に出征し未帰還、という導入でもう涙してしまう。残されたひ弱な少年がロボ部隊に志願し、分隊の仲間や意思を持つロボとの交流で強くなっていき、クライマックスでの「父」との邂逅、そしてロボとの別れ……王道だが悪くない。(ちなみに、シンガポールは兵役義務が全男性にあるため、こういう新兵の成長譚は琴線に触れるものがあるのではないかと思う)
今回は候補生の修了試験中に会敵し戦果を挙げたところで終わり、母の行方の話が回収されていない。本作が売れれば作られるであろう続編に期待したい。
蛇足だが、邦題の「メカバース」はどうなのだろう。メタバースやマルチバースのような別の世界は出てこないし、むりやり流行り物に乗ってる感がある。(原題は"HEAVENS: A Boy and His Robot"で、Heavensは作中の空間跳躍装置を指す)
Sora
シンガポール映画って記憶に無いなー、しかもロボット映画だなんて全てが新鮮だなーとワクワクしながら鑑賞。特典はステッカーでした。
ロボットのデザインやCGはかなり迫力があって良かったのですが、肝心の物語の薄さや、監督が殆ど演じ切ったキャラクターの悪い意味でのクセな強さが足を引っ張りまくってあまりのめり込めませんでした。
オープニングではいきなりの空中戦争が展開され、ド派手に撃ち合いまくっており、状況はよく分かりませんが危機に陥ってる感じも良かったですし、主人公の父が戦いに向かっていく今生の別れも、ベタですが導入としては見事だなと思いました。ただここがピークでした。
物語は王道成長もので、父と母の後を追って訓練所で操縦士として育っていくものでした。主人公は筆記が満点で体力テストはギリギリというのはよく見たことある設定だなと思いました。
肝心のロボットに乗り込んだ辺りから監督と自分の面白さのズレが起きてしまったなという印象です。Gに耐える訓練とかは根幹からいくスタイル良いなと思ったら、出るキャラ出るキャラゲロを吐いていくので、そこで不快感が出てきました。
キャラ付けも濃いものばかりで、擬音筋肉バカはまだしも、なんでも1番取りたがりボーイは1番!と言うだけの役割でしたし、潔癖ボーイは空気でしたし、あと一人は陽キャといちゃもんつけてくるくらいの印象の薄さでした。
チーフは何故か吹替では語尾が上がるのが謎でしたが、飴と鞭を使い分ける良い師匠的ポジションにギリギリ収まっていたかなと思いました。後からやってきた同僚はテンション高いなくらいでした。
モジャモジャ頭は主人公に過去に会ったことある人で、何かキーパーソンになる存在なのかなと思ったら、食べ方の汚さに全部持っていかれて、この時点でこの映画には期待以上のものは出てこないなと思いました。
全体的にギャグなのかどうかアンバランスなものが多く、謎の間だったりゲロ連発だったり、笑えるシーンを用意していたんだと思うんですが、笑えはしませんでした。
終盤の戦いも空中でうまいことロボットに乗るというなんだかよく分からないもので、その際に敵に襲撃されて急遽戦う事になるという展開の焦りっぷりも乗れず、一体何がなんだか分からないまま決着がついてしまう置いてけぼりにされた感じでした。
目覚めた後に仲間がやんややんややってるのもギャグのはずなのに興醒めしてしまいました。
エンディングで未来に飛ぶのかと思いきや、まさかの過去の回想に行くという今までにないやり方でしたが、だからどうしたという感じの映像ばかりで、オチの付け方もぶつ切り感が否めませんでした。
無骨なデザインやスタイリッシュなデザインのロボットが素晴らしく、特にチーフのパーツ合体しまくりロボットが最高にイカしていました。何故か火星のロボットは武将スタイルでしたが、日本のロボット以外でこういうデザインを見れたのは儲けもんでした。
吹替陣は本職オンリーなので問題無しでしたが、完全に客寄せパンダとして起用されていたなと思いました(自分もそうですが)。
もっとこう…ドンパチやってくれるのかと思いきや、滑り倒したギャグや謎すぎる映像のぼやかし方だったり、ロボットで稼いだ長所を一気にかき消してしまったのが残念でした。
監督が殆どを制作したというのは凄いと思うんですが、それ故のクセの強さが合わなかったです。んーもったいなかったです。
鑑賞日 11/18
鑑賞時間 10:40〜12:25
座席 L-9
期待したけどがっかり。
完成披露試写会で見てきた。
内容は序盤から巨体ロボの出る戦闘シーンから始まり掴みはOKだったのに前半は主人公の訓練に費やされて退屈。
中盤で敵ロボとの戦闘に上官のエース機体の登場と盛り上がったのにまた訓練に戻りかつ逃げ出す展開にがっかり。
終盤は最終テストに何故かやって来た敵ロボ倒して部隊に正式採用で終わりとジャンプの打ちきり漫画みたいな締めだった。
どうせなら敵ロボを両親の仇にしてそれを倒して成長する展開にした方が良かった。
肝心のロボはデザインは良いし、よく動くけど主役ロボがエース機体や敵ロボに比べて最後まで地味なのが凄く残念。
キャラもシンガポールのお国柄なのか変なキャラ付けされててずっと滑ってるコント見せられてるみたいだった。
製作に11年掛かったそうだけど面白さに結び付いてないのでロボと吹き替え声優に興味無いなら見なくてもいい映画。
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