「残酷な自分勝手な昭和の男の最期。本人は幸せである。映画的な救いがある点では優しすぎる。」大いなる不在 ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
残酷な自分勝手な昭和の男の最期。本人は幸せである。映画的な救いがある点では優しすぎる。
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本当に自分勝手で偏屈で理屈っぽい、昭和の男の最期。
一見残酷に見えるかもしれないが、プライドが高く、自分の恋愛を貫き、子供もいて、仕事も成果を上げたのだから、本人としては、これで満足してくれなくては、そのために傷つけられた多くの人々に対して申し訳が立たない。
現実はこうはいかない。
もっとうまくいかないことがたくさんある。
まあ、映画の中で彼が言うように、「一般的な、平均的ななどというものは存在しない。それぞれが特別である。」のかもしれないが。
自分のやっていた仕事がすべてなくなってしまうと感じるかもしれないが、その成果は、教え子を通じて後世に残る。
大恋愛のロマンスと、いささかユーモラスな冒頭の大事件が救い。
息子が本人のことを理解しようとしてくれたことも。
こうなってからでは遅いのかもしれないが。
「ファーザー」は本人視点でのみ描かれていたが、本作は息子視点からも描かれる。
認知症の「恐怖」が描かれていると同時に、そうなった後、「理解されていく」物語でした。
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