「やむにやまれぬ思いを込めて、細部までこだわりぬいた珠玉の一作。」海鳴りがきこえる taraさんの映画レビュー(感想・評価)
やむにやまれぬ思いを込めて、細部までこだわりぬいた珠玉の一作。
岩崎監督のトーク付きでみることができ、監督がこの映画に込めた思いなどを知ることができました。岩崎監督の映画は311直後の時期に撮った「村に住む人々」も、その後に撮った「New World」も観ていたので、20代で自分の故郷が海に沈んでしまうという岩崎監督の被災地での経験と思いはわかった上で視聴できたので、より理解しやすかったです。
トークの中で、この映画にはモデルはいないとのことを聞き、驚きました。脚本はすべて完全に一人で書き上げたそうですが、「自分の中に主人公がいて、どんどんセリフが湧いてくる感じ」とお聞きし、それは才能ではないかと思いました。
セリフですべてを語るのではなく、細部にまでこだわった映像で見せてくれる映画でした。終わってからパンフレットを読んだら、主人公に、監督の思いを乗せて作られていたのだとわかり、納得しました。
震災であれ、戦争であれ、予期せぬ被害を受けることがあり、自分の心の底にある問題に目を背けたまま生きていくのではなく、問題に真正面から向き合っていこうというメッセージが伝わってくる映画で、心に残るいい映画をみせてもらったと思いました。
そのメッセージは、監督が自分に向けて発したものでもあると思えたので、今後の映画に期待したいと思いました。
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