「M-1の漫才ネタのようなホラー」TALK TO ME トーク・トゥ・ミー エカシムロさんの映画レビュー(感想・評価)
M-1の漫才ネタのようなホラー
※23年末の公開当時に見てレビューを下書きしたものの、多忙でアップし損ねていました。米豪では監督の新作が公開されるとのことで、今更ながら投稿します。
ホラー映画としての怖さはスパイシーな中辛、といったとこが。もっと怖い映画いくらでもあるなぁ、くらい。
さて表題の件だが、時節柄(?)連想してしまった。確かに「どうすればウケるか」を非常によく考えられて作られている。前段もそこそこにやや強引な設定を観客に落とし込み、中盤はテンポのよい描写。そして終盤は大きな展開を見せ、序盤での何気ないフリがしっかりと回収されたキレの良いオチ。なるほど、確かに面白かった。
…でも、それ以上の感慨は残らなかったかな、というのが率直な印象。ウケることが最優先事項で、監督(双子の兄弟YouTuber)の描きたいテーマや恐怖の対象が見えなかった気がするのだ。そういう意味では取ってつけたようなSNS描写の軽さと本作は合っていた、ということだろうか。
聞けば監督の片方が交通事故で意識不明となって生死を彷徨った際に、病室で姉がずっと手を握ってくれていた、という話が元ネタらしい。なるほど、家族という関係を地獄として描くアリ・アスターとは真逆の、至極真っ当な家族愛の価値観から生まれた作品なわけだ。観客への悪意のない、見やすい作品なのもまぁ当然か。
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