「誰かが見ている」クオリア prd0428さんの映画レビュー(感想・評価)
誰かが見ている
性的なものに限らず、人は自分の中の“劣情”を他人に見透かされているのではと焦りながら生きているのだ。養鶏場を営む田中家の中に一人の女が乗り込んで来て、養鶏場の人々はその劣情が生む焦燥感に苛まれ、更に疑心暗鬼に立ち回り出す。その滑稽さが何とも言えず人間的で哀れにすら見える。ことの最後に主人公が選び取った身の振り方は言わずもがな、人としてありきたりではある。妻がその上で選び取る結末もまたしかり。だからこそ尚の事人間臭くて愛おしくなる。最後に自らの殻を破ったのは鶏たちだった。
これが初長編の俳優・牛丸亮監督作品。登壇の瀬々敬久監督が「ショーン・ペン作品を見ているよう」との称賛に、賛成の一票を!
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