「佐藤氏の地道な努力の日々」マッカチン シャドー・ザ・パンデミック odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
佐藤氏の地道な努力の日々
マッカチンとは、関東地方の一部の方言で、アメリカザリガニのことで特に大きく真っ赤なオスを「マッカチン」と呼ぶそうです。
2011年の東日本大震災から2020年コロナ禍のパンディミックまでの10年をかけてTBS「どうぶつ奇想天外!」の元ディレクター佐藤榮記氏が主に東京の絶滅の危機に晒されてゆく昆虫や野生動物を撮り続けた渾身の自然ドキュメントムービー。
温暖化で冬にカマキリやモンシロチョウが観られる反面、赤とんぼは農薬のせいで地方でも激減しているそうだ、大半は人間側の都合で自然環境が激変して木々や生き物が衰退してゆく様を追っているので観ていて微妙。
劇中でも葛西臨海公園が2016年の東京オリンピック誘致でカヌー・スラーロム施設のため広く取り壊される計画があったが佐藤氏をはじめとする自然保護運動家や地元住民の反対運動で取りやめになったのはささやかながら唯一の朗報でしたね。ただ、2020年の五輪では再度課題になるも自然保護の観点から葛西公園に隣接する東京都水道局の敷地がカヌー競技会場建設地に代替されました。
タイトルにアメリカザリガニがあしらわられているのは佐藤さんが子供の頃、巣鴨の山手線の線路わきのどぶにマッカチンが居た思い出、なんと今になってもわずかながら生き残っていたことが衝撃的だったのでしょう。
終盤のコロナ禍の最中、佐藤さんは「我々がウィルスや異常気象、災害に襲われるのは野生の生き物たちにしてきたことへのしっぺ返しだろうか・・」と言っていた、否定も肯定もしづらいが、人間もまた生き物であり自然との共存、全ての命への尊厳は大切な信条であることはそのとおりでしょうね。
佐藤氏、劇中ではただの変なおじさんですが、子供心を失わない、動物愛護への地道な努力の日々には頭が下がります、製作、有難うございました。
