市子のレビュー・感想・評価
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凄い映画。
めっちゃ辛い。 みんな普通に幸せになりたいだけやのにね。 この曖昧な感情を、市子の少ないセリフ、表情、立ち振る舞いで見せてくれた本作は、ずっと心に残ると思います。(劇場で見れなかったけど…) 杉咲花さんの演技やばい。 若葉くんも最高。 みんな最高。
ずしりと残る作品
採点4.2 プロポーズした翌日に失踪した恋人を探す、そんな闇を探るような作品。 まず主演の杉咲花がすごい存在感で、今までよりも確実に迫るような芝居が見られました。 もちろんそれは隣の若葉竜也があってこそとも思います。 二人の芝居は本当見応えがありました。 物語は謎を紐解くべく市子に関わりのあった人々達を訪ねるのですが、そのエピソードをその人物事に時系列を散らしたりと、じわじわと見えてくる演出がとてもうまかったです。 そういえば真逆のような物語ですが、同監督の「名前」に通ずるものもありましたね。 あと、すごく静かなのですが脚本がものすごいです。 心から嬉しかったプロポーズ、それは考えた事もない幸せの瞬間。 でもそれは、その幸せの終わりとなる現実。 冒頭に出てきた婚姻届とその笑顔が、後半でものすごい意味になって帰ってくるのがすごかったです。 そしてこれも冒頭から度々歌われていた「にじ」。 「おかいつ」や「おといつ」などで度々流れていて、家族で馴染みのある温かい歌。コンサートでも良く聴いたものです。 でもこれは、叶わぬ幸せをずっと願ってきた、市子の空虚さを物語っていました。 そんな歌のようにあるであろう明るい場所を、きっとまた探して彷徨っていくのでしょう。 苦しくもあるのですが、逆に当たり前の事が幸せであることを再確認できました。 この問題は今年4月に制度が変わったので、作品を通し少しでも理解が深まる事を願います。 ずしりと残る、とても深い作品でした。
ずっと夏
たくさんの蛾や虫が自然に集まってくる夏の明かりのように、市子は誰をも惹きつける。無口で殆ど笑わないし相手に何も聞かず自分のことも言わないのに。そんなに孤独で寂しく辛くて悲しいのに誰かに手を差し伸べる市子を杉咲花が素晴らしく怖ろしく演じていた。台詞も少ない、顔芸の芝居ではない、大袈裟に泣き叫ばない。とても難しい役だろうし、脚本と演出もいいのだと思った。時間軸があちこちに動くのは結構好きだが、市子はその時何歳かいちいち計算していたので計算苦手な自分を恨んだ。 日本の夏は能天気に過ごせない、悲しみの季節だと思う。そんな夏を杉咲花は、花火とか、浴衣とか、縁日の屋台とか、ガリガリくんアイスとか、麦茶とか、汗で表現した。それらは決して定番の夏・小道具ではない。全部、市子の中から出てくるものだった。 「市子」が一人居たら、実際はその何倍も何十倍も何百倍もの「市子」が日本に世界に居るんだと思った。映画「存在のない子供たち」を思い出した。 おまけ 「いだてん」(平均視聴率ワースト・ナンバーワンって信じられない。あんなに面白いのに。最初から最後まで見た最初で多分、最後の大河ドラマ)で杉咲花に初めて出会った、そこで彼女は二役演じた。まずは元気に走る女の子、「結婚なんかしなくていい~!」と女学生に叫ぶ体育の先生のシマ役として。シマは人見絹枝(ダンサーの菅原小春、素晴らしかった!)を見いだし力づけ勇気を与えた。そのシマに励まされた人見は日本で最初の女性オリンピック選手となりアムステルダムで銀メダルを獲得する!それ以前、シマは関東大震災で消息をたつが結婚していて娘も生まれていた。その娘のりく役で第二の杉咲花に出会うことができた。このドラマの鍵となる重要な役どころを杉咲花は可愛く健気に強く逞しく演じていた。 私はいったい何のレビューを書いているんだろう・・・
悪が否か
4人もの人を殺害して、今もなお、違う名義を使い生き続けているかもしれない戸籍のない市子。 作品を見れば見るほど、杉咲花さんの演技にやられます。 騒然な幼少期の壮絶な日々や、想像もできないほどの生き方。 長谷川さんと居た時間はすごく市子にとって幸せな時間だったに違いありませんね。 殺人犯なのに同情してしまう。 難しいテーマの作品でした。
杉咲花 若葉竜也 森永悠希が良い
杉咲花さんが良いと聞いて観に行きました。ちょっと変な髪型が、剥き出しの顔が、汗が染みたTシャツが、大阪弁が、アイスの棒の咥え方が良かったです。なんだか高校時代ばっかですね。あ、でもプロポーズされた際の泣き顔も良かったです。浴衣姿も見たかったですね。 恋人役の若葉竜也はちゃんとストーリーを牽引してました。 森永悠希さんも良かったですが想像の範囲内。でも若い人達が頑張ってて嬉しくなります。 中村ゆりさんはハマってましたけど、なんかいつも、何をやっても不幸になる役ばっかやってる感があって少し可哀想。キレイなのに不幸顔なのでしょうか。
親ガチャとその後の人生
何て言うか、結構どんよりします。 市子は不幸な生い立ちから逃れられず、やっと掴めそうな幸せすらも受け入れることができない…なんて可哀想な人なんだろうと思った。少なからず幸せな瞬間もあったけど、市子の心の中には常に気がかりがあってそれが解決しない限り本当の意味での幸せは来ない。そしてそれを一生抱えながら生きていく。そんな悲しい話でした。 正直言うと、作中でも解決方法は提示されてるのに、ちゃんと向き合おうとしない感じが私的にですがモヤっとします。 ハッピーエンドではないのでそこら辺踏まえて見るといいのかもしれないですね。
幸あれ
賛否両論あるけど傑作だと思う。 この作品を見るまで無戸籍問題なんて知らなかったし そこまででなくても、人に言えない闇みたいなもんは 誰だって多かれ少なかれ抱えているだろうと思うからだ。 「万引き家族」しかり、こういう見過ごされてきた 社会の隙間みたいなものを映像として、 しかも上質な映画作品として世に残すことは意義がある。 本作では、川辺市子という人の人生を他者の目線で浮き彫りにしていく。 彼女が無戸籍になってしまったのは、ある意味で母の愛情からと言えなくもないし 彼女が嘘を重ねざるを得なかったのは、希望を捨てなかったからと言えなくもない。 特に「助けたい」なんていう感情は、エゴ以外のなんでもないし 誰か他者がジャッジしていい類のものではなく、 どこかに障がい者の人権軽視だとか法律軽視だとか言ってる人がいたけど この作品にそういう感想を抱く人って何を見てるんだろうと。 反対に、母・川辺なつみの証言が嘘では?っていうレビューには目を開かれる感覚だった。 とにかく、こんなに鑑賞しながらハッピーエンドを願った作品は他になかった。 市子に幸あれ。
幸せになって欲しいけど…
杉咲花さんに引き込まれる 市子と月子の表情が違ったように見えた。最後のシーンは月子のそれだった。 一部分だけを見てその人を決めつける事はしてはいけないなと思った しかし奥底にある闇はとても深い 市子には幸せになって欲しいとは思うけれど、そのためには何をしてもいいとは思わない
訳が分からないままどんどんはまっていく展開
杉咲花扮する川辺市子は、恋人の長谷川からプロポーズされた時、嬉しいと言っていたのに住んでいたアパートから突然姿を消した。ところが警察は川辺市子は存在しないと言った。 先だって52ヘルツのくじらたちを観た時に市子と並べて語るレビューが目についたので観てみた。最初から何か不穏な空気が漂うね。ミステリーと言うかサスペンスなのか、殺人事件なのか。訳が分からないままどんどんはまっていく展開だね。
市子に感情移入してしまうし涙も流してしまったけれど、冷静になると4...
市子に感情移入してしまうし涙も流してしまったけれど、冷静になると4人もの命を奪っている。それなのに市子を美化し過ぎているのはつまらなかった。 皆さん演技も素晴らしいし、ノスタルジックを匂わせる映像、そこは満点です。
観ていて中だるみしてしまう
これの前に『ある男』という少し似た感じの映画を観たのだが、あちらは暗い話でもサクサク進んでいくので見やすかったが、こちらはテンポが遅くて中だるみした。場面が変わるごとに、いつの、どこの、誰の話か理解できるまでに時間がかかり、観ているこっちに負担がかかるのも疲れる。あと、高校時代の市子の唇が黒ずんでいるのはメイクだろうか。なんか見ていて怖かった。
主人公の悲劇性のまとわせ方に違和感
2023年の邦画最高作という高評価ばかりを目にして期待して観たのですが、登場人物に感情移入できず、というか、感情移入しかかっていたのが、だんだんと設定・描写の不合理性ばかり気になってしまい、次第に心が離れ、終盤にはすっかり冷めてしまいました。 特に、社会問題的な設定が、ただ主人公に悲劇性をまとわせるためだけのご都合主義的な使われ方をしているように見えてしまって、心底残念です。 にもかかわらず、何かの忖度が働いているとしか思えない高評価なので、これが今の邦画シーンを流れる主流的な感性を捉えた作品なんだろうと納得するしかありません。また、高評価ばかりの中に、私のように受け入れられない人間がいるというのは、ただのつまらない作品であるというわけでもないのだろうとも思います(価値ある作品は評価が両極端に分かれがち)。皆さんがこの作品を観て、それぞれに考えさせられるという経験が、無駄にはならないことを祈ります。
まるで古谷実の世界観
個人評価:3.8 まるで漫画家『古谷実』が作り出す陰鬱とした世界観のよう。 登場人物や、巻き起こる出来事がまさに古谷的で引き込まれる。 嫡出推定という社会のルールの闇に、切なく辛い物語をのせている。 杉咲花の演技が素晴らしく、間違いなく代表作になるだろう。
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