市子のレビュー・感想・評価
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杉咲花の凶暴性
2021年公開の99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIEを鑑賞して以降、杉咲花の出演する作品をほとんど観ていない。
この作品での杉咲花は愛嬌のあるコメディリリーフとして抜群の存在感だった。
劇団チーズtheaterの舞台「川辺市子のために」を、主宰者の戸田彬弘自らが監督し、杉咲花を主演に迎えた本作「市子」。
たかだか2、3年の間に彼女は一体どんな経験を積んだのだろうか。
もはや何の参考にもならないが、外見こそ刑事専門弁護士の頃とちっとも変わっていないように見えるし、むしろ本作では女子高生時分をそのまま演じている。
誤解を恐れずに言うと、例えば松本まりかのような俳優が出演する作品がある場合、個人的にはその外見や年齢とのギャップがある種の起用のポイントであったり見どころでもあったりするのではないかと思うのだが、杉咲花の場合、登場した時点で可憐さはあっても妖艶さやそれに付随する凶暴性を感じ取ることはまず不可能なのではないかと思えてしまうのである。
ちひろさんや劇場版TOKYO MERの時にも触れたが、近年の若い俳優の、役に対する演技力の深みが素晴らしいのは言うまでもないが、さらにその役柄を本人の人柄とフラットに見せてしまうことが出来る技術は本当に凄いことだと思う。
杉咲花。
良い意味で恐ろしい凶暴性を秘めたトップクラスの俳優であることに間違いない。
ちなみに作品としては、2022年公開の「ある男」とセットで鑑賞すると、より同一線上の世界観が楽しめるのではないかと思う。
夏の果
凄い映画。
ずしりと残る作品
採点4.2
プロポーズした翌日に失踪した恋人を探す、そんな闇を探るような作品。
まず主演の杉咲花がすごい存在感で、今までよりも確実に迫るような芝居が見られました。
もちろんそれは隣の若葉竜也があってこそとも思います。
二人の芝居は本当見応えがありました。
物語は謎を紐解くべく市子に関わりのあった人々達を訪ねるのですが、そのエピソードをその人物事に時系列を散らしたりと、じわじわと見えてくる演出がとてもうまかったです。
そういえば真逆のような物語ですが、同監督の「名前」に通ずるものもありましたね。
あと、すごく静かなのですが脚本がものすごいです。
心から嬉しかったプロポーズ、それは考えた事もない幸せの瞬間。
でもそれは、その幸せの終わりとなる現実。
冒頭に出てきた婚姻届とその笑顔が、後半でものすごい意味になって帰ってくるのがすごかったです。
そしてこれも冒頭から度々歌われていた「にじ」。
「おかいつ」や「おといつ」などで度々流れていて、家族で馴染みのある温かい歌。コンサートでも良く聴いたものです。
でもこれは、叶わぬ幸せをずっと願ってきた、市子の空虚さを物語っていました。
そんな歌のようにあるであろう明るい場所を、きっとまた探して彷徨っていくのでしょう。
苦しくもあるのですが、逆に当たり前の事が幸せであることを再確認できました。
この問題は今年4月に制度が変わったので、作品を通し少しでも理解が深まる事を願います。
ずしりと残る、とても深い作品でした。
ずっと夏
たくさんの蛾や虫が自然に集まってくる夏の明かりのように、市子は誰をも惹きつける。無口で殆ど笑わないし相手に何も聞かず自分のことも言わないのに。そんなに孤独で寂しく辛くて悲しいのに誰かに手を差し伸べる市子を杉咲花が素晴らしく怖ろしく演じていた。台詞も少ない、顔芸の芝居ではない、大袈裟に泣き叫ばない。とても難しい役だろうし、脚本と演出もいいのだと思った。時間軸があちこちに動くのは結構好きだが、市子はその時何歳かいちいち計算していたので計算苦手な自分を恨んだ。
日本の夏は能天気に過ごせない、悲しみの季節だと思う。そんな夏を杉咲花は、花火とか、浴衣とか、縁日の屋台とか、ガリガリくんアイスとか、麦茶とか、汗で表現した。それらは決して定番の夏・小道具ではない。全部、市子の中から出てくるものだった。
「市子」が一人居たら、実際はその何倍も何十倍も何百倍もの「市子」が日本に世界に居るんだと思った。映画「存在のない子供たち」を思い出した。
おまけ
「いだてん」(平均視聴率ワースト・ナンバーワンって信じられない。あんなに面白いのに。最初から最後まで見た最初で多分、最後の大河ドラマ)で杉咲花に初めて出会った、そこで彼女は二役演じた。まずは元気に走る女の子、「結婚なんかしなくていい~!」と女学生に叫ぶ体育の先生のシマ役として。シマは人見絹枝(ダンサーの菅原小春、素晴らしかった!)を見いだし力づけ勇気を与えた。そのシマに励まされた人見は日本で最初の女性オリンピック選手となりアムステルダムで銀メダルを獲得する!それ以前、シマは関東大震災で消息をたつが結婚していて娘も生まれていた。その娘のりく役で第二の杉咲花に出会うことができた。このドラマの鍵となる重要な役どころを杉咲花は可愛く健気に強く逞しく演じていた。
私はいったい何のレビューを書いているんだろう・・・
悪が否か
杉咲花 若葉竜也 森永悠希が良い
親ガチャとその後の人生
幸あれ
賛否両論あるけど傑作だと思う。
この作品を見るまで無戸籍問題なんて知らなかったし
そこまででなくても、人に言えない闇みたいなもんは
誰だって多かれ少なかれ抱えているだろうと思うからだ。
「万引き家族」しかり、こういう見過ごされてきた
社会の隙間みたいなものを映像として、
しかも上質な映画作品として世に残すことは意義がある。
本作では、川辺市子という人の人生を他者の目線で浮き彫りにしていく。
彼女が無戸籍になってしまったのは、ある意味で母の愛情からと言えなくもないし
彼女が嘘を重ねざるを得なかったのは、希望を捨てなかったからと言えなくもない。
特に「助けたい」なんていう感情は、エゴ以外のなんでもないし
誰か他者がジャッジしていい類のものではなく、
どこかに障がい者の人権軽視だとか法律軽視だとか言ってる人がいたけど
この作品にそういう感想を抱く人って何を見てるんだろうと。
反対に、母・川辺なつみの証言が嘘では?っていうレビューには目を開かれる感覚だった。
とにかく、こんなに鑑賞しながらハッピーエンドを願った作品は他になかった。
市子に幸あれ。
幸せになって欲しいけど…
訳が分からないままどんどんはまっていく展開
市子に感情移入してしまうし涙も流してしまったけれど、冷静になると4...
観ていて中だるみしてしまう
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