市子のレビュー・感想・評価
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儚げで大人しそうな美女
突然失踪した恋人の市子を探す男性の行動を軸にストーリーが進む。最初は多くを説明せず、ストーリーが進むに連れて、市子の人物像や過去、事件の全貌が徐々に明らかにされる造りになっているため、最後まで緊張感を持って観ることができる。
妹、義理の父親、自身に執着する高校の同級生、自分と見た目が似ている自殺志願者の女性と、市子は作中で4人を殺害している。この事実だけで判断すると、市子は自分の都合で人を殺した連続殺人犯となる。
しかし、幼少期より苛酷な生活を強いられた上に、存在自体が国に認知されないといった状況でも、人並みの幸せな人生をを諦めずに懸命にもがく市子を責めることは難しいのではないだろうか。
終盤の市子が鼻歌を歌いながら歩くシーンでは、儚げで大人しそうな市子から、何がなんでも生きて幸せになろうとする強い意思を感じられる。
杉咲花は天才という名の怪物です。
戸田監督がとんでもない傑作を産んだ。
いつも仲良くさせて貰ってるので
速攻、監督に感動のLINEを送っちゃいましたよ!
知り合いの監督だからとかそんな忖度なし。
傑作が産まれた瞬間を体験した感じだった。
震えと優しさが交差するなんて感情そう無いです。
この手の映画で
“人間が怖い”はよく聞くけど
“生活そのものが怖い”んです。
その場で息を吸う事がもう…。
重いし悲しいし深いし
初心者向けじゃないから
濃いところにフラグたくさんあるし。
なのに!!
なのにあんなところで優しいシーン持ってこないで。
感情の置き場がない傑作。
そして杉咲花 さん。
天才という名の怪物です。
もう凄いとかテキストで表すの無理。
で、杉咲さんも凄いけど
凄い杉咲さんを演出した監督&演出部。
とんでもない傑作ありがとうございました。
…ラストとか超怖いやん(´;ω;`)
強く生きる、ということ
舞台劇が原作。気になってはいたのですが、11月からロングラン、とのことで年明け1作品目で鑑賞。
面白いです。プロポーズの2日後に失踪したヒロイン、市子を逃げられた彼氏と、市子をある事件の参考人として追う刑事が、探す話。二人が市子を探す過程で浮かび上がる彼女の過去が話のメインになります。
市子には戸籍がなく、難病で自宅から出れない妹の月子の戸籍を使って生きてきた。彼氏からプロポーズされ、いざ結婚となるとそれが発覚するので逃げた、という設定。
この設定は凄く面白い。市子を、可哀想な境遇に生まれた女の子、と描かずに、そんな境遇にも強く生き抜く女、と描くのも好感が持てます。ヒロインの杉咲花も、地味だけど意外とモテる、って感じが上手く出ていますね。
自らの不遇に馴染めず月子で生きることに抵抗を感じている小学生時代、月子と義父を葬り月子を乗っ取り生きると決めた高校時代、月子から市子へと乗換を果たし過去と決別する時代、とそれぞれで市子の感情の違いを出すのが、この映画の見せ所かな。
全くストーリーは違いますが、自分のなかでは「白夜行」と「嫌われ松子の一生」が浮かびました。この2作品に比べてしまうと、1・2枚落ちると思いますが、まあ楽しめる作品ではあります。
この物語を生きる圧巻の俳優陣
先ず映画を観てしんどくなり、前の日お酒飲み過ぎたのか思いながらなんとか堪えて最後まで観ました。
自分の感想は2回目を観た後にまとめたい。
市子完成披露上映会
杉咲花舞台挨拶からの引用を
「市子」を演じた時間は引き裂かれる様な傷みがあったと同時に自分の中の大切な記憶として何度も何度も再生したい様な多幸感に包まれた時間でもあります。
人は外側から他者を見て…
大変そうとか可哀想とか…
自分の物差しでいろんなことを思うことがあると思うんですが…
中村ゆりさん演じる市子の母が
「幸せな時もあったんやで」という台詞があるように、どんな環境にいたとしても、その人のことはその人にしか分からなくて
どんなふうに感じて
日々何を受けとめているのかは自分たちには解らないこともあって
その上で、どれだけ他者と関わっていくことができるんだろうということを突きつけられる映画になっていると思います。
個人的にはこの映画をどう受けとめるか自分たちの実生活に反映される様な気がしてますし
この話しは自分には関係ないと思っている人にこそ、この映画を観てもらいたいという気持ちがあります。
何か揺さぶられるものがあれば
この映画があったということを広めて頂ければ嬉しいです。
このインタビューに感心しました。
杉咲花、圧巻の演技
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#中村ゆり
#若葉竜也
#戸田彬弘監督
#映画
『PEARL』との親和性
興味はあったが、どうしても後回しになってしまい、公開終了間際に映画館に駆け込み鑑賞。結論、見てよかった最高の映画でした。杉咲花さんは言うまでもなく、脇を固める俳優陣の演技も最高。個人的に出てる映画に外れなし!の宇野祥平さんも眼福の演技を見せてくれていました。
作品の中で重要なテーマとなっている「無戸籍児」「貧困」「ヤングケアラー」などの問題を、声高に叫ぶことなく我々に突き付けてくる。そこに、「介護疲れによる殺人」「女性搾取」「自殺ほう助」といった目をそむけたくなる問題も絡んでくる。今あげた問題は、それぞれ一つだけでも解決の糸口すら見えないような社会問題であり、それらの問題について自分は何ができるのかと考えると気が遠くなるくらい己の無力さを痛感してしまう。これらの問題を、違和感なく「市子」というキャラクターに落とし込んでいる作劇に、そのキャラクターを完璧に表現しきった杉咲花さんに最大限の賛辞を贈りたい。
ここからは賛否が分かれるかと思うが、私はこの映画、さらには市子というキャラクターと、同年に公開されたタイ・ウエスト監督、ミア・ゴス主演の『PEARL』との親和性を感じた。市子が作中で犯す「犯罪」はもちろん彼女の環境がそうさせた面が多分にある。生まれた瞬間から「無戸籍」という「罪」を背負った市子が、そのことを「罪」と規定する世界、つまり我々を憲法、法律で守っている「日本国」で生きるために他者の命を奪うことは、至極まっとうな真理のようにも思える。しかし、作中、呼吸器を外されたことで死にゆく妹の視点として抜かれた市子の顔、その彼女の目の奥にある深淵は、そういった外的な要因を一切省いたとしても残るであろう彼女の「闇」を映しているように見えた。ミア・ゴスさんが演じたパールと、杉咲花さん演じる市子の「無表情の異常な怖さ」は、同じ「闇」を持っているもの同士のように私には思えたのだ。彼女の犯した「罪」は社会のシステムがそうさせたのか、それとも彼女たち自身の持つファム・ファタール的側面がそうさせたのか、繰り返し見て考え続けたい作品である。もちろんファム・ファタールというキャラクター像自体が「男を惑わす女性」という、男性側の視点で切り取った差別的女性像であるから、そういった彼女の面もまた男性優位な社会視点へのカウンターであるといえることは補足しておきたい。
作中で、他の人の意見を聞きたいと思った部分は二点ある。一つは市子のプロポーズの答えは「イエス」だったのかということ。「一緒になりませんか?」という長谷川のプロポーズに「うれしい」と答えた市子。流れからいって「イエス」だと解釈したいし、彼女の涙は本当のうれし涙だと思う。しかし「うれしい」=「イエス」ではない。婚姻届を提出するということは文字通り「籍を入れる」ということである。そのために戸籍謄本が必要であることは市子もわかっていたであろう。彼女は「市子」としての人生を歩み始め、彼女自身のありのままを好いた長谷川にプロポーズをされた。これは自分自身として生きることを許されなかった市子が最も欲した「自己の肯定」だと思う。しかしその愛した人からある意味突き付けられた結婚届によって、彼女は再び社会によって自己を否定されてしまう。その悲しみの涙と解釈すると、彼女の涙が重く心に突き刺さる。
二つ目は、長谷川はあの後市子を探し続けるのかということ。これに関してはまだ答えを出せていない。これを読んでくれた方のご意見をぜひ伺いたい。
魔性の女
浴衣とかメガネ君が口を割らないワケとかチャラい彼氏とか、だいたい気になった伏線はきっちり回収されているように、構造が非常によくできている。
市子は、一見世捨て人のように見えるが実は(人狼風にいうなら)生存意欲は高いほうで、同性はドン引きされ、異性には懐かれる傾向があるのでキキちゃんは非常に貴重な存在。
姿を晦まさなければ何も起きなかったのでは・・・とも考えたが、普通の幸せ以上の目的があって着実に執念深く達成していくのを紐解いていくというある意味ヒトコワ。
というのがだいたいの自分の解釈ですが、作品中に明言されているわけではないのでネタバレじゃなくてもいいかなとは思ったが、まあ一応ネタバレにしときます。
こういう見る側の解釈に委ねる部分が多い作品は見終わったあとに引きずるのが良いです。
圧倒的にベロチュー良いなと思ってしまう下世話なわたし
「市子、大人一枚」と映画館でチケットを購入し
杉咲花さんが市子なんだろうなと映画館で鑑賞
見ている中で、昔派遣で工場勤務してた頃、失踪後偽名とわかったけど行方わからなくなった人や
借金まみれで逃げてきていつも車中泊してる方、家出少年、わけあって追われてる人、原稿を落として逃走中の作家など、私の生活の中で今までにいない人達と出会った頃を思い出しながら映画の行く末をおいました。
高校の夏に一緒にアイス食べて、別れ際あんな笑顔で手を振られたら、そりゃ好きになっちゃいますよ北くんがストーカーばりに執着するのも仕方がない気もします
本人は気がないかもしれないが、花火が好きや浴衣ええなぁなんて言われたら
叶えてあげたいと思うに決まってますやん。
普通の生活というのは言葉にすればに簡単なようで、現実なかなかの奇跡である
普通を求めた市子がようやく普通を手に入れる時やはり過去の精算が待ってます
とても残酷だとしても償えばいつかはと思うが、市子は消えた
嘘は嘘じゃないと隠せないや、この映画にさまざまな呪言のようなセリフが
あらゆる登場人物を縛っているようで言霊というのは恐ろしいなと思いました。
パンフレットにのってる市子の年表が映画にも描かれていない時系列の心情が触れられていてよかった
でもやっぱりベロチューはずるいって思っちゃいましたね
普通に生きていられれば
どっちだっけ
生きるって残酷
婚姻届とプロポーズ
一般的に1番幸せな時だろう
だけど市子にとっては
幸せが不幸せになった瞬間
現実を突きつけられた瞬間
嬉しい分悲しかった瞬間
DV、無戸籍、在宅看護、育児放棄、、、
複雑すぎる家庭環境の中で、もがいてもがいて
何度も限界がきて でもその都度助けられて
でも幸せにはなれなくて
幸せになりたいけど、なってはいけないと思ってる
嘘ばかりな事、周りに突っ込まれると否定するけど
産まれた時から嘘を重ねて生きてるから
嘘を否定する事は自分をなかったことにしてしまう
自分の中では嘘を重ね続けて生きていく事は当たり前で
その時その時の幸せな気持ちも本物で
味噌汁や花火、ショートケーキ
ごくごく当たり前な小さな幸せが
市子にとっては大きな幸せだった
他人がどんなに理解しようとしても
市子の全ては絶対に分かり合えない
だけど
確実に周りの人に必要とされてた市子
産まれた時から存在が肯定されていたら
市子はどんな子に育ったのだろう…
杉咲花ちゃん圧巻の演技
笑ってるけど深い深い闇がある
法廷遊戯の美鈴役と繋がってる感じがした
若葉竜也さんの演じる不器用だけど真っ直ぐな役が好き
中村ゆりさん、森永悠希くん良かった
中田青渚ちゃんと若葉さんが
また一緒の映画に出てるのが嬉しかった
何度も犯罪を犯していたけど
死者を直接映す描写はなくて、
被害者に気持ちを持ってくのではなくて
加害者の心情に注目させたかったのか
犯罪を肯定するわけではない
けど犯罪の背景を知ったらきっと見方が変わる
鼻歌の虹、壁と天井の虹、空に浮かぶ虹
所々に「虹」の表現があった
暗い表現とは真逆
川辺なつみ、市子、月子の願う幸せだったのか
幸せだった頃の思い出だったのか
色々考えさせられる映画だった
こんなことは架空の話であって欲しい
出演者全員の演技が素晴らしい
寄り添う気持ちを突き放される
恋人に結婚を申し込んだ次の日に彼女が失踪した。
時期を同じくしてテレビから流れてきた死体遺棄事件と関連があるのか?
ミステリー仕立てで進むのだけど、観るべきはそこじゃない。
男が恋人の過去を調べていくうちに、助けたいと差し伸べる手を過去の彼女に手を切りつけられるような話。
最後に彼女自身の独白で二人のささやかな暮しが語られると、「こんな暮らしを続けさせてあげたかったな」と、観ているこっちも思う。
そんな観客は、彼女が海辺を歌いながら歩く、冒頭で映されたのと同じラストシーンの意味を知った時、自分の手も血だらけな事を知るのです。
8年前の遺骨から死因が特定できるほど科学が進んでいるのに、離婚直後の子供も認知ができない前時代性の矛盾に憤る。
杉咲花の演技が圧巻!
新年早々ずーんと重い
名前というアイデンティティの重さ
虹は誰が見ても虹、七色があって見え方もくっきり綺麗でも、ぼんやりと滲んだように見えても虹は虹。
オープニングとエンディング、母親のハミングの虹が物語る、私は市子という名前がある。
無国籍児が色んな理由で存在することも最近ニュースで伝えられ、難病介護の苦労やDVなどの社会問題も描くことで市子というひとりの人間の人生が哀しいものに。
私達に当たり前に生まれた時から持っている名前が、自分のアイデンティティなのだろうけど、意識することはないだろう。
無国籍児として育ち学校にさえ行けない苦悩を見事に描かれ演じられている。
幼少期から彼氏との出会いまでの描写に少し頭の中が疲れるが、市子という人間が辿ってきた人生を観るものに伝えるには致し方なく、しっかりと観なくてはなりません。
私が1番苦しかったのは市子が介護してる月子を死なせたが、帰って来た母親が動揺するでもなく市子にありがとうと言って鼻歌歌いながら台所に立ったところ。
映画としても杉咲さん、恋人の若葉さんの真っ直ぐな演技力、子役や若い役者さん全てが高い演技力でこの重いテーマの映画を締まったものにしていて胸に突き刺さります。
エンドロール中の四人家族が幸せだった頃の会話が市子と母親の胸中に常にあるんだろうと思いました。
このような映画が単館でしか上映されない事が寂しいですね、シネコンも1日で一回上映でもいいので上映してほしいですね。
幸いにも私の住む街には珍しく単館系の映画を上映してくれるシネコンがあるので助かっますが。
家庭崩壊で名前まで偽って学生を続けるメンタルの強さ。
市子の家庭はほぼ崩壊していて、筋ジストロフィーの妹、月子の世話をしながら母親の内縁の夫、小泉との関係にも悩んでいる。
月子には戸籍があるものの、市子には戸籍がない。無戸籍である。
月子になりすまして学生時代をおくるものの、高校生までの関係を断ち切って市子と名乗り始める。
話を進め方に工夫を感じる。
時系列でもなく、市子に関わる人物の目線で順に描くというのは面白い。
最後に男女が車ごと海に突っ込んで男女が亡くなったが、市子ではない気がする。
それを明確にしなかったことで、鑑賞後にいろいろ周りで話ができる余韻まで残している。
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