「難病の子供について、ちゃんと取材してから作ってほしい」市子 toyoさんの映画レビュー(感想・評価)
難病の子供について、ちゃんと取材してから作ってほしい
杉咲花さんの演技が上手で見入っておりましたら、月子さんの亡くなるシーンで猛烈に腹が立ちました。
介護疲れでお子さんを殺してしまう事件、今の日本に多いですか?
難病の子供や重症心身障害児など数は増えている(医学の進歩で当事者の死亡率は劇的に下がっています)のに、そんな話は聞かないでしょう?
日本では地域自治体の福祉課や保健所、病院、訪問看護ステーション、ヘルパーさん、ボランティアさんなどが皆で見守り、地域で暮らせるよう体制を整えています。今は医療的ケアがあっても特別支援学校へ通学できます。
お母さんがシングルマザーであれば各種手当も含めてちゃんと暮らしていける給付もあります。家庭内の介護が難しいなら優先的に施設へ入所させてもらえます。
そもそも人工呼吸器は裏でどうこうして手に入れらるものではありません。
たくさんの人達が苦労して難病の子供たちが家で暮らしていけるように政治に働きかけて少しずつ支援体制を作ってきたのです。
一生懸命生きている子供をみんなで支えています。医療看護行政の支援無しには難病の子は自宅で生きていくことはできません。「誰にも知られずに…」って無理です。
ご都合主義に使わないでいただきたい。
また、小学校入学時に年上の子が妹の名前で学校へ行く?
小学校低学年は一番成長する頃です。永久歯に生え変わるころで年齢詐称が一番難しいころです。ありえません。入学時検診で発覚するでしょう。
細かいことをぜんぶ大目に見たとしても、お母さんが妹を殺した姉に「ありがとうな」とは絶対に言いません。難病の子供の介護は大変だけど、とてつもなく可愛いそうです。
亡くなっていたら半狂乱になってしまうと思います。
劇場の芝居なら演劇好きな人だけが見に行って、それでいい。
「フィクションにそんな目くじら立てるな!」と自分でも思いますが、外国の映画祭にたくさん出品されているので、日本の医療福祉体制を誤解されては困ります。