「幸あれ」市子 marさんの映画レビュー(感想・評価)
幸あれ
賛否両論あるけど傑作だと思う。
この作品を見るまで無戸籍問題なんて知らなかったし
そこまででなくても、人に言えない闇みたいなもんは
誰だって多かれ少なかれ抱えているだろうと思うからだ。
「万引き家族」しかり、こういう見過ごされてきた
社会の隙間みたいなものを映像として、
しかも上質な映画作品として世に残すことは意義がある。
本作では、川辺市子という人の人生を他者の目線で浮き彫りにしていく。
彼女が無戸籍になってしまったのは、ある意味で母の愛情からと言えなくもないし
彼女が嘘を重ねざるを得なかったのは、希望を捨てなかったからと言えなくもない。
特に「助けたい」なんていう感情は、エゴ以外のなんでもないし
誰か他者がジャッジしていい類のものではなく、
どこかに障がい者の人権軽視だとか法律軽視だとか言ってる人がいたけど
この作品にそういう感想を抱く人って何を見てるんだろうと。
反対に、母・川辺なつみの証言が嘘では?っていうレビューには目を開かれる感覚だった。
とにかく、こんなに鑑賞しながらハッピーエンドを願った作品は他になかった。
市子に幸あれ。
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R41さんのコメント
2024年4月10日
素晴らしいレビューです。
私もそう思います。
この作品に対する感想は「自由」かつ「ノージャッジメント」でいいと思います。
いまとなっては映画でしかできない「表現の自由」に対する各々の解釈の「意見交換」を望んだ作品ではないかとも思います。