劇場公開日 2023年12月8日

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「市子に突き動かされた映画」市子 にんじんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5市子に突き動かされた映画

2023年12月24日
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この映画の市子を徹底的に描く姿勢が素晴らしかった。多分この映画は市子に突き動かされて作られた映画なんだなと伝わってきた。
市子の時には観客に寄り添って時には突き放して、同化と異化のバランスが絶妙すぎる。杉咲花が今までの杉咲花じゃないのは皆が感じたことだと思う。弱々しさとその裏にある魔性とが表情に現れてて恐ろしかった。
また観客のオリジナル脚本(元々戯曲)にも関わらず、しっかりとしたミステリ展開で映画自体の掴みも強いし、映像だったり物語だったりのトリックも良かった。

映画自体のコンセプトだったり市子の魔性さだったりは好きだけど、
最後の展開含めてストーリーの華のために映画全体の人間描写のクオリティが下がっているように思う。
筋ジストロフィーというシリアスな病気を、このストーリーの為に道具として利用した様にも感じられる。もう少しその点を説明しないと配慮やリアリティが欠けてしまう。
お母さんの「ありがとう」というセリフは自分には違和感だった。なんか当事者のリアルと言うより外側から見た演出のような感じがした。
またこの映画は万人向けの王道を捨ているだけあって、最後の回想シーンは違和感。

ただやっぱり市子を映画で描ききったのは本当に凄い。

にんじん