「市子の深淵をのぞくとき」市子 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
市子の深淵をのぞくとき
市子の目を覗くと、底なしの闇に絡めとられる。杉咲花の底力を感じる演技で、ラストまで緊張が張りつめる。
観客に媚びることなく、作りたいものを撮る。そんな製作陣の気持ちがバンバン伝わってくる。市子のバックグラウンドストーリーは、同情したからってどうなるものでもない。社会の歪みが作った蟻地獄に堕ちてしまった家族。生きていくために、他の人間を蟻地獄の底で待つことになってしまう。
愛で困難を乗り越える。なんて、綺麗事を抜かしている人間は、出鼻をくじかれて逃げ出すか、気がつくと地獄の住人になってしまう。
徹底したリアリズムを叩きつけられて、私のハートはどす黒い色相に変わってしまった。「愛ではどうにもならない事がある」そんなことを呟きたくなります。
倉悠貴は、OUTよりいい演技してるし、安定の若葉竜也に、ヤバい作品に欠かせない宇野祥平。そして、杉咲花。子役も含めて、配役は完璧じゃないの。
劇場に着いたら、ソールドアウトのお知らせが聞こえて、ビックリしたけど、期待に違わない重量級の作品でございます。
僕のように…の言葉にどきりとしました。ひとの思いを敏感に感じとる市子は、おもい描く人生に憐れみを受ける自分こそ理想に反していた…なるほどです。私は、長谷川くんとの時間だけは何かが違い素直に込み上げた涙があったようにみえ、その後の涙は運命へのかなしみが混ざった〝葛藤〟を流し逃亡の決意を固めるものにみえました。そうか、市子にとればこれも憐れみの視線なのも…と振り返っています。返信ありがとうございました。
愛ではどうにもならない事がある
つくづく、そうでした。
杉咲さんとくれば期待が高まりますが超えてきましたね。
すばらしかった。
重い余韻が帰りの北風に吹かれて凍えそうでした〜💦