「後からじっくり市子を考える」市子 imaxmaxさんの映画レビュー(感想・評価)
後からじっくり市子を考える
いつも行くシネコンに大きなPOPがあった。『市子』。あまり見る気にならないタイトル。「プロポーズの翌日に失踪。」想像出来るいくつかの理由。壮絶な過去か?ハンカチ必須作品か?やっぱり見る気にならない。しかし、杉咲花。こちらは見ない理由が無い。気持ちが変わらないうちに、初日に行く。
以下ネタバレ有り
プロポーズの翌日、テレビで白骨遺体の報道。関係が無い筈がない。恋人は捜索を開始するが、映画は過去にさかのぼる。そして時代を行ったり来たりして市子の半生が語られる。
DV元夫から逃れる為に無戸籍を選択してしまう。無戸籍が故に就学、保険が無い。2023年ならこの様な問題はいくらかは解消されている。(300日問題は2024年から) しかし、映画の当時はかなり厳しい時代だった。
市子は妹の呼吸器を外す。母と共に死体遺棄。その後も暴力男を同級生と死体遺棄。ケーキ屋になることを夢見る日も。そしてラストは謎の若い男女の転落事故の報道。
市子に幸せな時間はあったのだろうか?一番幸せだったのは、プロポーズがあった 0.1秒ぐらいか?プロポーズは無くとも怯え続ける人生になったのか?
この映画はハンカチは必要ない。心を揺さぶられる事もない。しかし、現在の実社会の問題を含め、「市子」の人生を考えたくなる作品だと思う。そしてジワジワと後になって心を揺さぶられてくる事になると思う。
時代背景が分かりにくいと思ったのなら、パンフを買っても良い。「市子」年表が分かりやすい。でも公開、小規模すぎ。
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