劇場公開日 2024年5月3日

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人間の境界のレビュー・感想・評価

全41件中、1~20件目を表示

4.0生かさず、殺さず‼️

2024年12月20日
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鑑賞方法:VOD

2021年。 ベラルーシ政府はEUに混乱をもたらす目的で、多数の難民を、 ポーランド国境に送り込んだ。 ベラルーシ政府の政策を間に受けてポーランド入国を目指す シリア難民の家族たちと、難民をピンポン玉のように 投げ返すポーランド政府はそれを拒否する。 国境で難民の入国を阻止する国境警備隊。 そして難民を支援するポーランドの活動家。 難民のかぞく。 この3つの視点から難民支援のあり方と現状を描いた映画です。 ベラルーシとポーランドの国境は原生林が阻んでいて、 夜の原生林の闇は漆黒で本当に暗い。 国境近くに自宅を持つ精神科医のユリアはある日、犬の散歩をしていて、 国境の立ち入り禁止区域の沼地に潜んでいた難民を保護する。 それをキッカケに活動家としての運動にのめり込んで行きます。 活動家仲間の反対を押し切って《禁止区域》に入り難民を逃そうとして、 警察に検挙されてしまう。 嫌がらせの身体検査を受け勾留されるが、 ユリアの怒りはもう止められない。 立派に難民支援活動家に成長している。 エピローグで、 2022年2月のロシアのウクライナ侵攻が起こり、ウクライナの難民、 200万人がポーランドに押し寄せた。 全世界の紛争で難民は増え続けている。 国連の活動もEUの支援も、「生かさず、殺さず」 難民は、 「千の死を死ぬ」と嘆く。 誰も本気では助けてくれない。 ★ポーランド本国で上映妨害を受けた問題作。 監督はポーランドの巨匠アグニシュエカ・ホランド。

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琥珀糖

3.5救いもある

2024年11月7日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」。シリア人一家とアフガニスタンの女性が、空路ベラルーシに到着し、何とかポーランドへの国境を越える。しかし国境警備隊により、ベラルーシへ戻される。ベラルーシ軍もまた、難民を追い出す、が繰り返されてしまう。  ベラルーシはテロリストを送り込んでくる、というポーランド。厄介払いで混乱させるためのベラルーシ。翻弄される難民。職務をこなす警備隊。できることに制限がある人権活動家。なんともやるせない気分になります。それでも最後に救いがあり震えました。エピローグには、ウクライナ難民の様子も。

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sironabe

「だから難民など認定しちゃいけないんだ」と言う政治家にこそ観て欲しい

2024年8月27日
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鑑賞方法:映画館

 これはキツい映画だったぁ。こんな事態がある事は海外ニュースで聞きかじってはいましたが、こんな凄まじい現実を生きている人々が居るとは思いもしませんでした。また、自国でのこの出来事を「映画にして世界に届けなくては」の監督の思いが溢れていました。  プーチン・べったりのベラルーシのルカシェンコ大統領は、シリア・アフガンなどからの難民を大量に集めて隣国ポーランドに押し付け、EUを混乱させようと企図します。いわゆる、「人間の銃弾」作戦です。一方、ポーランド政府は野放図な難民流入を阻止すべく国境警備隊を配備して難民を力づくで押し返します。本作は、「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じて祖国を脱出したシリア人家族が、両国国境間でキャッチボールの様に弄ばれる姿を描いたドラマです。  両国の警備隊員は国境の鉄条網を破壊して難民を力づくで相手側に押し出せば任務完了です。難民らはその間、食料にも水にも事欠き翻弄されます。何とかスマホの電池を持たせて、援助者の手を借りてポーランド国内に潜り込むことが唯一の助かる道です。寒さやひもじさで亡くなる人も次々と出て来ます。しかし、警備隊員はその死体を相手国側に投げ入れるだけ。この警備員たちも、自分の心のスイッチの幾つかを off にして任務に従事するしかありません。  その厳しい現実がドキュメンタリーの様に淡々とモノクロ映像で描かれます。観る者の臓腑を抉る生々しさ。  「日本は地続きの国境がなくてよかったな」と胸を撫でおろしていて良いのでしょうか。政治家は、「だから難民など認定しちゃいけないんだ」と嘯くのでしょうか。難民申請者を収容所に長期勾留し見殺しにしているこの国は「緩慢なベラルーシ」とは言えないでしょうか。

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La Strada

3.0難民問題を鋭く描く

2024年7月21日
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鑑賞方法:映画館

難民家族の過酷な運命をモノクロ映像で鋭く描いた社会派ドラマ。ベラルーシとポーランドの国境で待ち受ける運命は目を疑うような非人道的な扱いに驚嘆。現代でもこのような人間兵器と呼ばれる策略があることに唖然としました。 2024-122

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隣組

4.0これが現在の話なのか

2024年7月13日
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かつて大量虐殺を行った あの軍隊と変わらない現状 脚本も誠実で素晴らしかった

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JYARI

3.5暗い、気が滅入る、でも知っておくべき現実

2024年6月12日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

2021年、ベラルーシ政府がEUを混乱させるために大勢の難民をポーランド国境に移送し、人間兵器として使った話。 「ベラルーシを経由してポーランド国境を越えれば安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じた難民たちは、幼い子どもを連れて祖国シリアを脱出し、やっとのことで国境の森にたどり着いた。しかし、武装した国境警備隊から非人道的な扱いを受けた末にベラルーシへ送り返され、そこから再びポーランドへ強制移送されることになった。一家は暴力と迫害に満ちた状況のなか、地獄のような日々を強いられた、という悲惨な現実を描いた作品。 ロシアに加担してウクライナを攻撃してるベラルーシはEUを混乱させようとしてこんなことまでしてるのかと唖然とした。 ポーランド政府としては仕方ないとはいえ不都合な真実なのだろう。支援活動をしてる人達には頭が下がるが、コソコソせずもっと堂々と支援出来れば良いが、そうするとベラルーシはもっと大量に難民を送り込んでくるのだろう。 ロシアにベッタリのルカシェンコが独裁体制を敷いてる限りベラルーシで人権というものはないのかな? ロシアに関係する国境の話は難しい。

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りあの

2.5モノクロで描き出す、人とそうでない者の境界

2024年6月7日
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鑑賞方法:映画館

ポーランドとベラルーシの国境で、アフリカやアフガニスタン等からの難民が 国境警備隊によって、相互に”人間兵器“として押し付け合う、その様は もはや人の所業ではありません。 人を人として扱っておらず、劇中の難民家族が言う通り動物のような、いや、そこにも該当しないような 扱いを受けて、亡くなっていく人も多数。 映画では、難民家族、国境警備隊、支援活動家、それぞれの視点から この問題が描かれますが、目を覆いたくなるような、そんな悲惨な状態に置かれる避難民の方々。 母国を脱出する必要がなければ、かような問題はないのかもしれませんが、 そうでないのが実態です。 劇中には、国境警備隊にも”人“がいたり、 支援活動家家族と避難民との心温まる交流に、少し救われた気持ちになりますが、 結局はこの問題は全く解決していないので、それを観客につきつける映画作品であったと思いますし、 いろいろと考えさせられました。 エンターテインメントではありませんが、 国際情勢を知る、良い機会となりましたし、観る価値のある作品だと思います。

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ひでちゃぴん

5.0人間とそうでないものの境界線

Mさん
2024年6月7日
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邦題そのままの、人間とそうでないものの境界線を描いた映画です。それは、1本の鉛筆で引けるような単純な線ではなく、もっとぼやっと曖昧で、どこまでが境界なのかもわからないような線でした。 個人的には「Zielona Granica(Green Borderの意味)」というシンプルな題名が好きでしたが、邦題をつけた人は、この題名をつけることによって伝えたいことがあったのだと思いました。 見ると辛いのですが、それでも見るべき映画です。 追記 2回目の鑑賞。見終えた後、一緒に行った人から、「(「マリウポリの20日間」を見終えた後に私が言っていた)「国ガチャ」の言葉が、ずっと頭から離れなかった」と言われました。

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M

4.5生命の重み

2024年6月6日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

 終始重苦しい内容なので観てて辛くなってしまったが、エンドクレジットで示されるように、ここで描かれている難民に対する非人道的な仕打ちは実際に今でも行われているという。遠い国日本に住んでいると、こういう事は中々分からないものである。そういう意味では、観て良かったと思える作品だった。  聞けば、ベラルーシはEU諸国を混乱させる目的で敢えて難民を集めて送り込んでいるらしい。一方のポーランド政府も不法入国する難民を受けれない方針を取っており、彼等を見つければベラルーシに追い返すことにしている。そもそも、ベラルーシはロシアの同盟国であり、ポーランドを含めた西側諸国からすれば敵対する国である。そんな国からの移民はそう簡単に受け入れられないという事情もあるのだろう。  こうしてシリアやアフガニスタンから逃れてやってきた難民は、まるで”物”のように扱われ、国境沿いで立ち往生することになってしまう。正に行くも地獄、戻るも地獄。彼らの安住の地はどこにもない。  映画は国境を越えようとする一組の難民家族、彼等を支援する活動家、国境警備隊員、夫々の立場でこの問題を多角的に捉えている。一つの偏った視線に寄らず包括的に描くことで、この問題の難しさを浮き彫りにしようとする試みが感じられた。  中でも、国境警備隊員ヤンの葛藤にはドラマとしての面白さが感じられた。彼は身重の妻と慎ましくも幸せな日々を送っている。しかし、日々の任務からストレスが積み重なり、徐々に精神的に疲弊していくようになる。そんな彼が終盤に採った選択は印象的だった。暗い物語の中にかすかな光明が感じられた。  また、難民支援の活動に身を投じる精神科医ユリアのエピソードも印象深い。自らの危険を顧みず、この問題に真っ向から立ち向かうのだが、その姿は実に健気で崇高だ。そして、そんな彼女の奮闘が実を結ぶ終盤の展開にも、かすかな希望の光が感じられた。  こうした終盤の展開は若干ヒロイックになった感は拭えないが、このあたりは”劇映画”たらんとする作り手側の”良心”だろう。現実を見せるだけであればドキュメンタリーで事足りるわけで、こうしたドラマ性が無ければ劇映画にする意味はない。  もう一つ、本作にはエピローグが登場してくるが、これを観るとここで描かれている物語が何とも皮肉的なものに思えた。命の重さに違いなど無いはずなのに、この差は一体何だろう?と考えさせられる。  監督、脚本はアグニェシュカ・ホランド。かつてはアンジェイ・ワイダの下で脚本などを書いていた作家なので、元々本作のような社会派的な眼差しを持った監督なのだろう。ワイダの「地下水道」のオマージュとも言うべき「ソハの地下水道」を製作して世界的な賞賛を受けたが、その時のヒューマニズムは本作のヤンとユリアの活躍に引き継がれているような気がした。  今回は手持ちカメラによるモノクロ撮影が貫かれ、まるでドキュメンタリーを観ているような生々しさが感じられた。終始重苦しいトーンが続き暗澹たる気持ちにさせられるが、同時に目を離せぬリアリズムも持っている。特に、主人公一家に対する容赦のない追い込み方など、エネルギッシュな演出が光っていた。

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ありの

3.5勉強不足

2024年5月23日
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この手の映画を観るたびに、この地域の歴史や地理的な位置を確認しなくてはと思いつつ、結局、観終わった後に消化不良に陥ってしまう。 この次こそ、事前に勉強します。

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hanataro2

4.0目に見える境界線と目に見えない境界

2024年5月18日
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悲しい

難しい

本作の邦題『人間の境界』は秀逸なタイトルだと思います。作中では「目に見える境界線」だけでなく、数多の『目に見えない境界』の存在を 本作の物語と映像を通して痛感させられる作品でした。 【ストーリー(脚本) & 演出】 現実に起きている問題を『難民』『国境警備隊』『難民支援者』『難民と関わった国民』それぞれの視点から《章仕立て》にして観せる構成の作品です。 「重く暗く苦しい」ストーリーと演出が続くのだが 「これは現実に起きている事である」と考えると、映画としては[観る人を選ぶ作品]なのは分かっていても 出来る事ならば[一人でも多くの方に観てもらいたい作品]でもあると考えました。 《世界の「何処かで」起きている悲劇的な出来事が、実際に『世界の何処で起きているのか』を知る》150分間です。 脚本評価★★★★★ 演出評価★★★★★ 【キャスティング(配役) & 演技】 知らない俳優さんばかりでしたが、ドキュメンタリー映画かと思う程《真実味・現実味》のある迫真の演技であったと思います。 配役評価★★★★☆ 演技評価★★★★★ 【映像 & 音楽】 本作の映像は《白黒のモノクロ映像》です。それを観て最初に私が考えたのは『おそらく本作の制作者は「この物語には[色彩という情報]は必要ない」と考えたのかな?』という事でした。 制作者にとって[不要な要素]を削ぎ落とす事によって、自身が伝えたい事を より鮮明に描き出そうとしたのだろう かと。 映像評価★★★★★ 音楽評価★★★☆☆ (近年[モノクロ映像]で制作・公開される作品も時折り見かけるようになりましたし、もし白黒映像作品を観た事がなく「白黒の映像に抵抗感がある」方が居たとしても、案外観てるうちに気にならなくなりますし 最後まで観れてしまうものですので、一度鑑賞してみても良いかと) 【総合評価】 ドキュメンタリー映画程ではなくても (おそらくですが)限りなく現実に近い物語なので、レビュー冒頭でも描きましたが[観る人を選ぶ作品]である事は否めません。 作品の内容だけで[主観的に]評価するならば 迷わず★5評価の作品なのですが、レビューとして[客観的に]評価するとなると 上記要素を考慮して《★4評価》にせざるを得ないかなぁ と。

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ネコと映画と人生と

3.5人はいとも簡単に一線を越える

2024年5月18日
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点数抑えめなのはお察し下さいませ。気持ちとこの映画の意義としては6.0でございました。あえての白黒表現なので遠い昔に感じてしまいますが、ついこの間の事。コロナ禍が世界を席巻している最中の出来事でございます。そう考えると、より"えげつない"残酷さに臓腑が煮える思いが募ります。その実"なぜ?"なんて理由は無いのかも知れないし人間本来のコミュニティ形成を生々しく見せられているだけなのかも知れないのだけれども、やっぱり抗いたい。警備隊の彼はそうだったんじゃなかろうか。個人的には彼が唯一の救いだった。必見。

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lynx09b

4.5原題Green Borderよりも付けられた邦題の方がわかりやすくしっくりくる珍しい作品ww

2024年5月17日
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ここ数年の間で観た映画の中ではズーンと重く、息の詰まるしんどい時間が最も長い映画だった。 先日の『ミセス・クルナス〜』のレビューめも人種系の問題について少し触れたけど、あの映画はミセス・クルナス(=ラビエ母さん)のおかげで重たくなりすぎない作りになっていた。変わって、こちらは最初の40分くらい(第1章:家族)が暗くて、重くて、理不尽すぎて、とにかく怖くて、120分フルでこの状態が続くようなら心がもたないから途中離脱もあり得るな……と不安すら覚えた。やりたい放題なんだよ、兵士たち!基本的人権が尊重されてない!とかそんなこと言ってる場合ぢゃない!家畜のような扱いを受けたとしてもとにかく生き延びることだけを考えて動かなければならない。だってあまりに辛すぎて生き延びようとする気力が奪われてしまってる人もあんなにたくさん出てきたもの。このまんまの痛い辛い痛い辛いの流れが最後まで……とならなくて本当に良かったε-(´∀`; ) 同じ事象に直面しても、難民家族なのか、亡命を阻止する国境警備隊なのか、亡命希望者を助ける活動家なのか、立たされた立場によって捉え方や感じ方は異なる。みんな自分の正義に基づいて動いているんだ、そう言えればまだ良いけど自分の正義に基づいて動けているのは活動家たちくらい。自分ではない「誰か」によって「ステレオタイプ化」された「正義」のために職務を全うしようとする国境警備隊のポーランド人青年は自他の「正義」の狭間で揺れ動く、まさに「境界」の上のやじろべえ状態となっていた。難民家族が物理的に痛くて辛いのに対して、ポーランド青年は心が痛くて辛そうだった。 100%の悪は存在しない、ということをまざまざと見せつけられる非常に良質なモキュメンタリー作品。

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らまんば

4.024-055

2024年5月17日
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ベラルーシを経由してポーランドへ向かう。 祖国を逃れ平穏な暮らしを求めてヨーロッパを目指す難民たち。 その難民を利用する悪魔の考え「人間兵器」。 難民も自国民も国境警察も、全ての人の心を蝕む。 宗教や生活習慣の違いを受け入れられない者同士が共存することは難しく、人道的な行動が、国家安全的な行動になるとは限らない。 事実ベースなだけに難題を突きつけられました。

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佐阪航

4.5いつまでやってんねん。

2024年5月16日
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もぅ2年2ヶ月ぐらい経ちますか戦争。プーチン、暗殺もされんとから腹立つわ。こんな事が日本で起きたらどないします?。あり得へんねんけど…あり得ますやろか。頼むからやめてくれ世界中の戦争。

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Cinemaオタク女

4.5人間とそれ以外の境界とは

2024年5月12日
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鑑賞方法:映画館

政府の妨害をくぐり抜け1ヶ月足らずで撮影されたこの映画はドキュメンタリーのような現実感と緊迫感が常に漂う。 家畜以下のように難民をトラックに押し込められ移送し投げ出される難民たち。怪我人も子供も年寄りも妊婦もおかまいなしに。 二国間の境界で難民達を押しつけ合う国境警備隊、 夫の非人道的な任務を知っていて仕方ないと擁護する警備隊員の妻 難民申請を放置し悪質な環境の収容所にいれるだけの政府 政府に目をつけられない範囲でできる限りの支援する人権活動家たち、 自分にも家族がいる、と関わるのを避ける友人、 偶然難民と関わったことで義憤にかられる女性、 通りすがりに食べ物を分け与えて去る人、 原題は「GREEN BORDER」だが、「人間の境界」という邦題は巧みだ。 難民を前にして、果たして最も人間らしさを保っているのは誰なのだろうか。 本編でも言及されているように、ウクライナから来た白人の難民は大勢受け入れるのにアフリカや中東、アジアからの難民は受け入れず非人道的に扱うグロテスクな構図。これは人種差別の問題でもある。 日本人にとっても決して他人事ではない。

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Jax

5.0人間はいつも

2024年5月10日
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鑑賞方法:映画館

暴力を振るう者と虐げられる者 いつも損をさせられるのは末端の人々達 なるのですね•• 人間というものの性を 日々ニュースや新聞でも流れているのでしょうけど 向かい合って映画で見ることにより 日々目を背けてきた気がします 一縷の光として心優しい警備隊の若者の葛藤を 描いてましたがエピローグの3万人の死亡をみて 暗澹たる気持ちになりましたが 事実をもっと知りたい気持ちなり 考えさせてくれるきっかけをくれた一本となりました やはり人と人は 手を取り合って助け合いものでなければ ダメですよね⁉︎

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mmnioh

5.0長くて重い映画で、消化できない何かを飲み込んだ気がしました。

2024年5月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

日本に住んでいると、普段あまり意識しない国境。 ヨーロッパを旅すると、国内旅行をするような感じで、越境します。 トランプ大統領がメキシコとの国境に塀を建てる、とか。 ドイツのメルケル元首相が、人道的な面で積極的に移民を受け入れる、とか。 10年前、15年ぶりに訪れたロンドン中心地には、道端に寝転んでいる中東系男性がたくさんいて、少々怖かったです。 この映画では、まさに今、虐げられている難民の苦境を様々な視点から描いています。 国境警備隊の、難民の方々に対する仕打ちを観て、残酷すぎて言葉を失いました。 ホントに、これが世界で最も人権を重んじるヨーロッパの人々の姿なのだろうか。 楽しく日常生活を送っていることに、いたたまれない気持ちを抱きました。 自分自身のスペースに難民をかくまうようなサポートは、私にはできません。 お金の寄付や、こうして映画のレビューを書くこと、それをSNSで発信したり、直接人に伝えることをしていきます。 大規模災害、気候変動、紛争・侵略・戦争など、地球上のどこかの国が丸ごと消滅することも、起こり得ます。 日本人も他人ごとではありません。 自分自身が難民になるかもしれないという視点で、難民問題を考えていきます。

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のりたまちび

4.5聖歌とラップ

2024年5月10日
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現在進行形の『灰とダイヤモンド』 21世紀の『地下水道』、 『ソハの地下水道』 ワイダ、カヴァレロヴィッチ、 キェシロフスキ、 脈々と流れている伝統的リアリズム。 聖なるストーリーから、 メタフィロソフィー、 国、戦争、平和、人間を題材にしながらも、知らなかったとは言わせない、 見てないふりをさせないように、 観客の自分事になるまで巧みな描写で、 問題を引きずり降ろす。 そしてプーチンでもなく、 ベラルーシや、 ポ国境警備隊でもなく、 オマエはどうするんだと、 突きつける手法は健在だ。 具体的にいうと、 肌の色に対する考え、 手の甲、足の裏のケガ、 治療する薬品、 それぞれの痛み傷みを、 観客の心のネガに焼き付ける、 ポーランド映画のリアリズム技術、 旧共産圏の映画に対するリテラシーの高さの伝統を駆使しながら、 協力者が警察に対して聖歌を武器にしたり、 難民と協力者がラップを唄ったり、 対照的な音楽が印象的に使用されている。 こういう対比で、 異文化の衝突、 価値観が違っても協力する意志、 センス等、 伝統の守破離、 いつまでもワイダを頼らない感も素晴らしかった。 悪は存在する、 闘いも存在する。 【蛇足】 上記にも書いた旧共産圏、 欧米諸国では映画俳優、 スタッフは国家公務員に近い職種。 そうでなければ、 国家試験が必要、 または、 少なくとも運転免許のような、 資格制度が存在する。 義務教育でも、 国語、数学、音楽とおなじように、 演技、芝居がある。 上記のポーランドの監督たちは全員、 ポーランド西部のウッチ国立映画大学の卒業生だ。 日本でも導入すれば、 少なくとも経済的インパクトも低くはない、 そのあたりは、 youtubeでも話しています。

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蛇足軒妖瀬布

5.0リトアニアに逃げたベラルーシのルカシェンコ大統領が行った報復

2024年5月10日
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鑑賞方法:映画館

怖い

単純

知的

人間の境界 神戸市内にある映画館シネ・リーブル神戸にて鑑賞 2024年5月7日(火) パンフレット入手 原題「Green Border」(緑の国境地帯) 2021年 ベラルーシ政府がEUに混乱を引き起こす狙いで大勢の難民をポーランド国境へと移送する。しかしポーランド政府は受け入れを拒否、彼らを強制的に送り返した。この「人間兵器」と呼ばれる策略に翻弄された人々の過酷な運命を、シリア人難民家族、ポーランド側で彼らを支援する活動家、国境警備隊の青年などの複数の視点から描き出す。 ----------------- 安全な生活が送れると信じてポーランドへ渡ってきたシリア人家族、しかしようやく国境に辿り着いた直後、武装した警備隊から非人道的な扱いを受けた上にベラルーシへと送り返され、そのベラルーシからも再びポーランドへ強制移送される。彼らはどちらの国からも押しつけ合われるように暴力と迫害に満ちた過酷な状況を強いられ、終わりのない無限地獄のような日々を過ごすことになる ----------------- 以下パンフレットより 同年7月頃から、イラク、アフガニスタン、シリア出身のEU移住希望者の群れがベラルーシの首都ミンスクから同国とポーランド、リトアニア、ラトビアの国境に移動し、EU域内への越境を試みるようになった。これはベラルーシの独裁指導者ルカシェンコ大統領が意図的に引き起こした難民危機だった(計略を背後で操っていたのは欧米民主主義国家の混乱を画策するロシアのプーチン大統領である) --------------------- 「移民戦争」のシナリオは以下の通り 中東各地でベラルーシからポーランド、リトアニア、ラトビアとの国境を超えてEU域内に移住できるという情報を与え、アフガニスタンやシリア難民のためにビザの有効期限72時間のツアーを企画する。ベラルーシ政府は意図的に彼らを「人間の武器」としてEU国境に送り込み、その状況を不安化させる。 --------------------- 背景にはEUとの関係悪化があった。前年8月のベラルーシ大統領選挙でルカシェンコが選ばれるが、結果を認めない市民、国際社会による抗議活動が起こる。反体制指導者から弾圧され、リトアニアに亡命した。2021年5月には、アテネ発ヴィリニュス行きの国際旅客機がミンスク空港に緊急着陸を命じられ、乗機していたベラルーシの政治活動家が連れ去られた。 これらの事件に対して、EUはベラルーシに経済制裁を料し、ルカシェンコ大統領は報復として「移民戦争」を開始したのだった。 監督 アグニエシュカ・ホランド ユリア役 マヤ・オスタシェフスカ レイラ役 ベヒ・ジャナティ・アタイ 祖父役 モハマド・アル・ラシ アミーナ役 ダリア・ナウス ヤン役 トマシュ・ヴウォソク ------------------------------- 感想 リトアニアに逃げたベラルーシのルカシェンコ大統領が行った報復である。

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大岸弦