劇場公開日 2024年5月3日

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「生かさず、殺さず‼️」人間の境界 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0生かさず、殺さず‼️

2024年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

2021年。
ベラルーシ政府はEUに混乱をもたらす目的で、多数の難民を、
ポーランド国境に送り込んだ。
ベラルーシ政府の政策を間に受けてポーランド入国を目指す
シリア難民の家族たちと、難民をピンポン玉のように
投げ返すポーランド政府はそれを拒否する。
国境で難民の入国を阻止する国境警備隊。
そして難民を支援するポーランドの活動家。
難民のかぞく。
この3つの視点から難民支援のあり方と現状を描いた映画です。
ベラルーシとポーランドの国境は原生林が阻んでいて、
夜の原生林の闇は漆黒で本当に暗い。

国境近くに自宅を持つ精神科医のユリアはある日、犬の散歩をしていて、
国境の立ち入り禁止区域の沼地に潜んでいた難民を保護する。
それをキッカケに活動家としての運動にのめり込んで行きます。
活動家仲間の反対を押し切って《禁止区域》に入り難民を逃そうとして、
警察に検挙されてしまう。
嫌がらせの身体検査を受け勾留されるが、
ユリアの怒りはもう止められない。
立派に難民支援活動家に成長している。
エピローグで、
2022年2月のロシアのウクライナ侵攻が起こり、ウクライナの難民、
200万人がポーランドに押し寄せた。
全世界の紛争で難民は増え続けている。
国連の活動もEUの支援も、「生かさず、殺さず」
難民は、
「千の死を死ぬ」と嘆く。
誰も本気では助けてくれない。
★ポーランド本国で上映妨害を受けた問題作。
監督はポーランドの巨匠アグニシュエカ・ホランド。

琥珀糖