「非人道と人道のせめぎあい」人間の境界 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
非人道と人道のせめぎあい
日本にいる私達にとってヨーロッパの難民問題は少し遠い出来事。EU圏内で発生する移民への迫害は知っていても、難民をまた強制的に送り返すことで混乱を巻き起こそうとする国があるなんて!難民問題があるとは知っていても全然わかっていなかったんだなと強く実感させられた。
シリアからの難民家族、国境警備隊、難民を支縁する活動家と視点が変わっていくのが群像劇のようでよかった。様々な視点から描かれることでより厚みのある物語になっていたと思う。いや、物語というには軽すぎるか。現実の世界で起こっている「今」を描いた話だ。ちょっと前の話と思っていた自分を恥じてしまう。
ここで描かれる難民たちの環境は本当に地獄のようだった。非人道的な扱いとはこのことだ。あんな環境自分だったら耐えられない。早々に命を落としてしまうに違いない。
それでも難民たちを支縁する人たちがいることは唯一の救いだった。非人道的な扱いと、人道的な支援がせめぎ合っている様にただただ圧倒されてしまった。結構長い映画なのにスクリーンから目が離せなかった。同時代性というものを強く意識させられる。すごい映画だ。
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