劇場公開日 2024年4月26日

「侵略SFや怪奇映画のようでもある」悪は存在しない ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5侵略SFや怪奇映画のようでもある

2024年4月28日
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鑑賞方法:映画館

自分のXがこの映画の褒め言葉で埋め尽くされてきたので早く見なければといそいそと観てきた。宮下町のBunkamuraはもとのBunkamuraより場内がデカいので笑い声も「偶然と想像」の時よりもデカく響いてたのが印象的。

そもそも石橋英子の音楽に映像をつける、ということから企画を出発できたのがラッキーだったのかもしれない。冒頭から神聖なる自然、謎多き親子、さらに正邪がよくわからない田舎の「寄せ集め」コミュニティと、そこに降って沸いた都会の芸能事務所が仕掛けるグランピング騒動。普通ならエゲツなく嫌味な都会人に対抗する善良な農民、みたいなことになるが、ここでは逆。都会からやってきた芸能プロチームが浅知恵でバカっぽくチャーミングで、逆に田舎の民に説得されてしまう。振り返ってもここまでは呪われた村的な侵略SFや怪奇映画でも見ているかなような居心地の悪い対話劇。

そして東京に戻って社長たちに叱咤され田舎に舞い戻ってくる意外にいい奴ら風の芸能事務所のふたりの車中会話がサービスパートなのかとも思えるような濱口監督の十八番のグルーブ感。ここはさすがという笑える展開なので、逆にここがこれだけに前後が不穏過ぎる。しかも結末も。。

ものすごく単純にみると、田舎をなめてやってきた都会人は田舎に住むストレンジャーズになめられ、しかしストレンジャーズもまた自分の住んでいる自然の奥のことなど何もわかっていない、ということで未知の終わりを迎える(正直よくわからないけど)

そして個人的に濱口竜介監督は面白いし、なんなら落語の名人みたいに面白いのだけど、Xでポストされてるような見たこととない褒め言葉が羅列するほどのものではないよなぁ、と正直思う。自分にとってはやっぱり黒沢清のほうが面白さは上な感じはある。

ONI
トミーさんのコメント
2024年5月5日

訳の解らない作品がどこまで興収を稼げるのかは気になります。他の監督さんもこの手は発表してますからね、賛否両論当然で何なら2週間打ち切りでも別にいいと思います。

トミー