「人間らしさとは?」潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 shironさんの映画レビュー(感想・評価)
人間らしさとは?
序盤が非常に美しい。
こんなに叙情的な潜水艦映画が、かつてあっただろうか?
独白として語られる言葉もいちいち詩的。
退廃的なデカダン趣味もたまりません。
出航に際しては艦長として皆を奮い立たせるも、相変わらず本人は非常に悲観的なのです。
1940年の物語なので、3年後に降伏するとはいえ、まだ5月に宣戦布告したばっかで、日独伊三国同盟だって結びたて。
それなのに、はなっから死を覚悟したこの暗さ。
出航してすぐに調理担当に食料が少なくなってきた時の指示をします。
ネガティヴだなぁ。と思って見ていましたが…
実はこれが重要な伏線であり、この映画の全てなのです!!
めちゃくちゃ感動しました。
エンドロールの後半にもトドメを刺してきます。
豊かな文化が人を人間とたらしめる。
食文化しかり。
動物が生きる為に必要不可欠な“食べる”という行為に、工夫を加えて楽しむのが人間。
食材を組み合わせ、味付けして盛り付ける。そこに動物とは違う人間らしさがある。
ただエサを食べるだけでは人間らしいとは言えない。
さすがはイタリア。だから序盤が絵画のように美しかったのね!
音楽も歌も料理も、ヨーロッパ文化の発祥はイタリアだという自負を感じました。
イタリアの地形は日本と似ていますよね。周囲を海に囲まれているので、海の幸と山の幸に恵まれて種類が豊富。
新鮮な素材を活かした料理も多く
北と南では気候がかなり違うので、方言も気質も違う。
同じ国の中でもこんなに違うのだから、他の国とでは全く違って当たり前。
異なる文化を知ることで、お互いが更に豊かになる。
それぞれの土地で生まれた文化に敬意をはらう、異文化交流こそが平和への第一歩だと感じました。
ちなみに、この潜水艦は数奇な運命を辿って日本で処分されるのだそうです。
この映画を通して初めて知りました。
Mさん、コメントありがとうございます。
「今まで知らなかったことを知る」のも映画の魅力の一つですよね。
映画に感動して、ちょっと調べてみたくなりました。
潜水艦映画ならではの「密閉空間」とか「見えない敵との攻防」を期待すると肩透かしかもしれませんが、人間ドラマとして感動しました。
地雷のシーンも詩的でしたね。泣