劇場公開日 2023年12月8日

「天才の故の焦燥なのか??」マエストロ その音楽と愛と 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5天才の故の焦燥なのか??

2023年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

超有名マエストロ、レナード・バーンスタインの
半生を映画化した本作。

この映画、お馴染み町山智浩氏の解説によると
バーンスタイン氏の実の娘さんが監修に入っており
天才バーンスタインの外向けの姿ではなく、
家族に見せる生身の男性として描かれているため
有名な「ウエストサイド・ストーリー」などを
作曲するシーンなどはありません。
でも、要所要所の場面転換時に、
有名な曲を編曲した音楽が流れ
ああ、この頃にあの曲を作っていたのだなあ〜〜
と、分からせてくれてます。

この映画の見せ場となるのは6分間にわたる
バーンスタイン指揮シーンの完コピ!!
ここ、本当に胸熱シーンでした。

名演技でした。

バーンスタイン氏に興味のある方は楽しめるでしょうし
それほど関心の無い人でも
「天才とそれを見守る妻の生き方」として
感じるものがあるんじゃ無いかと思います。

で、
月に8本ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては

前出の町山氏の解説によると
映画の中のバーンスタイン氏は常にお酒や薬物を
身近に置いていつも、結構なハイテンションを保っている。

そういう人って言うのは、常に何かから逃げている
何かから目を背けている。

冒頭、朝のベッドには男性の恋人がまだ寝ているシーンがある。
バーンスタイン氏はゲイであったのですが
女性の奥さんと結婚して三人の子供がいる。
演奏旅行の合間に若い男性の恋人とイチャ付いて
奥さんを怒らせたりしている。
でも奥さんが病気になった時は心の底から
心配し、看病し、その死を恐れている。

奥さんが完全に許している訳ではないが
ゲイであることを隠そうともしていないし
恐れている訳でもない。

ならばバーンスタイン氏は何から目を背けていたのだろか?

天才の頭の中は凡人の私などは想像も付かないけれど
天才は天才なりの焦燥を抱えていたのか〜〜

モノクロの中に生々しい天才のあがきを観たような
そんな気がする映画でした。

星のナターシャnova