劇場公開日 2023年12月8日

「リディア・ターの師匠の半生記」マエストロ その音楽と愛と 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0リディア・ターの師匠の半生記

2023年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

20世紀のアメリカを代表する音楽家だったレナード・バーンスタインの半生を描いた映画でした。Netflix制作だそうで、ネット配信もされるそうですが、先行で劇場で上映されたので、そちらを観てきました。

全編にわたりバーンスタインの音楽が流れており、その観点では文句なく100点満点。ただストーリー的にはちょっと微妙かなと。というのも、あらゆる意味で自由奔放なバーンスタインは、決して憎むべき人物とは描かれていないものの、妻を差し置いて”他の男”と懇ろになったり、超ヘビースモーカーだけならまだしも、ドラッグにまで手を出していたりと、その行動はあまり褒められたものではありませんでした。それでも妻が癌に侵されたことが分かると、コンサートも放り出して看病するなど、愛すべき点も観ることが出来、流石は天才、一筋縄ではいかない人物であることは間違いないと感じました。

そう言えば今年観た洋画の中でも1、2を争う面白さだった「TAR/ター」の主人公のリディア・ターは、バーンスタインの弟子という触れ込みでした。まあ「TAR/ター」はフィクションなので、同列に語る訳には行きませんが、音楽家の私生活の奔放ぶりを描いたという点で、両作品は共通していたかなと思われました。

あと、時代を追ってバーンスタインの半生を追った本作は、序盤を白黒、中盤をカラー、終盤をカラーのワイド画面で描いており、その辺の趣向は良かったと思いました。

結論として、音楽は素晴らしかったのですが、どうもお話的にはそこまでのめりこめなかったこともあり、評価は★4とします。

鶏