「「ポリコレ批判」の滑稽さ」マエストロ その音楽と愛と みっくさんの映画レビュー(感想・評価)
「ポリコレ批判」の滑稽さ
ここ数年、「ポリコレ批判」が見られるようになった。
LGBT描写や、有色人種の配役などに対し。
この批判の対象も偏っている。主にディズニー作品に向けられていて、大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」には見られなかったから。
で本作。
「ボヘミアン・ラプソディ」と共通点のある映画。
実在の音楽家、しかもLGBTな人物を描いた作品だから。
私が映画を見るようになった80年代以降、ゲイの登場人物は時々出てくる。でも、「主役級」ではなくほんの少しのセリフしかない脇役、しかも奇妙な役回りしか与えられてなかった。
しかし、「フィラデルフィア」とか「ボーイズ・ドント・クライ」あたりから主役級になり、それらアート系以外のエンタメ映画で主要キャラとして扱われるようになった。
これを「ポリコレ」と批判的なコトを言うヒトもいるだろうが、私は肯定的に捉えていて、それは「昔はタブーなので描けなかった」ことが「今は描けるようになった」から。
つまり、題材・選択肢が増えたワケで。見たくないヒトは見なければいいので、反対、批判する必要はない。
で、中身。
アカデミー賞の主要部門のノミネートは確実。
作品、監督、脚本、主演男優、主演女優あたり。
特に主演2人は良いな。
愛情がありつつ、夫がバイセクシュアルという事実に葛藤する妻が。
で、このレニーの浮気が無邪気というか悪気がないと言うか、バレバレでも恥じるところがないんだよね。
でも流石に子供にはウソをつくあたり葛藤があるのだろう。
あともう一つ。誰かが
「映画は『省略』の芸術だ」と言った。
あえて描かなくても分かるよね、ってことは描かない、と。
本作でもそれを改めて思わせるシーンがラストにあった。
ネタバレなので言わないが。