劇場公開日 2023年12月8日

「芸術が投げかけるのは答えではなく問い、本作の場合それは"愛"…?"芸術家"は人を傷つけていい理由にはならない、いかなる理由があっても他者を性的に利用してはいけない」マエストロ その音楽と愛と とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0芸術が投げかけるのは答えではなく問い、本作の場合それは"愛"…?"芸術家"は人を傷つけていい理由にはならない、いかなる理由があっても他者を性的に利用してはいけない

2023年12月20日
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逆『アリー/スター誕生』な本作で描かれるのは、産みの苦しみだか何か知らないけど表現者はそんなに偉いのか?苦悩の芸術家気取りで"自分は特別"と、自己憐憫を言い訳と口実に浮気不倫に溺れる自らも肯定しては周囲の人を傷つけ性を搾取する輩へ

そのキャリアをかけて女性の権利のために闘い続けているキャリー・マリガンが共演そして物語上の実質的(裏)主人公という点にもしっかりと意味がある、"偉大なる音楽家"レナード・バーンスタインの華々しいキャリアの裏に隠されたその半生を綴る愛と音楽のドラマ。葛藤の中に矛盾が生まれるようにそれは一筋縄ではいかず、これは"愛"と言えるだろうか?
嫉妬と秘密。夢や想像イメージを象徴するモノクロになってからのファーストカット、スクリーンにも舞台にも見える窓枠からスタートし、知的な脚本、美しい撮影、すごいメイクアップ、そして情感豊かな演出・語り口。巧みな視線の誘導・導線。美術セットも衣装もいい。フェリシアはレナードの悩める大きな影の中にいて苦しんでいる。
愛と優しさ。見せる部分に見せない部分の切り取るバランスが絶妙。孤独な創作者と"表"を生きる演じ手・公人、対象的な二面性に住む世界は違えど表現者同士の支え合い。孤独な芸術家・創作者が陥りがちな周囲に強いる犠牲。そして、公園で背中合わせして数字当て。…でなきゃ身投げしてる。質問は?

LB "Any questions?"
"夏の歌が聴こえなきゃ音楽は作れない"
勝手に関連作品『TAR/ター』『アリースター誕生』

とぽとぽ