劇場公開日 2023年12月8日

「わぁー、レニーだ。本当なのか?」マエストロ その音楽と愛と いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0わぁー、レニーだ。本当なのか?

2023年11月3日
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鑑賞方法:映画館

 映画館に「マエストロ」のポスターが貼ってあり、どうみても若い頃のレナード・バーンスタインにしか見えない。レナード・バーンスタイン(通称レニー)は、私をクラッシック音楽へ導いてくれた人だ。検索してみると、レニーとその夫人の女優フォレシア・モンテアレグロとの愛情物語とあった。主演の俳優はレニーに良く似ている(似せている?)。

 レナード・バーンスタインは本当の意味での天才だ。昨今、巷に溢れる「天才だ」とのふれこみは売らんかな主義の宣伝文句になってしまった。考えてみるがいい、百年、二百年後もその作品や業績が残っている人などそんなにいるわけがない。私がちょっとかじった日本文壇で、戦後(第二次世界大戦)天才の名に値するのは三島由紀夫だけだ。
大江健三郎も村上春樹も100年後にその作品が残っているか、私は断言することが出来ない。逆に今はそれほど評価されていないが、後世に名が高まる人はいるだろう。

 生前、レニーは指揮者としての評価が高かったが、これからは作曲家として評価が高まっていくと私は思っている。ミュージカル「ウエストサイドストーリー」は彼の作曲。

 彼はバイセクシュアル(夫人との間に3人の子どもあり)として、一部の人間には良く知られている。
この映画でも多分その面は描かれていると思うが、またレニーは紛れもなく愛妻家でもあった。天才は私達の凡人とは、測る尺度が違うのである。

 公開前の映画なので、鑑賞してみないと中身は分からない。音楽にマーラー5番のアダージョが使用されているらしい。大衆受けを狙った選択に思えてしまうが、レナード・バーンスタインを知らない人のために我慢しよう。作品評はまた追加して書き加えます。

 前半は白黒映画、後半をカラーと使い分けている。二人の関係が仲睦まじかった頃とそれにヒビが入ってしまった頃と分けている。使い分ける必要があるのだろうかと疑問に思う。

 メインは後半のアメリカ出身の指揮者として世界的名声を得てからの夫婦関係だろう。ヒビを入れたのは、レニーの同性愛だ。結局、二人は離婚せず妻の病死より終わりを迎える。何故この夫婦は別れもせず、添い遂げることとなったのか。肝心の部分が説得力を持たないので、感動できない。

 私がこの映画で一番感動したのは、マーラーの交響曲「復活」の最終楽章の部分だった。指揮ぶりもレニーそっくりだ。

いなかびと