けものがいるのレビュー・感想・評価
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特殊すぎる構造を持つ近未来SF
本作にはSF的な要素が溢れてはいるものの、それらを真逆のクラシックなストーリーテリングへと落とし込んでいるのが本作のユニークさだ。舞台となる2044年では人間の感情というものが、もはや不測かつ理性的な判断に欠ける「脅威」とみなされている。それゆえ人間に与えられるのは3K的な仕事ばかり。もしもそれ以外の上級職に就きたければ、「意識を前世にまで遡らせる」という半ば儀式的な審査過程を経た上で、感情の浄化(消去)を行わねばならない。本作の肝ともいえるこの設定と展開。セリフだけで聞くと理解するのに時間がかかるものの、私は途中から「要は『インセプション』の感情版のようなもの」と半ば強引に解釈することで少し受け止め易くなった。評価が割れる作品ではある。それでもなお魅力を失わず成立したのはセドゥとマッケイの磁場があったから。今よりも10年後、20年後に理解が追いつき、再評価されるタイプの作品かもしれない。
Modern Alienation
La Bête is a critique on the Western world's love of tech, done with a tongue-in-cheek approach reminiscent of films like The Square or Bad Luck Banging. There is a sci-fi narrative that parallels Je T'aime, Je T'aime in its scenes that jump across time and space. Its focus on an LA incel vlogger and gunman is characteristic of what a late Godard film might have been. It's funny to think it is based on a 1903 novella.
難解
未来はどこまで行っても人間の世界 ってのは今の人間だから思うことな...
目の下三寸、
さっぱり訳が分からないけど、でも
いまひとつ
観に行ったのは最終日の夜で観客は、まばらでした。
なんともはや観る前から駄作感(←失礼)が漂う作品でありましたが観終わった後も、やっぱり上手くいってない感がありました。
まぁ設定が前世の記憶のリセット(しかもベル・エポックと2014年の2回分)て、どうすんだよ!?
冒頭に持ってきた意味ありげなブルーバックの撮影シーンは種明かししてくれましたが、だから何?て感じでした。
2014年のLAの設定が、もろデビッド・リンチ「マルホランド・ドライブ」そのものでないかい!?あとエリック・ロメール「緑の光線」のようないい話になるのかと思いきや・・・“えっ〜!?”という展開。なんでも実在の事件からの着想得たそうな。
近未来での最後のオチもな・・・失笑
レア・セドゥの熱演は唯一の救いでした。
最後のエンドロールは携帯が充電中のため間に合いませんでした・・・さんざん映画泥棒のCM出しといて不意打ちくらいましたよ。だったらパンフレットもkindleで売れよ!(ただエンドロールは、いい感じでしたよ♪)
さんざん言いたい事言ってしまいましたが、
ベルトラン・ボネロ監督の前作「サンローラン」も機会があれば観てみたいです。
劇中のハトが怖すぎて
不安や恐怖を哲学的に描いたSFサスペンス
「SAINT LAURENTサンローラン」のベルトラン・ボネロ監督が過去、現在、近未来の3つの時代に転生する男女を描いたSFサスペンス。
近未来2044年のパリはAIに支配され、人間の感情は不要とされ主要な職業に就くには感情を消去しないといけない。ガブリエル(レア・セドゥ)は消去を決意しAIによるセッションを受ける。
ガブリエルは得体の知れない不安や恐怖の感情を抱いていてそれを消去するためのセッションとして前世の1910年と2014年にさかのぼる。
それぞれの時代でルイ(ジョージ・マッケイ)に出会い惹かれるのだがガブリエルはどの時代でも悲劇的な予感に支配されている。1910年のパリでは大洪水、2014年のロサンゼルスでは地震や殺人鬼だ。セッションではこうした過去の恐怖を消去するために、DNAを浄化するというものだった。
映画的には1910年のパリを舞台とした時代劇、2014年は殺人鬼が登場するサスペンススリラー、2044年はクールな近未来SFと3つの映画を行き来し飽きることがない。
また、鳥、人形、包丁、ダンスといったイメージが各時代に共通要素として登場するのも不穏。
ストーリーとして語られていないが前世というものが神秘主義的なものと考えると過去のイメージはAIが作ったものだとも解釈できる。
上記共通イメージが反復したり、なぜか同じセリフが各時代繰り返されたり、バグのようにフリーズしたり繰り返したりのシーンがあるのも怪しい。
獣=恐怖のメタファーだとすると、未来の恐怖は人間の感情を管理支配するAIかもしれないという警告とも捉えられる。
各時代の恐怖や不安を演じ分けたレア・セドゥがすばらしい。
畏怖による破壊
SF映画だが、SF的な小道具や舞台を用意せずに、近未来を表現する作品が大好きだ。そういう映画は現実とファンタジーの境が溶け合い、真に心を打つ。そんな傑作がこの映画だ。
これは純愛映画だ。愛に対する我々の畏怖が世界を破壊した。普遍的だった。
この普遍的なテーマを描くのに、この映画はかなり珍しい手法をとった。冒頭のイタリアで会っていた2人は『去年マリエンバートで』のオマージュだし、その他『ラ・ジュテ』『アルファヴィル』といった優れたフレンチSFからの影響も強く感じた。反復的なカット編集が繰り返される人の業を思い起こさせた。前世という概念自体が仏教的な側面もある。
昔から007でレア・セドゥのことは大好きだったが、今作の彼女はいつにも増して完璧だった。素晴らしかった。完璧な彼女を観るためだけに映画館に足を運んでもいい。
愛の喪失
愛してるって、言うな!!
時を越えて、常識も越えて、駆け引き重視の恋愛でウキウキしてる様な奴らは、前戯でイっちゃってパンツ冷たくなって泣きながらカラオケボックスから帰るくらいが丁度良いのだ。
めんどくさいヤツとめんどくさいヤツの奥手な性描写にヤキモキする時間の連続は、克・亜樹先生の作品を読んでいた中学生の時の感情を思い出す。
めんどくせぇコイツら。と思いながら横目でチラッと。
水浸しの部屋は、二人が恋する惑星だ。
なんだかなぁ、確信に触れるとそうじゃなくなる感じ。はっきり言われると、実ってしまうから怖かったのではないだろうか。
鳩が飛び立って鳥肌が立つとは、これいかに。
嗚呼、百年の恋も終わってしまった。
愛なき時代のAIは、長い長いエンドロールの夢を見るか。
けものがいる?
斬新すぎてついていけない
むずい
鳩と人形と男と女
130年を越え繰り返される、ある男女の邂逅を描く。
予告やイントロダクションからはもっとロマンス寄りの物語をイメージしていたのだが、実際は、転生や業や運命・縁といったものを題材にしているようだ。
人間は転生を繰り返している・前世の記憶を持っている・前世の経験が今世に影響している、という本作の世界観は東洋の我々にはなじみ深いものだが、海外の観客はどう受け止めたのだろうか。個人的には、SFとスピリチュアルが結びつく構想も日本のコミックや小説のようで、スムーズに受け止めた。
ルイとガブリエルの関係の変遷を見ると、2人の繋がりは、見方によっては運命というドラマチックなものよりも、1910年あるいはそれ以前からのガブリエルの未練にも見え、運命や肉体を離れた執念をどう捉えているかによって印象が別れそうだった。本作のような概念に慣れている人・慣れていない人、運命にドラマを感じる人・感じない人からそれぞれ感想を聞いてみたくなった。
運命をドラマチックに扱うのではなく、ポジティブな面もネガティブな面もドライに描く筆致が印象的な作品だった。作中の2044年の人間は前世のトラウマを解消した後、誰かと引き合う・誰かに引き寄せられる輪から抜け出せたのだろうか。
エンドロールやエピローグを劇場の外に置いたのは、感情を排した2044年の世界観の表現らしい。自分が行った劇場ではQRを読んでいる人の方が少なそうだった。アクセスした人がどれくらいいるか知りたい。
映像的な説明がほとんどないから難解だけれど
ルイ・ルワンスキ
「ゆーきーは、降るー。あなたは来ないー」
全然違うんですけどね。「リベリオン」「プリディスティネーション」「エクス・マキナ」が好きなもんで、予告(チラシ)で惹かれて観てみたらば、さすがのおフランスでして一筋縄ではいかない作品に仕上がっておりましたね。好きです。因みに多少古い所も持ってくると「ダークシティ」「未来世紀ブラジル」辺りも好きです。
みんなで、"良いルワンスキ""悪いルワンスキ""普通のルワンスキ"を語り明かしたい位にルワンスキ(役名)な映画でしたが、メインはレア・セドゥを堪能する映画で間違っていないので、その方向で飛び込んで頂いて間違いないと思われます。洋画=ハリウッドな脳になっていると中々にキツイ所もありますが、良い意味でのカルチャーショック映画だと感じました。
短いエンドロールにいちばん感心した。
一組の男女の19世紀末、近現在、近未来と三つの時代に渡る因縁を描く映画だ。何故、こんな難しくしてしまうのだろう。私流に解釈すれば、不安や悩みを抱えた2人が結ばれそうで結ばれない悲恋の物語。と単純に言ってしまおう。
時代が前後するし、それぞれ事件が起こる。妄想や夢が入り交じって、理解するのが難しくなる。まして、近未来ではAIが人間を支配する世界になっていて、正職に就くためには、感情を消去しなければならないという設定になっている。恋愛障壁がAIになっている。ヘンリー・ジェームズの小説がネタ元になっている。日本ではヘンリー・ジェームズは人気がない。シェーンベルクの「浄夜」をまさか映画館で聴くとは思ってもいなかった。
場所もパリとロスアンゼルスに移り変わるし、言語もフランス語・英語が使われる。観客を韜晦させている作品としか私は思えない。しかし、エンドロールは良かった。延々と続くエンドロール(理由はわかっているが)には飽き飽きしている。出来れば、映画上映前の製作に関わった会社のロール(なんていうのかな)も止めて欲しい。
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