DOGMAN ドッグマンのレビュー・感想・評価
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ベッソン、犬、そしてあの楽曲の組み合わせの妙
ベッソン新作と聞いても大して触手が反応しないほど、かつての勢いはすっかり霞んでしまったかに見える。だがこの久々の監督作には、プロデューサー目線の「プロットの面白さ」とは異なる、一時代前のベッソン監督作にあった「生き様」感がふたたび強く発露しているように思う。冒頭の箴言を地で行くように、幼少期のベッソンも犬以外とは言葉を交わさない子供だったとか。ならば主人公の人物像にもいくらか彼自身の内なるマグマが投影されているというのは言い過ぎだろうか。さながらアメコミ・ヴィランを主役に据えたかのような印象を受けつつ、犬との連携プレーを十二分に生かした小気味よいアクション場面には目を見張るものがあるし、やがてエディット・ピアフの楽曲が悠然と流れ出す頃にはベッソン作の新たな旗印と言うべき主演ケイレブの得体の知れぬ輝きがより深遠なものとなって迫ってくる。このユニークかつ豊かな組み合わせに思いのほか魅せられた。
聖俗の反転を象徴する主人公にケイレブ・ランドリー・ジョーンズの好配役
GODの綴りを逆にするとDOGになるという言葉遊びは昔から知られさまざまな作品にも使われてきたが、本作では犬の檻に張られた「IN THE NAME OF GOD」の標語のスペルの一部が裏から見て「DOG MAN」になるショットで分かりやすく示されている。負け犬、権力の犬といった具合に犬は洋の東西を問わず卑俗なものの象徴とされがちだが、反転させると聖なる存在になる。社会の底辺で生きるダグラス・マンローにはほかにも、男性でありながら女装を好む、弱者でありながら犬たちを仲間のように操りギャングにも負けない強者になる、といった具合に属性の反転がいくつも重ねられている。
そんなダグ=ドッグマンに、繊細さと脆弱さ、純粋さと狂気を秘めたケイレブ・ランドリー・ジョーンズがまさに適役だ。狂気あるいは狂信の先にある聖性という点で、リュック・ベッソン監督はかつて「ジャンヌ・ダルク」でその生涯を描いた信念に殉ずる聖人を重ねたのかもしれない。その一方で、イタリア映画「幸福なラザロ」で描かれたような“聖なる愚者”を想起させもする。それにしてもベッソン監督、60代半ばにして新境地というか、新たな一面を見せてくれて嬉しいではないか。犬たちの名演技もほほえましい。
⭐︎4.1 / 5.0
かけがえのない命
ファンタジー?
オヤジとアニキがサイテーと言いたい。
ダグラス少年、女の子みたいに綺麗な顔立ちだったのに、
なぜあんなオッさんになったのかと不思議だった。
モギー賢いなぁ。
ちぎれた指持って、パトカー見つけて
警察に助けてもらいに行った。
アニキのお迎えはポリー、復讐?
少年の頃の憧れサルマ、
淡い恋心が破れてしまって
🐶ちゃんたちが唯一の子たちになった。
シェルターも立ち退きさせられ、
自分が守らねばならない、と強く決心‼️
ことごとく仕事を断られ、
行き着いたのは、週一のキャバレーでの仕事。
少年の頃、父が少年向けて撃った弾が指をちぎり、
跳ね返り脊髄の取り出しにくい部位に入り込み、
ほぼ歩けなくなった足だが、少しは歩くことができる。
そして、歩くたびごとに深く入り込むのか、
命が縮まるのである。
歌う時は、マイク🎤のところ迄仲間が抱き抱えて
往復してくれた。1曲がやっと。
これだけでは、❤️する🐶たちのエサ代には足りない。
足りないぶんは🐶たちが活躍してくれた。
金持ちたちが被害届を出し、捜査する刑事たちが
見つめる防犯カメラの映像にしっかり映るのは⁉️
楽屋に花一輪持ってファンを装い刑事が探りに。
尾行され、🐶たちとの棲家にやって来たが😱
イカついギャングたちもおおぜいで押しかけて来たが、
要所要所のワナや🐶の活躍でどうにか😰
ダグラス、自分の足で立つぞ❗️と装具をはずし、
外に出たはいいけど💦
悲し過ぎる男の生涯
犬は人の痛みを理解しているようだ
遠い昔、犬の話しが分かると言う人と会ったことがあった。曰く、犬たちの殆どが飼い主への不満をぶち撒け愚痴って返って行くと言っていた。この映画を観て、あの人の言うことは本当だったのだと思った。この世で人ほど残虐で醜悪な生きものはいない。とは言うものの限りのない優しさを発揮するときもある。互いに痛みを分かち合う気持ちにさえなれば身体が透明になったように思えるほどの融合感を感じ優しくなれる。
息を止めなくてはならないほどに痛い映画だ。暗闇の中で全てを終わらせ、暗闇の中でしか産まれようのない希望に力の限り想像力を働かせることが今出来ることなのだろう。リュック・ベッソンの言い続けてきたことなのだろう。人の心は強くはない。でも、弱くもないのだ。ただ、優しくなくては生きる資格はない。
リュックベッソンが自分で撮る場合
いろいろと考えて見てました。感想も雑になります。やっぱり監督が自分で撮った作品は、いろいろあります。
予告に騙されました。「レオン」とか出さないで欲しかった。完全に初期のリュックベッソンのイメージでした。
なんでアメリカで撮るんだろうか、フランスでフランス語でやればいいじゃんか。
神様のくだりはわたしには理解できません。
あの殺し合いは必要だったのか?保険屋さん可哀想すぎないか。
犬と人間はあそこまで同化出来るのだろうか?ちょっと説明不足、途中で犬は代わってますよね、最初からいた犬ですか。8年ですよね。
お父さんは、わたしの偏見ですが、ああいうのがトランプを支持する教養がない白人のステレオタイプじゃないのか。
ケイラブは素晴らしかった。熱演とか、そんなレベルじゃない。彼の作品では「アンチヴァイラル」が最高に面白い。
ラストのドーベルマンはまさか続編はないと思うが。
なんだかんだ、面白かったです。リュックベッソン健在です。もう猿でも分かるような作品は作らなくていいです。
ダグは数十頭のイヌたちと暮らした。 イヌたちはダグの言葉を完全に理解し、 指示したことはすべて実行できる。こんなストーリーは思いつかないし、 予想もできない。
動画配信で映画「DOGMAN ドッグマン」を見た。
2023年製作/114分/PG12/フランス
原題または英題:Dogman
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年3月8日
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(ダグ)
ジョージョー・T・ギッブス(精神科医)
クリストファー・デナム(保険調査員)
リュック・ベッソン監督
ダグは暴力的な父、意地悪な兄、優しい母と暮らしている。
父は、自分に従順でないダグを犬小屋に閉じ込めた。
母親は自分を守る術として家を出て行った。
ダグはその後母親には一度も会わなかった。
犬小屋に暮らしていても自分に反抗するダグに父親は発砲した。
その結果、ダグは手の親指を失い、
脊椎損傷で自分の足で立つことができなくなった。
ダグはイヌを使い警察に通報。
父親は逮捕され、直後に自殺した。
兄は12年間服役した。
車椅子のダグを雇う人はひとりもいなかった。
ダグは数十頭のイヌたちと暮らした。
イヌたちはダグの言葉を完全に理解し、
指示したことはすべて実行できる。
ダグはイヌたちを使い、
金持ちの家から金品を窃盗して暮らす。
ある時、イヌを使ってギャングを懲らしめたダグだが、
そのことで、命を狙われることになる。
こんなストーリーは思いつかないし、
予想もできない。
知っている俳優や著名な人は誰も出ていないと思うが、
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
リュック・ベッソンかー
次回作が気になる一本
犬好きの方にはおすすめです
VOD鑑賞
リュック・ベッソン監督作品なので観てみました
じゃなきゃ観てなかったと思います
でも、
怖いジャケ写のイメージとはぜんぜん違って
人間ドラマが軸で
恋愛要素もあったり
わんちゃん達が大活躍したり
ホーム・アローンみたいだったり
音楽もとても良くて
いい映画でした
主演俳優の方
すごくいいですね
観る者の胸にこびり付いた心の垢を落とす
DV父により犬の檻に閉じ込められて育った男が、やがて女装のドラァグ・クイーンとなり、怒り・悲しみ・絶望を犬たちに仮託して爆発させる物語です。
多くの犬たちは、男の心を完全に読み取り的確に動いてくれるのが見事。暗く重いクライム・ストーリーですが、犬好きの方には堪らない可愛さではないでしょうか。僕のパルムドッグ賞(カンヌ映画祭参加作の中で優れた演技の犬に贈られる賞)は本作に決まりです。
理不尽に蒙らねばならなかった身の不幸に対する社会的意趣返しという点では『ジョーカー』にも通じるテーマですが、あちらが「吠える映画」であるとするならば本作は「唸る映画」と言えるでしょう。内面に溜めた思いのきつさは本作の方が堪えます。
そして、中盤における「私は神を信じているが、神は私を信じているのか」の悲痛な言葉を受けたラスト・シーンは強烈でした。
また、エディット・ピアフの『水に流して』、マレーネ・デートリッヒの『リリー・マルレーン』、そして、マイルスの『So what』に至る音楽の選択も的確で心が震えます。
観る者の胸にこびり付いた心の垢を落とすにはこの作品くらい強いタワシでなくてはなりません。僕たちも血を流しながらスクリーンに見入ってしまうのでした。
ダグラスと犬の物語
囚人ダグラス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)が精神科医相手に語っている内容が物語のメインとなっています。
生い立ちが普通ではありませんので、リアルかどうかは判断しかねますが、犬に指示して高価なものを盗んでいたのが事実のように描かれています。
ダグラスの少年時代のエピソード中、檻の内側から見える文字が“DOGMAN”であったという場面が面白いと思いました。
映像にはありませんでしたが、排泄物などを想像すると悲惨すぎます。
氣の毒な状況でしたが、犬との関係は羨ましい限りです。
リュック・ベッソン監督作品は登場人物が魅力的です。
今作は、華々しい犬たちと、不幸な少年時代を過ごした車椅子の女装した中年に焦点を絞っています。そして、人間に失望したダグラスの視点から不条理な世界と不完全な人間を描いています。
ラストの一匹の犬は、ダグラスの指示で親子を守るためにあそこ(精神科医親子の家の前)にいたのでしょう。
ダグラスにも希望と愛が残っていたのだと解釈できます。
ダグラスがステージで披露した歌も印象的ですが、エンディングテーマが最高でした。
ワンコが大活躍するダークヒーロームービー
予備知識なしでAmazonプライムで鑑賞。
最初は多頭飼育のワンコ虐待シーンでも出てきそうで心配でしたが、ワンコが虐待されるシーンも特になく、賢すぎワンコがたくさん出てきて大活躍するシーンも多いので、犬好きとしては痛快ワンコムービーとして楽しめました。
別視点としては、虐待され半身不随の後遺症を負った主人公が、演劇と出会うことで一時の別人格を謳歌していく希望が描かれつつも、負ったハンディキャップの大きさ故か、社会的マイノリティから浮上することの限界も描かれている。
人生唯一恋をした相手との失恋、生きる世界の違いを痛感した時、主人公はいわゆる無敵の人としてダークヒーロー人生を歩み始める。
そんな主人にどこまでも寄り添う犬たちがイジらしくも頼もしくもある。
最後に精神科医が「なぜ話したの?」という問いに対して「同じものを持っているから」と答えた主人公。この真意は何だったのだろう。
精神科医のバックボーンについては詳しく触れられてなかったと思うが、最後のシーンは、教会の前で満足気に倒れ込む主人公、精神科医の家を訪ねる犬、赤ん坊をあやす精神科医が映し出される。マイノリティとして後世に希望を託したということなのだろうか。
この辺りの描写もあって、終始暗い雰囲気の映画ではあるが、不思議と観賞後の後味は悪くない。
もしかしたら噛めば噛むほど味が出るスルメ映画かもしれない。
リュックベッソン久々の傑作
リュックベッソンが生み出した久々の傑作。
奇抜なパッケージデザインとタイトルから想像するのは陳腐な復讐劇だが良い意味で期待を裏切られる。主人公の男が何故犬たちと共に生きなければならなかったのか、そのワケを丁寧に描く事で物語に深みが生まれている。主人公にとって憧れの存在である年上の女性やマイノリティの世界で生きる人々との交流など決して悲劇的なだけではない紆余曲折な人生が面白い。
愛と暴力の狭間で
「ケイレブ・ランドリー・ジョーンズさんの演技は圧巻でした。特に、犬と語りかけるシーンでの彼の表情は、言葉を超えた感情を伝えてきました。子役時代のリンカーン・パウエルさんも見事な演技で、主人公の壮絶な過去を鮮やかに描き出していました。殴られるシーンでの彼の絶望感は、見る者の心を打ち砕きます。
この映画は、美しい映像と陰影の強い物語で、観る者を魅了します。暴力の中で育った主人公が、犬との出会いを通して人間性を失わず、懸命に生きていく姿は、私たちに生きる希望を与えてくれます。同時に、この映画は、暴力の根源や、愛の力、そして人間の心の闇についても深く考えさせられます。
ケイレブの言葉『犬は裏切らない』という言葉が、心に深く残りました。私たちも、彼のように、どんな状況でも心を失わず、愛を信じ続けることができるでしょうか。この映画は、そんな問いかけを私たちに投げかけています。
グイグイと作品世界に引き込まれる
「こう展開していくんだ」と驚きながら観ていたが、終わってみれば、とてもしっかりと構成され、よく練られた脚本になっていることがわかる。
主人公ダグラスの救われない境遇は、観ていて辛くなるが、その分、わずかに希望を感じられるいくつかのシーン(といっても、あとでひっくり返されてしまうのだが…)の美しさがとても心に残った。
犬にもキリスト教にも特別な思いがない自分にとっては、今もよくわからない部分があるが、そんな自分をも、鑑賞している間は、視覚、聴覚のみならず、味覚、嗅覚、触覚も刺激して、グイグイと映画の世界の中に引きこんでいく力を持った作品。
それにしても、犬たちとどうやってあそこまでコミュニケーションをとることができたのかと思うくらい、犬たちがめっちゃ賢いことにも感動した。
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