愛を耕すひとのレビュー・感想・評価
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荒野の果てに見つけた小さな春の芽
18世紀のデンマーク。荒野を、たった1人の元退役軍人が貴族の嫌がらせや大自然の脅威と闘いながら開拓していく姿が描かれている。
そして悪質な貴族から逃げ出した使用人や家族から見捨てられた少女たちと家族のように過ごし、心通わせていく姿には心が温まる。
貴族の使用人に対する悪行や執拗な嫌がらせ、“南の人は悪夢をもたらす”などという人種差別などといった汚い部分も描かれながら、当時の時代背景やデンマークの歴史も感じられる一作に。
史実だというからさらに驚く。
ラスト30分の展開は見応えたっぷりだ。
執念の開拓
事実に基づいた小説とのことだから、創作も多々あるのだろうけど、なかなかに壮絶。
そもそも誰も成功しなかった開拓なのに、何故そこまで執着するのか理解できん。
お仕置きショーのつもりが、周りをドン引きさせたところで諦めればいいものを、広げた風呂敷を畳めないのか、映画のヒールとしては申し分ない活躍ぶり。
シンケルはザマァな最期を迎える訳だけど『パリタクシー』同様、陵辱された男へ最大の復讐を遂げるアン・バーバラの表情がたまらなくカッコいい。
そして側近の“まぁそうなるわな"とでも言いたげな呆れ顔が滑稽。
アンマイ・ムスの扱いに少し腹が立つも、まあ理解できないわけでもない。
最後は分かりやすく出来すぎな回収かなぁ。
他の終わり方は無いっちゃ無い。
理不尽に負けず自分を貫く
BASTARDEN
18世紀のデンマーク開拓史の実話という事だが、正直言って時代背景の知識はほぼゼロの状態で鑑賞。ただ、それでも観ている間に登場人物の人間関係は分かるので問題はない。
非道な領主からえげつない仕打ちを受けながらも、貴族の称号を懸けて荒野の開拓に挑む退役軍人の話。悪徳な権力者というのは、どこの国にも実際にいたんだなと率直に思う。
原題の「BASTARDEN=私生児」は、貴族と使用人の間に生まれ、父親に認知されなかった主人公の出自のことを表してるのだろう。だからこそ貧困から脱するためだけでなく、自らの尊厳のためにも過酷な挑戦を続けたのだと推測。途中から家族とのつながりに目覚めていくところも人間味を感じるストーリー。
マッツミケルセンの演技と佇まいはやっぱり格好いいの一言で、それだけで観ていられる。もう今年で60になるらしいが、こんな風に年を重ねたいと思わせてくれる名優ですね。
主役の演技に高評価。
幸せとは何であるかを問われる映画
素晴らしい映画です。
鑑賞後もカラダが震える。
展開のテンポがいいので、2時間とはとても思えないほど内容が濃い。
しかも、心の揺さぶられる回数が半端ない。
不安と安心が常に繰り返される。
安心がとても短い。
そして、悪役がどこまでも悪役。
権力を悪用しまくって弱者をどこまでも追い込んでいく。
この時代は権力が全て。
人権など関係ない。
そんな間違った世の中を見事に開拓していく主人公。土地だけではなく、権力の間違った方向までも。そして彼は初志貫徹する、軸のブレない男。しかし、非常に心が温かい正義感に溢れた人間だ。だから、話が進むに連れて、彼を応援したくなる。常に無理難題が降り注ぐのを見事に切り抜ける。
人生は全てのものが手に入らないことをこの映画は伝えてくれる。
ハッピーエンドの映画は全てが手に入るような映画が多いが。
たくさんの大切なものから、1番大切なものだけを守る。それは欲や名誉ではない。このタイトルが全てを意味している。
場面の展開もよく考えられている。
こんなに完成度が高い作品はなかなか巡り会えないだろう。
トップの画像がおっさんの写真だけだから興味が削がれて、最初の仕分けで対象外として撥ねられてしまうんだろうか(笑)
本当にもう一度観たい秀作である。
人を失い愛を知る
この映画の日本語タイトルは嫌いではない…
この物語りの主人公は私生児として生まれ育ったケーレン。彼は彼自身のアイデンティティを証明する為(ここでは貴族の称号を獲る事)、只々猪突猛進となって不毛と言われた大地を耕す事を目指す。それはある意味、彼自身が自分に課した呪縛であり生きる糧なのである。その過程で擬似家族を体験し人としての温かみを初めて知る。しかし移住民の差別で我が子同然であったアンマイを手放した事でバーバラも離れて行く。そして悪徳貴族のシンケルに捕らえられる。一方バーバラはシンケルによって自分の夫を殺された恨みもありシンケルを殺害し投獄される。この助けがありケーレンは解放される。その後ケーレンは荒地開拓の功績が認められ男爵の称号を得るが、その家には誰も居なくなり…その寂しさからケーレンは食事中ひとり涙ぐむ。。愛を知った瞬間だ‼︎
18世紀中頃のデンマークの荒地を開拓した人物の姿を描いたヒューマンドラマ。開拓者の話に貴族社会の実態や民間信仰の話が加わり、重厚さを感じる作品でした。良作。
この作品の紹介を読んで、開拓者の話と知り内容が気になりま
した。デンマークの作品う観た記憶が余り無いので、その意味
でも興味あり。・_・です。
(デンマークと他国の合作品は観たことあるかも)
そんな訳で鑑賞です。
舞台は18世紀中頃のデンマーク。
開拓不可能と言われ続けていたユトランド半島の荒れ地。
そこを開拓した一人の男の人生を描いたドラマです。
骨太のヒューマンドラマ。
主人公の名はケーレン。年齢不詳。退役軍人。
庭師から軍人になり、25年を経て大尉になった。
身分も財産も無いこの男、開拓に成功したあかつきには貴族の
称号を手にするのが夢らしい。
経歴を考えれば、そこそこの年齢と思われる。
地方領主が使用人に手を出して生まれた私生児。家族なし。
庭師をやっていた経験から、土壌の知識があるようだ。
知識はあれど、とにかく土地が悪い。水が無く岩だらけ。
広大な荒れ地の中を探し回り、水分を含む土地を探しだす。
家を建てなければ。
畑を開墾しなければ。
何をするにも、働き手が必要だ。
教会の神父が、 ” 良い働き手がいる " という。
一緒に行ってみれば、若い男女の夫婦。
…彼らは奉公先を逃げ出した使用人だった。
男の名は…(あれ? CAST一覧に記載がない…)
女の名は、アン・バーバラ。
ワケありだが仕方ない。連れて帰る。
ギリギリ食いつなぎながら、開拓を続ける。
小さな女の子を囮にした盗賊に襲われたが銃で撃退。@△@
この少女、その後何度もニワトリなどを盗みにやってくる
のだが、雇っている者たちは捕まえようとしない。
” なぜ捕まえない? ”
そう問うと、こんな答えが。
” あの娘は南の生まれで呪われている。 関わりたくない”
” … ”
結局はケーレンが捕まえ、少女の住む村に連れて行く。
少女の名は、アンマイ・ムス。
村人たちと交渉。彼女と共に、村の住人たちを開拓要員とし
て連れて帰る。働き手の数は次第に増えていく。
ある日、領主の手の者が逃亡した使用人を探してやってきた。
居ないと答える。と、
” この土地の開拓には領主との契約が必要 ”
と、言い出す。どうやら
王の所有する土地をかすめ取ろうとしているらしい。
厳しい自然環境と戦うケーレンにとって、領主も敵となった。
この領主、「虚栄心の鎧」に「狂気の剣」を装備している。
思い通りにならない事が起きると、暴力をふるう。
分別の無い子供が権力を持つことの危うさ。その典型だ。
直接または間接的に、何人の命が奪われたことか…。@▲@;;
と、まあ
荒れ地との戦いに加えて、ケーレンは理不尽な領主や権威主義の
国の役人(貴族たち)とも戦わねばなりませんでした。
その戦う姿を、荘厳に・骨太に、かつ精彩に描いた物語でした。
事実に基づくお話かと思えば、ほぼ創作らしいです。 ・△・エッ
ちょっとびっくり。(ケーレンは実在の人物のようですが)
お話の骨格が良く練られているためか、リアリティ感じました。
「創作だが小説より奇なり」
そんな歴史大作でした。
観て良かった。満足です。・_・
そういえば
この領主の従姉妹で、政略結婚を迫られている娘(エレル)も
存在感ありでした。(女性の連携、見事です)@△@
◇あれこれ
■18世紀の半ばというと
日本なら、江戸時代の中期。
八代将軍吉宗の時代のあとから田沼意次の時代の前くらいまで?
年表を見ても余り目立った出来事は見当たらなかった気が。
当時鎖国中の日本。交易していた国はオランダですが、
デンマークはオランダより北東に位置します。
分類としては北欧に含まれるのでしょうか?
■デンマークといえば
有名な人としては、童話作家のアンデルセンでしょうか。
というか、それくらいしか知らないのですが…。
コペンハーゲン空港には、昔は童話がモチーフの飾りがあった
ような気がします。やはり、国民的作家なのかも。
(今もあるのかは不明です)
■デンマークの貴族社会
有力領主に劣悪な自然に貴族階級の保身と傲慢と。
日本の貴族と変わらない感じがしました。
退役した軍人に年金が支給される制度が18世紀からあったのが
西洋の国らしいなと感じました。(良く知りませんが@_@;;)
※武士の社会って、退職金支給してないですよね…?
■タタール人
アンマイがそう呼ばれ、仲間うちで爪弾きされていました。
また「南からきた」とか「呪われている」とも…。 ・△・;;
タタール人とはどの辺りの人を指すのか、気になり調べてみたら
「達靼(だったん)人」 聞いたコトある気が…
「モンゴル高原の遊牧民」 そうなんだ
モンゴル帝国のヨーロッパ遠征に同行 侵略者一味だから悪魔?
デンマークからみて南では無いような… はて。
アンマイの肌の色からは、中東(アラブ系?)のようにも思えた
のですが、もっと色々な事情等があるのかもしれません。
(少し調べてみただけで脳内キャパオーバーしました )
■痔のひと(…名前不明)
実は重要人物。・_・;
国とケーレンとの間を、まめに仲介してくれた人です。
単なるお笑い担当の人物と思ってゴメンナサイ。
この人のような人の記録のおかげで、今の人びとがケーレン
の存在を知っているのかなぁ と思います。陰の功労者。
※古今東西、人類を悩ませてきた病気ですよね♪(なぜ音符?)
■開拓といえば
日本の同時期だと印旛沼。 …江戸時代に何回も頓挫。
大自然との戦いの蝦夷地。 …明治期に大量の移住者。
個人で開拓する話は余り聞いたことが無い気がしますが
国から見放された土地だったこともあって、個人での開拓も
できたということなのでしょうか。
■パンフレット
買おうかどうしようか迷いながら売店に。
値段を確認して目が点に。予想の1.5倍。 うわ …@-@
どんな内容なんだろう と、 思わず買ってしまいました。
文章が多く、読みごたえあります。
…ありすぎて、まだ読み切っておりません。 頑張ろう @-@
(パンフレットの文字が小さくて、目がすぐに疲れるのです…)
◇最後に
「愛を耕すひと」のタイトルに寄せて・-・
耕したのは、荒れ地
植えたのは、じゃがいも
実ったのは、家族の絆 と 愛
そんなことを感じさせる邦題なのかも と。
彼の開拓した土地には、その後また新たな開拓者がやってきては
開拓地が広がっていったのではないか
そうだと良いなと想像をしたり ・_・シテマス
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
これは私たちの分‼
貴族の称号を得るために不毛の土地を開拓しようと奮闘する元軍人が、悪い地主に邪魔されながらも様々な人と出逢っていく中で…といった物語。
中盤までは、割と静かな場面が多くを占めるが、そこは北欧の至宝!その画をずっともたせてくれるのは流石です!それでいて、はじめは子供相手にも容赦がないですね。「知るか!」にはゾクッとしましたよ(笑)
逃亡者の夫婦やゴロツキの少女等々、アウトローな人々がその時々の利害によって集まったり去ったりする流れは見応えがありますね。権力と人間の汚さがこれでもかと…。
また、思いの外ロマンスやアクションなんかもしっかり見せてくれましたね。収穫祭の影で湖のシーンなんかは思わずニヤニヤしちゃいましたよ。イチャつきやがって(笑)‼んで、若き地主も、恐れられながらも一目置かれていない感じがまた良い味出している感じ。
終盤はいよいよ事が大きく動き出した感じで緊張感が‼あの方とあの方のニヤミス!?…からのこの共闘(⁉)はアツい。これは彼の分、そして追撃のあそこは…きっと苦しめられてきた彼女たちの恨みなのでしょう。
登場人物も皆良キャラ揃い。逃亡者夫婦や神のお兄ちゃん、ゴロツキ達…。この土地の開拓に関わった全ての人達が魅力的でした。
しかし、ちょっとわからなかったのが、この時代の背景とか詳しくないがケーレンは国王のお墨付きなんだったら、有力者とはいえシンケルの一人くらいどうにでもできたんじゃないのかな?この時代の地主がとても権力を持っていることはわかるが、国王の土地を好き勝手しても黙認されるほどなのか?
とにかく、この時代と悪権力、自然の厳しさをまざまざと見せつけられながらも、そんな哀しみの中に隠れた小さな幸せ…春の芽のような希望をほんのりと感じられる良作だった。
邦題のイメージとは違うかも
一部にショッキングなシーンもありますし、「愛を耕すひと」というイメージで観るとこんなはずじゃなかったと思う人もいるかもしれません。
歴史好きな人、人間ドラマ好きな人、北欧好きな人、色々楽しめると思います。
ケーレンとデ・シンケルって真逆の存在のようで、本人がこだわってる部分は重なってるよなと感じました。
それが原題の「Bastarden」に繋がるのでしょうか。
Till
マッツの最新作、近年は大作やアクションものが多かったですが、久々に人間ドラマな作品がやってきたのでいざ鑑賞。
思っていたものとは違いましたが、史実に沿った重厚な人間ドラマが味わえました。
ジャガイモ作りに励むケーレン大尉とその土地までに出会った人々とのハートフルものかと思いきや、早い段階から不穏な雰囲気漂う感じで、思った以上に血生臭い展開もあったりとで驚かされました。
ケーレンも良い人なのかなーと思っていたら気難しく、最初は人を道具のようにしか見ない感じでいけ好かなかったんですが、人々との交流を得て人としての成長をしていくっていうシナリオが活きていたなと思いました。
ケーレンと関わりのあった人の死がダイレクトに突き刺さる展開が多く、救いのある展開よりも鬱屈とした展開がオープンで進んでいくので中々に重いのは好みが分かれそうです。
デ・シンケルが底無しのクズ野郎だったのもとても良かったです。
自分に敬称を付けることを要求しながらの登場シーンが嫌なやつだなと思いましたが、煮え湯の拷問シーンの容赦のなさと高笑いでまずフラストレーションが溜まり、怒りのあまりメイドを窓から突き飛ばして殺したり、残飯をわざわざ渡しに行ったりとバカだけど変に頭が回って権力があるから厄介というこの手のドラマ作品の中でも一級品のクソムーブをかましていました。
その分シンケルがアン・バーバラにギッタギタのボッコボコにされるシーンはテンション上がりました。
薬入りの酒を飲ませてぶっ倒したあとにブッ刺しまくりからの男の一物をかっ割いたところはヒャ〜となりつつもスカッとしました。
アン・バーバラの目がギラギラしていてゾワゾワしっぱなしでした。
地味にシンケルの部下を殺すシーンが暗殺者じみた隠密っぷりでしたし、どの行動も隙がなかったのが面白かったです。
思想によって差別的な要素が生まれるのも時代背景と照らし合わせて見ても納得いくものがあり、アンマイ・ムスを手放す展開は仕方がないとはいえ中々辛いものがありましたし、アン・バーバラの逮捕後も物悲しいものがあったりしました。
終盤はちと駆け足な感じがあり、アンマイ・ムスとの別れがあっという間すぎてどこか見逃したのかな?と思いましたし、アン・バーバラとの再会も無理くりすぎないかなとは思いました。
映画館でじっくり味わえて良かったです。
濃厚な演技を大スクリーンで堪能できるのはいいな〜と劇場を後にしました。
鑑賞日 2/19
鑑賞時間 13:25〜15:45
座席 C-6
ヒース
原題:Bastarden=ろくでなし
日本語題は誰が考えたのか知らないけれど、原題の方が作品の内容には
合っていると思った。
*追記*一度投稿してから、他のレビュアーさんが「私生児」の意味もあると
書いておられたのを読んだので拝借してここに追記します。
ろくでなしとは作品に登場するフレデリック・デ・シンケルを
指すのだろう。退役軍人のルドヴィ・ケーレン大尉(マッツ・ミケルセン)
が荒野を開拓して農地にしようとするのを邪魔する極悪非道の男。
その地域を仕切っている有力者だけに質(たち)が悪い。権力を
持っていて周囲の人間は逆らえないから好き放題だ。
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(原題:Gladiator II)に登場する
双子の皇帝に匹敵する。
そんな奴の妨害に遭う一方で自然の脅威やら人的資源の問題やらが
障害となり心が休まる暇などなかったに違いない。だから「愛を耕すひと」
というロマンス的な雰囲気の題はちょっと合わないと思った。
誰かを愛するのは間違いないがそれだけがこの映画の主題ではないはずだ。
ケーレン大尉自身もただやられるだけではなく彼なりの方法で
解決しようとする。不利な状況を打破するには綺麗ごとでは済まない。
彼が取った行動もなかなかのものだった。
18世紀のデンマーク。アメリカの西部開拓時代のような、ならず者が
蔓延る世の中では自分の身は自分で守ることも必要だったに違いない。
ぶれない自分軸を持っていて信念を貫こうとする人はやっぱり強いし
必死の努力の先に得られるものは大きいと感じた。
史実に基づく歴史小説が原作。この映画では予備知識がなくても
時代背景や人物の成り立ちが分かりやすく描かれていて良かった。
小説用の創作や映画用の脚色は当然あっただろうが、とても
ドラマチックな内容だった。壮絶という言葉が本当にふさわしかった。
デンマーク・ドイツ・スウェーデン合作。デンマークが舞台の
デンマーク語の映画は普段観る機会があまりないから貴重だった。
おそらくデンマーク映画界の最高峰のスタッフ・キャストが集結して
製作されたと思われ、質の高い映画を観た充実感が得られた。
マッツ・ミケルセンの渾身の演技が良かったが他の出演者たちも
それぞれ印象に残った。
(余談)予告編を見た時、日本語字幕の「決して違う」という表現に
違和感を覚えた。「決してーーではない。」という使い方が普通では?
その部分は本編ではまともな翻訳になっていた。
今ひとつ主人公の心境がよく分からないのよ。
重厚な歴史ドラマ。デンマーク語(だよね)であるところが好感持てる。最近は大市場のアメリカを意識してかヨーロッパが舞台であっても全編英語っていう映画が多く違和感を抱くことが多い。ナポレオンが英語喋っている作品もあったよね。
舞台はデンマーク領ユトランド半島。「バベットの晩餐会」と同じ土地です。あれは海っぺりだったけど本作は内陸の荒れ地(ヒース)。時代は「バベット」のちょうど100年前です。
まずこの時代感というか主人公の生活環境の過酷さがいまひとつ表現できていないと思う。かたや仇役のシンケルの暮らしぶりのキンキンさ。デンマーク王国は全盛期はかなり豊かだったと聞くけど片田舎の荘園領主があんなウィーンのど真ん中みたいな生活していたかなあ。
映像は確かに美しいけどどうも土にまみれて大地を耕しているという感じはしない。小綺麗なんです。
最大の問題はルドヴィ・ケーレン大尉の人物表現。この映画の原題は「Bastarden」私生児です。原作にあたっていないのではっきりは言えないがこれは彼が周りからそのように呼ばれ蔑まれていたということでしょう。人格形成に影響がないわけがない。そのような経験は、上昇志向がありながら卑屈であり、時として優しく時として冷酷で暴力的な人間として、すなわち二面性のある複雑な人間を生み出すと思う。冷酷なところはならず者たちに罰を加えるシーンに表れているがその他、基本的にはこの作品はルドヴィ・ケーレンという人物の心の中には分け入っていない。全てマッツ・ミケルセンの重厚な演技で覆い隠されていて単に鈍重な我慢強い人にしか見えず今ひとつ心の陰影が見えてこないのです。演出のせいではもちろんあるのだが、ミケルセンの演技プランにも問題がなかったといえるのか?素晴らしい演技だ、名優だともてはやす声があまりにも多くて、天邪鬼の自分としては疑問を呈してしまうのです。マッツ・ミケルセンの最高演技は007のル・シッフルだと思っているひとなもんで。すいません。
男爵の由来じゃないよ
あんまり話題になっていないけど、マッツがでてるとつい見に行っちゃいます。
マッツはやっぱり、期待を裏切りません。それでも、誰でもわかる主演作があげれない、ライダーズ・オブ・ジャスティス?重賞もとっていないんじゃないかなぁ?
地味なこと以外は減点ができません。
史実を元に脚色していると思うけど、現代人の視点では結末も合格です。
原題はBastardenで英語から考えると「クソ野郎」なので、むしろこういう邦題を付けるとかえって敬遠するひともいるんじゃないかな。
作物の育たない荒れ地を開墾する話し。全く笑わない「クソ野郎」のマッツと作物がちょっとだけ生長するのを眺める作品。封建制を敷いている国であれば、どこでも成立するストーリー。空き地とお屋敷があればお金をかけずに撮影できそう。日本でも頑張ってリメイクしてみて下さい。
本作やイニシェリン島の精霊、燃ゆる女の肖像みたいな寒くて風が強そうな所は、食材のバラエティーがなくて、実にメシマズに見えますね。現代においてもそういったところの食事は単調ですもの。ビタミンなんて単離されてないとは言え、あのような食事をしていれば寿命は短くなるよね。それに比べると、同時期の江戸の町民の食生活は恵まれてるし、文化が発展する余地があるんだなと、見ながら思いました。あと、あの領主はフルーツゼリーがよっぽど好きなんだろうね。ケーキは手を付けてなかったけど。
配信で上がっていても気付かなそうな作品なので見ましょう。
ずっと見ていられる!
凍てつく心を耕したのは?
マッツ・ミケルセンの演技に圧倒された約2時間だった。
「007カジノ・ロワイヤル」や「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」しか映画ではお目にかかってないが、存在感がある俳優とマークしていた。
だからこそ、期待して「愛を耕すひと」(原題「BASTARDEN」の意味である「私生児」とはかけ離れているようであるが映画の結末から納得した)を鑑賞したのだが、期待以上の感動をもらった。
とても嬉しい❗
不毛の大地を独りでも開拓しようとするルドヴィ・ケーレンが、襲い掛かる自然の脅威と地主であるフレデリック・デ・シンケルからの非道な仕打ちに抗いながら、彼のもとから逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスとの出会いにより、ケーレンの凍てつく心に変化が芽生え、愛するようになっていく。
アンマイ・ムスとの別れと修道院で再会のシーンには涙が溢れた。
演じたメリナ・ハグバーグは初めての映画出演だが難しい役をこなしていた。
フレデリック・デ・シンケルのシモン・ベンネビヤーグの徹底したサイコパスな演技がこの作品をさらに見応えあるものにしている。
結末が予感できたためスコアを「4.5」にしたが、初めてのデンマーク映画、重厚な色彩の映画を観て良い時間を過ごした。
是非とも観るべき一作。
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