「18世紀中頃のデンマークの荒地を開拓した人物の姿を描いたヒューマンドラマ。開拓者の話に貴族社会の実態や民間信仰の話が加わり、重厚さを感じる作品でした。良作。」愛を耕すひと もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
18世紀中頃のデンマークの荒地を開拓した人物の姿を描いたヒューマンドラマ。開拓者の話に貴族社会の実態や民間信仰の話が加わり、重厚さを感じる作品でした。良作。
この作品の紹介を読んで、開拓者の話と知り内容が気になりま
した。デンマークの作品う観た記憶が余り無いので、その意味
でも興味あり。・_・です。
(デンマークと他国の合作品は観たことあるかも)
そんな訳で鑑賞です。
舞台は18世紀中頃のデンマーク。
開拓不可能と言われ続けていたユトランド半島の荒れ地。
そこを開拓した一人の男の人生を描いたドラマです。
骨太のヒューマンドラマ。
主人公の名はケーレン。年齢不詳。退役軍人。
庭師から軍人になり、25年を経て大尉になった。
身分も財産も無いこの男、開拓に成功したあかつきには貴族の
称号を手にするのが夢らしい。
経歴を考えれば、そこそこの年齢と思われる。
地方領主が使用人に手を出して生まれた私生児。家族なし。
庭師をやっていた経験から、土壌の知識があるようだ。
知識はあれど、とにかく土地が悪い。水が無く岩だらけ。
広大な荒れ地の中を探し回り、水分を含む土地を探しだす。
家を建てなければ。
畑を開墾しなければ。
何をするにも、働き手が必要だ。
教会の神父が、 ” 良い働き手がいる " という。
一緒に行ってみれば、若い男女の夫婦。
…彼らは奉公先を逃げ出した使用人だった。
男の名は…(あれ? CAST一覧に記載がない…)
女の名は、アン・バーバラ。
ワケありだが仕方ない。連れて帰る。
ギリギリ食いつなぎながら、開拓を続ける。
小さな女の子を囮にした盗賊に襲われたが銃で撃退。@△@
この少女、その後何度もニワトリなどを盗みにやってくる
のだが、雇っている者たちは捕まえようとしない。
” なぜ捕まえない? ”
そう問うと、こんな答えが。
” あの娘は南の生まれで呪われている。 関わりたくない”
” … ”
結局はケーレンが捕まえ、少女の住む村に連れて行く。
少女の名は、アンマイ・ムス。
村人たちと交渉。彼女と共に、村の住人たちを開拓要員とし
て連れて帰る。働き手の数は次第に増えていく。
ある日、領主の手の者が逃亡した使用人を探してやってきた。
居ないと答える。と、
” この土地の開拓には領主との契約が必要 ”
と、言い出す。どうやら
王の所有する土地をかすめ取ろうとしているらしい。
厳しい自然環境と戦うケーレンにとって、領主も敵となった。
この領主、「虚栄心の鎧」に「狂気の剣」を装備している。
思い通りにならない事が起きると、暴力をふるう。
分別の無い子供が権力を持つことの危うさ。その典型だ。
直接または間接的に、何人の命が奪われたことか…。@▲@;;
と、まあ
荒れ地との戦いに加えて、ケーレンは理不尽な領主や権威主義の
国の役人(貴族たち)とも戦わねばなりませんでした。
その戦う姿を、荘厳に・骨太に、かつ精彩に描いた物語でした。
事実に基づくお話かと思えば、ほぼ創作らしいです。 ・△・エッ
ちょっとびっくり。(ケーレンは実在の人物のようですが)
お話の骨格が良く練られているためか、リアリティ感じました。
「創作だが小説より奇なり」
そんな歴史大作でした。
観て良かった。満足です。・_・
そういえば
この領主の従姉妹で、政略結婚を迫られている娘(エレル)も
存在感ありでした。(女性の連携、見事です)@△@
◇あれこれ
■18世紀の半ばというと
日本なら、江戸時代の中期。
八代将軍吉宗の時代のあとから田沼意次の時代の前くらいまで?
年表を見ても余り目立った出来事は見当たらなかった気が。
当時鎖国中の日本。交易していた国はオランダですが、
デンマークはオランダより北東に位置します。
分類としては北欧に含まれるのでしょうか?
■デンマークといえば
有名な人としては、童話作家のアンデルセンでしょうか。
というか、それくらいしか知らないのですが…。
コペンハーゲン空港には、昔は童話がモチーフの飾りがあった
ような気がします。やはり、国民的作家なのかも。
(今もあるのかは不明です)
■デンマークの貴族社会
有力領主に劣悪な自然に貴族階級の保身と傲慢と。
日本の貴族と変わらない感じがしました。
退役した軍人に年金が支給される制度が18世紀からあったのが
西洋の国らしいなと感じました。(良く知りませんが@_@;;)
※武士の社会って、退職金支給してないですよね…?
■タタール人
アンマイがそう呼ばれ、仲間うちで爪弾きされていました。
また「南からきた」とか「呪われている」とも…。 ・△・;;
タタール人とはどの辺りの人を指すのか、気になり調べてみたら
「達靼(だったん)人」 聞いたコトある気が…
「モンゴル高原の遊牧民」 そうなんだ
モンゴル帝国のヨーロッパ遠征に同行 侵略者一味だから悪魔?
デンマークからみて南では無いような… はて。
アンマイの肌の色からは、中東(アラブ系?)のようにも思えた
のですが、もっと色々な事情等があるのかもしれません。
(少し調べてみただけで脳内キャパオーバーしました )
■痔のひと(…名前不明)
実は重要人物。・_・;
国とケーレンとの間を、まめに仲介してくれた人です。
単なるお笑い担当の人物と思ってゴメンナサイ。
この人のような人の記録のおかげで、今の人びとがケーレン
の存在を知っているのかなぁ と思います。陰の功労者。
※古今東西、人類を悩ませてきた病気ですよね♪(なぜ音符?)
■開拓といえば
日本の同時期だと印旛沼。 …江戸時代に何回も頓挫。
大自然との戦いの蝦夷地。 …明治期に大量の移住者。
個人で開拓する話は余り聞いたことが無い気がしますが
国から見放された土地だったこともあって、個人での開拓も
できたということなのでしょうか。
■パンフレット
買おうかどうしようか迷いながら売店に。
値段を確認して目が点に。予想の1.5倍。 うわ …@-@
どんな内容なんだろう と、 思わず買ってしまいました。
文章が多く、読みごたえあります。
…ありすぎて、まだ読み切っておりません。 頑張ろう @-@
(パンフレットの文字が小さくて、目がすぐに疲れるのです…)
◇最後に
「愛を耕すひと」のタイトルに寄せて・-・
耕したのは、荒れ地
植えたのは、じゃがいも
実ったのは、家族の絆 と 愛
そんなことを感じさせる邦題なのかも と。
彼の開拓した土地には、その後また新たな開拓者がやってきては
開拓地が広がっていったのではないか
そうだと良いなと想像をしたり ・_・シテマス
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
もりのいぶきさん、バトルですからね!愛と青春の旅立ちも、雰囲気タイトルでなんなんだ?ですよね。欧米中・香港・台湾映画などもっとすっきりと洒落たタイトルにしてますよね。でも配給会社関連の人達が頭抱えて考えてるのかなあ?それとも広告代理店?
もりのいぶきさん、コメントありがとうございました。私はこの映画を見るまでマッツに注目したことがありませんでした。でもこの映画を見てファンが多いことを知りそして納得しました。
こんにちは。
この作風で「痔」が出てくるとは。鑑賞しながら字面に反応しちゃいましたw
デンマーク映画って私も多分初めてです。
マッツじゃなかったらスルーしてたかもしれません。
値段見てパンフレット買うの断念しました。鑑賞料金よりも高いなんて。もしかしてマッツ様の写真集みたいな感じなのかなあと思ってましたがでもレビュー読ませてもらって今度他の映画見たときにでも買おうかなと考え中です。昔はパンフなんて4~500円くらいだったんですけどねえ。