劇場公開日 2025年2月14日

「複雑な人間ケーレンはマッツしか演じることができない」愛を耕すひと talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0複雑な人間ケーレンはマッツしか演じることができない

2025年2月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

頑固で軍人魂が体と生活に染み込んでいるケーレンは、全くもって開墾不可能な国王の所有地ヒースの開拓をし成功したあかつきには貴族の称号を得たいと願い出る。肥沃とは程遠い、ただただ広大な北の寒々しい土地。見ただけで倒れそうな、不毛を絵に描いたような大地だ。軍人の前は庭師だったケーレンはたった一人であちこちで地面を掘って土の様子を見る。やっと黒いほっこりした土を見つけるが大地そのものがやっぱり広すぎて倒れそうになった。

何度も倒れそうになった私は、マッツ演じるケーレンが頑固で冷徹一辺倒でないことにだんだんと気がつく。誠実で嘘を言わない。人を見る目がある。若い成り上がり貴族からの嫌がらせも邪魔も拷問も耐え抜く。その姿に使用人のアン・バーバラとダメ貴族のいとこで婚約者とされているエレルはケーレンを助ける。二人ともケーレンを愛しているが対立せず協力するところがいい。

ケーレンは冒頭でタタール人の少女アンマイ・ムスに既に出会っている。肌が浅黒いのは不吉だとドイツ人入植者に忌避されて仕方なく彼女を修道院に入れ、その後彼女を引き取りに行くという何回かの別離と再会を経て、ケーレンは彼女の「小さいパパ」となる。ケーレンの開墾と測量を手伝うアンマイ・ムスとの出会いはケーレンを確実に変えた。もともと備えていた優しさと愛がケーレンの中でほっとしながら花開いたようだった。セリフ少なく、以上のことをマッツは表情と目で説得力もって表現した。

この映画を見ていて、ドイツの作家クライストの小説「ミヒャエル・コールハース」を思い出さざるを得なかった。そのコールハースをマッツが演じた映画があるようだがまだ見ていない。見なくては!

おまけ
1)ドイツ人は「ジャガイモ食い」であると自虐的に表現したり言われたりする。でもどの国にもジャガイモを使った美味しい料理がある。この映画でもジャガイモとドイツ人の入植者が大きな役割を果たしている。
2)この映画では大尉としての退職軍人で年金(18世紀にも年金あったのか!軍人だから?)を開墾に使うマッツ。Netflix配信「Polar」でマッツはあと1週間で定年を迎え退職金を貰えるはずの殺し屋。マッツの実年齢と近い設定が面白い。両方の映画にマッツが老眼鏡をかけるシーンがある。とても好きな箇所だ。

talisman
まーさんさんのコメント
2025年2月25日

talismanさん
共感ありがとうございます😊いい映画でしたね🫶

まーさん
もりのいぶきさんのコメント
2025年2月23日

talismanさん、コメント返信ありがとうございます。・_・

>クライストのマッツ映画、
>すごいタイトル(邦題)になってます!
>「バトル・オブ・ライジング コールハースの戦い」

うーん。
「ミヒャエル・コールハース」だと、きっと「これ何?」
なヒトが大量発生しそうな気が(自分も含めてですが)
したのですが、自分が無知なだけかもしれません。。

このようなムリヤリ邦題の例として、昔の作品ですが
「愛と青春の旅だち」が浮かびました。
原題は 「An Officer and a Gentleman」
直訳だと「士官と紳士」

当時も、どうすればこの翻訳になるのか気になってました。…?_?

もりのいぶき
もりのいぶきさんのコメント
2025年2月23日

talismanさん、コメントありがとうございます。・_・

>開拓団は支配者からしたらコマみたいなもの

きっと、そんな扱いなのだろうな と思います。
あの財務省の役人たち、利益が見込めない事業には
カネを出す気がないように見えました。

外国も日本も変わらないのだなーと、苦笑するしか
なかったです。一人、国王に近い立場の役人だけは
また違う考えをしているようにも見えましたが。

江戸時代の将軍は絶対的な権力者かな と思いますが
デンマークの国王って、国内隅々まで威光が轟くほど
ではなかったのかも。などと想像してます。

それはそうと

>ドイツの作家クライストの小説「ミヒャエル・コールハース」

興味がわいたのでそのタイトルの映画を探してみた
のですが見つけられませんでした。
映画としては別のタイトルなのでしょうか。
また改めて調べてみようと思います。

もりのいぶき
レントさんのコメント
2025年2月20日

マッツ様が出てるだけでスクリーンが輝いて見えます。

レント
SAKURAIさんのコメント
2025年2月17日

タリスマンさんが楽しめたなら良かった!

SAKURAI
SAKURAIさんのコメント
2025年2月17日

幕張でそんなイベントがあったんですね!ちなみに幕張、千葉市周辺はホームだし、本作も幕張で鑑賞です。

SAKURAI
SAKURAIさんのコメント
2025年2月17日

確かに嫌われ役でしたね!マッツ!(笑)

SAKURAI
SAKURAIさんのコメント
2025年2月17日

マッツ調べたらインディ・ジョーンズと運命のダイヤルで出会ってますね(笑)

タリスマンさんの鑑賞作品見るとシブイ作品が多いね!

SAKURAI
SAKURAIさんのコメント
2025年2月17日

こんばんは~

マッツさんの作品を観るのは恐らく初な私ですが、高評価の理由はやっぱシンプルにストーリーがいいんでしょうね。

アンマイ・ムスちゃんが可愛いかった~

SAKURAI
Yumさんのコメント
2025年2月16日

もはやマッツの顔のシワが勲章ですね!遅くなってしまいましたが、フォローもしていただきありがとうございます🙇!

Yum
満塁本塁打さんのコメント
2025年2月15日

私も マッツさんの写真集 で 納得しました あっ❗️コラム群 タイトルしか見てません。
イイねコメントありがとうございました😊

満塁本塁打