オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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鑑賞後感傷に浸ってもむなしさが残る。
採点の通りとても素晴らしい映画でした。主に興奮させられたところ、映画後半にかけて複雑な気持ちになったことの2つに分けてレビューを書きたいと思います。
前者についてはストーリーの点で自身が工学を大学で学んでいることもあり大変興奮させられた。アインシュタイン、ボーア、(マクスウェルというセリフもあった気がしないこともない)など高校物理にも名を見せる科学者の名前があがり、ほんの70年前までアインシュタインが現実に居たなど想像もできず思わず笑みがこぼれてしまいました。
また近現代ということもあり当時の世界に入り込め、70年前の科学者たちが今につながる科学を歴史背景があるとはいえ、作り上げていったのかと思うと胸が熱くなりました。
回想的な映画の作りになっていったせいか、慣れるまでついていくのにも精一杯でしたが、後半になるにかけオッペンハイマーの微妙な心理変化や政治、当時の歴史背景などが自分の中でまとまっていってとても満足感あふれる映画でした。
後者について、後半の特にトリニティ実験前後にかけては涙がでてきて、考えさせられる内容でした。もしかしたら映画としてのメッセージは人の人生の頂点とその後についてかもしれないですが、日本人バイアス的なもの抱えながら鑑賞してしまいました。
本映画では広島、長崎に投下される直接的にシーンはありませんでしたが、トリニティ実験のような爆弾が70年前、普通に生活する人々の上に降りかかってきたんだと想像するとなんとも言えない気持ちになりました。普通に生活する人々とは当時の人々にとっては自身であり、親であり、友達であり、知り合いであり、本当に回りを歩いている普通の人なのだろうと思います。
もちろん東京大空襲など民間人の被害はありますが、トリニティ実験の映像と、自身の記憶に残る原爆ドームの皮膚がただれた蝋人形とのイメージとが重なり、鬱々とした心苦しい気分でした。
またその後のトリニティ実験成功、広島長崎での成功にかかるアメリカ人の反応は映画が終わった後も考えさせられました。
核抑止で収まる現在、人の命だけは団結して守ろうよという理想論も心をよぎるが、日常生活に置き換えて、そのような誰とでも仲良く、コミュニケーションが取れているような状況が身の回りでも取れていないのに、どうしてその理想論の着地点が考えられようかとむなしさが残りました。もしかしたら、そのように悶々と考え続ける程度が正義であり正しいのかもしれない。
工学者としては、科学者が使用についてどこまで関わるべきかという点にも少し考えさせられました。科学は科学そのものが単純にとても面白いですし、より深く探求しようと時間が進むにつれ発展してしまうものだとは思いますが、IPS細胞にかかる特許などその扱い方については少しは考え続けれたらいいなと思いました。
アメリカ人観客の心には何が残りましたか?
興行的にも成功し、アカデミー賞も受賞したこの作品、この時代に原爆をハリウッドがどう描くのか大変興味深かったです。
感想としてはやっぱり被爆国の人間としては複雑ですね。
ハリウッドが作って米国の観客がギリギリ受け入れられるラインがこの程度だったんかな?まぁこんなものかなと…。
そりゃ流石に米国が、ゴメンやっぱ原爆投下はやり過ぎだったわ〜と認める事など期待はしていませんでしたが、原爆投下に対する作品としての見解がイマイチ釈然としない印象です。(それは見た人が決めることという演出方針があったとしても)
被爆国に生まれた一個人としては原爆を作った事よりも(米国が作らなくても他の国がいずれ完成させたんだろうなと思うから)、実際に人に対して使った事に対してどういう気持ちなの?という方が気になるのですが、それを上手くはぐらかされた感じです。
映画の中盤で日本に原爆が投下された後、オッペンハイマーは自分の所業に打ちひしがれ、国の軍拡路線に反対の立場をとります。ここから映画は反軍拡派のオッペンハイマーと彼の失脚を企てる軍拡推進派の陰謀によって法廷サスペンスの様相を呈し(裁判ではありませんが)、それがなまじ面白いので原爆の是非という部分がなんか印象が薄くなります。
法廷サスペンスパートが落ち着くと再び原爆の是非という主題が明瞭になりますが、その頃には原爆を使った事より作った事にテーマが絞られていると感じました。これは主に米国の観客に作品への拒絶反応が出ないように考えた結果のような気がしますが、その配慮が被爆国の人間からすると歯痒いのです。(広島・長崎の被害を直接的な映像で演出しなかったこともこの歯痒さの一因です)
さらにこの主人公のオッペンハイマーが一見、物静かで繊細で思慮深い人物なのですが、冷静に見ると、
・女性関係がだらしない!特に妻が育児ノイローゼになると不倫相手に子供を預けに行くのが凄い!
・同僚が止めるのも無視して研究所内で共産主義の啓もう活動や学者の労働組合を組織したりする筋金入りかと思いきや、恋人、結婚相手、弟夫妻もみんな共産党員なのに自分だけはなぜか党員じゃない!
・トップシークレットの国家事業をしているのに素性もろくに調べず(気にせず)にドンドン人員をスカウトして事業に加えていく。(案の定ソ連のスパイが紛れ込む)
・『300年の物理学の成果が爆弾づくりか?』と乗り気じゃない学者に対して『まぁいいじゃん、そういうの。ノーベルも爆弾作ってたんだし』と説得(こんな適当な台詞では無いが印象としてはこんな感じ)
・プロジェクトを一緒に指揮する陸軍将校に軍服を着るよう要請され、特に抵抗なく着ているのを、他の学者に『お前は学者だろ!?そんなもん脱げよ!』と指摘されると、これまたあっさり軍服を脱ぐ
というように、わりと行動が軽くてあまり信念のようなものを感じないフワフワした人物なので、彼が苦悩する姿も演技や演出の切実さとは裏腹に何とも軽く見えます。
あくまでも劇中で描かれたオッペンハイマーから受けた印象で、実際の彼がどうだったのかは知りませんが、人としては『原爆落とされた人間が恨むのは作ったお前じゃなく、落とした俺だ!』と言い放つトルーマン大統領の方がなんか原爆投下の責を一身に背負う覚悟を感じて、信念がある人物に見えてしまいました。(あくまで映画のキャラクターとしての印象で…)
かつて見たマンハッタン計画のドキュメンタリーでは、原爆開発はアメリカ人にとっては輝かしい栄光の一ページであり、それによって出た犠牲者など全く視野に入っていないのだなと、複雑な気持ちになりましたが、それに比べれば決して単純なアメリカ礼賛、原爆全肯定映画ではありません。
映画はオッペンハイマー自身の苦悩だけでなく、彼を英雄と祭り上げ、ソ連のスパイとして追い落とした後、賞を与え彼の名誉回復を祝した人々に対してもその欺瞞を指摘してみせるというように、一個人ではなく人々全体が自分たちの行いを省みる姿勢を提示している気がします。
こんな感じで多少軽い印象はありますが、戦勝国側がここまでやったんなら十分なんじゃないか?と納得しようとしてしまうのは、自分が期待したものとは多少違っていても3時間の長尺を苦も無く見せられ、終始興味深く、鑑賞後に何かしら言いたくなる映画だったからです。
この作品を支持したアカデミー会員や米国の観客はどんな感想を抱いたのか、それがこの作品の意義を決めるのかな?と思いました。
複雑なストーリー
原爆の父オッペンハイマーの話。
本作時系列がバラバラかつ白黒の画が時間軸的には未来の話?ロバート・ダウニー・Jrの目線?非常に分かりづらいが、コレは考えながら見ることのできるまぁノーランの手法?ちょっと高尚に作りすぎか…
一見原爆を、作ったノーランの苦悩の話と思いきや、その後水爆の話でひと展開持ってくところがこの物語の深みを増していた。素晴らしいです。
前知識は無く見たが、登場人物誰が誰だか分からなくなったりもしたが、3時間見せる画力と演出あった。
戦争なんてない方がいい。
人の顔を覚えられん
良い点。
要所要所で素敵な奥さんの支えが描かれており、大変よかった。
賞は支えてくれた方々のため、という点はハッとさせられた。
今一つな点。
序盤から登場人物や時間、場所が織り混ざり、少し難解だった。また鑑賞したら話の繋がりを確認したい。
スパイを疑う展開はこの時代でこのテーマを描く作品として外せないのかもしれないが、終盤がやや長く感じた。
それよりも研究者としてどんなことを考え研究していたのかの再現ドラマ、プロジェクトX的なものを期待していたので、その点が個人的に物足りなかった。ので☆低め。
総評。
考えさせられることが多く、面白かった。180分を耐える気力がある時にまた観たい。
誰かに委ねた瞬間に後戻りできなくなる
トリニティの実験が成功した後に、オッペンハイマーが「原爆の使い方の責任は科学者にはない」と言ったことや、
原爆投下地を決める会議で原爆使用や水爆開発への正当性を指示する雰囲気、
日本への原爆投下後にオッペンハイマーが演説する際の聴衆の盛り上がり方。
今でこそ核拡張反対な意見は当たり前にあるからこそ、この映画内の空気に強烈な違和感、居心地の悪さを感じたけれど(日本人にとってはとくに)、
それは今の時代にも形を変えて起こりうる、もしくは起こっている可能性のあることなのだと、実感させられる。
映画の中では、原爆開発や実際の投下に反対する科学者がいたことも描かれてはいるが、世論の流れを止めるには至らなかった。
そして投下した後も正当化されて、さらに水爆開発も進んでいく。
作中で「いつ呵責が芽生えたか?」という質問にオッペンハイマーは、「人間はどんな兵器であっても使用するということが分かった時」と答えていた。
生まれてしまった恐怖に対抗する思想は、集団的な流れの中で増幅し、それがいかに非道なものであっても人間は選択してしまうことがある。
それを選択すべきではないという決意は、政治家であっても無くても、誰かに委ねることなく、全ての人間が自ら考えて意思表示していくことの重要性を改めて感じさせられた作品だった。
リアリティと垂れ流しは別物
とにかく長い上にぼやけた印象の作品でした。
散らかった部屋を高解像度で見せつけられるような感覚が3時間超。
大変申し訳ないのですが、疲れ果てました。
細かいセリフでリアリティを演出したいのはわかるのですが、
やりすぎてはただの無編集動画のように観客を疲弊させます。
伏線を貼りたいのはわかるのですが、ストーリーとして統合されなければただの散らかった映像です。
超高解像度の無編集動画といった印象。
考えさせられる、、
いろいろ考えさせられた。
ドイツ・ナチスとの対抗で原爆完成を急がねばならなかったこと、もしナチスが手にしていたらと思うと、、
完成時にヒットラーが生きていたら、最初の原爆投下はドイツだったかも。
彼のスピーチで「ドイツにも落としたかった」というのがあって、、
もし日独(伊)同盟がなければ日本投下はなかったのか、、
その彼は戦後、日本に来日しているんだよね、
NHK「映像の世紀」で記録映像が。
当時の赤狩りは苛烈だったのだね、チャップリンも追及されたし。
彼の元を離れた仲間がソ連のスパイだったらしいことも痛かった。
彼は女好き、ということらしいがモテたでしょうそれは、、若い頃の実写真、ものすごい美男子だし。
メキシコ州での初実験のシーンは、ひどくドキドキした、、炎と少し遅れてやってくる爆音にスクリーンだけれどもビビる、、と同時になんかひどく悲しくなった。
映画として楽しめる作品ではないけれど、ホントに考えさせられる。
どう観ていいのか良くわからなかった
アカデミー賞受賞作品ということで一層楽しみにして観に行ったのですが、『伝記』を描きたかったのか、『戦争というものに振り回される人々の思惑』を描きたかったのか、もしくはそれ以外なのか… 私の頭ではストーリーに追い付きませんでした。
オッペンハイマーという人に最後まで感情移入ができずに終わってしまいました。
なので結果『軍部にいいように使われた哀れな科学者のお話』としてしか観れませんでした。
一人で原爆を開発したわけではないのに、詰め腹を切らされただけだったようでした。
どこの国でも政治家が一番偉ぶるのでしょうね。
せめて広島・長崎に落とされた事による民間人死者数を『11万(だったと思う)だぞ!』と問い詰められた際に、『じゃああんたは何人だったらいいというんだ!』的な発言があればちょっとは感情移入できたかもしれません。まぁそれが言えてれば映画にならないんですけどね。
あと、台詞の数が多いのと、スピードの速さにもついていくのに必死でした。とにかくどのシーンでも誰かがしゃべってる感がありました。
次観る時には吹き替え版でみようと思います。
怖かった
事前情報や知識があればあるほど内容への理解がより深まる作品とは聞いていたので、わかっていたけれど自身の勉強不足をまじまじと痛感‥
知識を増やしてからまた改めて鑑賞したいです。
原爆についての知識も人並みかそれ以下、オッペンハイマーの名前はわかるけど‥程度のかなり勉強不足も甚だしい人間が観て強く印象づいたことを残すと、
怖かった‥‥‥
冒頭は、映画の中で語られる異国の一人の科学者の人生を振り返って垣間見てる〜といった客観的な視点でみれていたけど、
原爆開発が開始され、「日本」や「広島」という単語を聞いてからは、「世界有数の科学者たちの手で日本人をたくさん殺す兵器が出来上がっていく」という、これが使用された現実と惨状を先に知っているからこその恐ろしさが込み上げてきて、途端に怖くなってきてしまった。
原爆完成か否か、爆破前のカウントダウンで、努力してきた科学者や期待を込めた軍人が成功を祈る中、「あ、ついに完成するんだ‥」とじんわり戦後の死のイメージが自分の頭に湧き上がってきて、爆破まで2分前〜のコールのとき気づいたら怖すぎて泣いてた。
もちろん明るい気持ちで終われる映画ではないけど、何年後かに観たら感じ方や気になるポイントが変わりそうです。
科学・庶民・政治
通常のIMAXで鑑賞。
◾️感想・解釈込みのあらすじ
序盤はノーラン監督お得意の美しい宇宙。
IMAXレーザーGTで見たかったな〜と呑気に鑑賞。
研究室の雰囲気がリアルだなあと感心。
ピュー演じるジーンが死に、三位一体実験へ。
ジーンは作中で心理学を象徴していると思った。ジーンが死んでからは、オッペンハイマーは自我よりも大きな流れの渦中の人物となる。
最後は聴聞が中心となる。政治とはまさに、自分の立場を守るために陰で動くことだ。表舞台に立ちたがっていたのはストローズで、オッペンハイマーに投影していた?この辺りはストローズの件に関する私の前提知識が足りない。
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◾️要所要所の感想
爆発の予期不安は、オッペンハイマーのメタい発言があっても恐怖しました...いつ爆音が来るのかと...
結局、一番大きい音は熱狂する町の人たちの足踏みだったのが印象的です。戦争のイメージ、軍隊の行進も彷彿とさせました。
熱狂はその対象のためではなく、熱狂する人たちのためにある。
◾️その他
・デインデハーンは冷たい美で存在感。
・ラミも存在感。
・1日中育児をしたキティが「赤ん坊が泣いてるぞ」って言われて冷める反応がそうなるわなって感じだった。
◾️上映形式
IMAXレーザーGTで見たかったけど上映期間が短かった。。。題材が題材というのもありますが、あまり娯楽ではないので、リピートが見込めなかったからかな?
自身もアニメ映画に出演している声優の内山昂輝さんが、アニメ映画がIMAXレーザーGTを占領している状況に苦言を呈していましたが、IMAXレーザーGTの劇場が増えて欲しいですね。
リピートするかどうか...もう一度観たら気づきはありそうですが、小心者なのでしばらく爆発がある映画は避けたいです。
最後の聴聞は35mmフィルム版で観たいかなあ。
◾️追記
日本のことを描こうとすると、日本の庶民・政治を描かなければならず、流石に「オッペンハイマー」には収まらない。軽薄になるよりも匂わせ程度の方がマシなのではなかろうか。
他の方々もおっしゃる通り、被害に対する想像力は日本と他国では違ってくるとは思いますが。中途半端になるよりかは、道で嘔吐している人からの予期不安、その威力の関する科学方面からの最悪の説明と最後の展開、また人間の性質に純粋に恐怖しました。(科学方面からの説明が薄っぺらいんだよ!という他の方のレビューを読んで、確かにと思いました。トン単位の賭けや、ゼロに近ければ無視するんかい!計算を学べ!とも。)
オッペンハイマーの台詞にもあった、これから起こりうる不確実な未来への恐怖がテーマと感じました。
P.S.
ノーラン監督は、アメリカへの皮肉ジョークを毎回入れてくることも押さえるべきポイントかと思います。
テネットではブルックスブラザーズ。
今作ではアメリカ英語と、大統領の描き方(京都は新婚旅行で行ったとかの雰囲気)にシニカルな目線を感じました。
日本人としての後味が残る
まだいろんな考察を読んでいない中で、率直な感想です。
私がこの映画を観た背景で、60%くらい占めるのは、
ロバートダウニーJRが好きだから。
そのRDJが、原爆開発に携わるという役は、
どうしてもアイアンマンと重ねてしまい、
非常に良い配役だと思ったから。
あとはクリストファーノーラン監督とか、ビッグネームが多くタイトルも受賞している作品のため。
結論、やはり原爆を扱うテーマのため、
なんともいえない「悪い後味」が私には残った。
オッピー自身は葛藤がありつつも、
やはりアメリカの人間。
当たり前にアメリカ側の側面を映し出すことが多い。
これは戦争を題材としているため、観る側も
「史実」として受け入れなければならない。
私はなかなか直面することが30歳を過ぎても難しいし、正直、誰がロシア側のスパイだろうがどうでも良い。
冷戦のくだりは、そんなくだらないことに、
感情移入出来なかった。
また、最後の裁判風な詰問シーンは、
クリストファーノーラン味が満載だったが、
複雑ではっきりとは理解できなかった。
そういえばノーランの作品は、こういうテイストで
一回じゃ飲み込めないことが多かったのを忘れていた。
あまり予習をしないで観たため、エンドクレジットを観た時に、かなりの豪華メンバーに驚いた。
こういう題材を受け入れるためには
自分が無知すぎるため、もっと勉強しようと思った。
よくもまぁこんなものを作ってくれたなと
この映画。『オッペンハイマーは、悪人か仕事人か』を考えると、良くもまぁこんなものを作ってくれたなという程の泥沼にハマります。
彼は悪人であった。数十万人は死傷して、土地に甚大な被害を及ぼす爆弾を作った。たくさんの人や物は殺されたし、失われた。
彼は仕事人であった。国の為に爆弾を作り始めて、自分の意思が介入しないところで落とされた。人々は作った人では無く、落とした人を憎むだろう。
この2つ。どちらだろうと考え始めたら沼にハマる。
内容などについての話。
素晴らしい点
・賞賛する人々があげた歓声は、原爆被害者の阿鼻叫喚に聞こえる。
・賞賛と糾弾両方を描いた。
アレ?と思った点
・物理学者や科学者の名前、情報が多すぎて覚えにくい。
・共産主義などの知識が必要
つまり教養が必要なんですよ。教養のない僕には、知識の要らない善悪などの倫理や哲学の面で考えるしか無かったんです。事前知識があれば数倍楽しめそう。
天才物理学者オッペンハイマーの天と地
3時間の長丁場を眠気対策のカフェラテを飲みながら鑑賞したのだが睡魔が襲ってくるにつれカフェラテを飲み何とか3時間を寝ることなく鑑賞した(汗)
ソ連との冷戦時代に行われた赤狩りのシーンのほうがストーリーのメインで、要はオッペンハイマーは共産主義者ではないのに妻のキティをはじめ周りが共産主義者に囲まれているからソ連のスパイではないかと疑われた末に汚名を着せられた。
そのためかずーっと取調のシーン。
結局裁判で負けてしまうのだが亡くなるまでに功績が認められたところでエンディング。
オッペンハイマーの複雑な性格をキリアン・マーフィーが演じ切っているのも見事だったし、そこは評価するべき点だと思う。見る価値のある迫真溢れる演技には拍手を送りたい。
一部は原爆のシーンについて抽象的にしか描かれていない事に批判されがちだが、これは原爆映画じゃなくてオッペンハイマーの物理学者としてのキャリアのスタートから物理学者としての栄華を描いているので、分けて考えたら改めて凄い映画だと思う。
タイトルなし(ネタバレ)
日本では公開前に原爆を投下された広島、長崎のことが描かれていないということで非難もあった映画だったが、映画の主題としてはオッペンハイマーという人間を描いたもので、作品中に広島と長崎の描写が無くても何ら批判の対象ではないと感じる。
ただ、もし製作陣が被爆国の日本人であったら、記録写真や記録フィルムを挿入するのは当然かと思う。
敢えて言うなら映画としては素晴らしいのだが、なぜ挿入するまでに至らなかったのか。挿入したことでこの作品にとってマイナスなことはないように思われる。
原爆投下に対する認識や感情の違い、未だ根強いプロパガンダがそうさせなかったとするなら悲しい。
一方でマンハッタン計画のリアルな状況と、一般的な認識である「戦争の早期終結」に加え、「対ソ連」を見据えた政策であったことが新しかった。
タイトルなし(ネタバレ)
まずR15+ということで、少し過激な性描写が存在しますので、それらが苦手な方、避けたい方は鑑賞をおすすめしません。
ですがグロテスクな描写はほぼないといってよく、それらが苦手な人でも鑑賞に支障はないと思います。
原爆の父ということもあってか「原爆」の映画、という風に鑑賞前は先入観を持ってしまうと思いますが、「原爆」の映画という毛色よりも「オッペンハイマーという一人の人間の伝記映画」という毛色が強いことを頭に入れておくべきだと思います。
「原爆」に注目したと期待にして鑑賞に行くとおそらく肩透かしを喰らいます。
「オッペンハイマーという原爆の父と呼ばれることになる一人の人間の人生・人物像」「当時のアメリカの時代背景(公聴会などの文化/アメリカ科学研究の発展、特に共産主義思想/勢力に対する姿勢)」「(前の要素と関連しますが)二次大戦・冷戦をはじめとする当時の世界の様相」これらの要素に興味がある方ならおそらく楽しめる映画ではないかなと感じます。
なのでこれらにあまり興味がない、という方にとっては長かったり、理解が難しかったりしてつまらないと思われるかもしれません。大々的にハリウッドで公開された映画ですが結構人を選ぶ映画だと思います(俗な話を言えば、デートやファミリーでなどの鑑賞は同伴者が合わないと感じる恐れがあるので、避けた方がいいかもしれません)。
先ほど挙げた三つの要素の中でもオッピー(オッペンハイマーの愛称です)という人間については結構多くの方が興味を持ちやすいと思います。非常に緻密な描写がされていて、オッピーという人間の内面に近づけます。オッピーという人間をどう思うかは個人によると思いますが、リアルな苦悩を抱える様子など非常に生々しい人間を描けていると思います。オッピー自身した発明に対してすごく人間的なんですよ。ある意味(性欲をプラスした)無垢な子供というかね。(子供を見てイライラしちゃうタイプの人はあんまりこの映画は合わないかもwとあるシーンでぷるぷる震えちゃうオッピーとかなり子供のように見えました)
僕は「オッピーという人間を楽しむ映画」だという風に途中から捉えて、非常に楽しめました。
考えさせられる映画。史実を知らないと難しいが観れば理解はできる。
史実なのでネタバレではないと思うのですが、鑑賞まで知りたくない方は読まないで下さいね。
まず、映画館で観る価値があるかどうかですが、私は映画館で観て良かったと思いました。
なぜなら私は普段は戦争の話は胸が締め付けられすぎて苦しくなるから苦手で避けていますし、アメリカの史実や物理など知らないので、自宅での鑑賞だと途中で諦めて観るのを止めていたと思うからです。そんな私でも途中から理解は出来ましたし、約3時間飽きることなく最後まで観られました。そして終わってからも頭の中をグルグルと回って考えさせられましたので観てよかったです。観るべきでした。
そんな私がそもそもなぜ鑑賞したのか。広島長崎の直接的な描写はないので前述の通り戦争の話を観ないと決めている私でも一応大丈夫ではと判断。また、持っている映画鑑賞券の有効期限が近いためという後ろ向きな理由が一番大きかったです。
史実を知らないままの鑑賞だったので、聴聞会が大半を占める構成もなぜなのか分かっていませんでしたが、段々と理解はできました。
物語はオッペンハイマーの私生活や計算による討論中心で、実際の原爆が作られる様子は殆どなかったので、いつのまにか原爆が完成されて話が一気に進んだ印象。
オッペンハイマーは原爆の開発はしたものの水爆には反対、この理由については明かされておらず疑問が残りました。史実でもここは謎なのでしょうか。
広島長崎後の聴聞会の場面で、私が色々疑問に思った点が明らかになっていきました。伏線回収のような。史実を知っていれば疑問でもなかったかもしれませんが、私は無知でしたので。それでもおかげで理解はできました。その後の話の方が原爆投下以前の話よりメインのような。長かったです。
原爆開発に突き進むオッペンハイマーに、
「私は参加しない。罪のない一般人もたくさん死ぬ。物理学者はそんな事のために存在するのか」
と涙ぐむ物理学者の友人がいるのに、オッペンハイマーは突き進んだ。
この後の展開を見る限り、彼はこの時はただ研究に邁進しただけかもしれないが、原爆投下による死者は5-10万人しか(しか?)出ないとしっかり推測していた。実際の22万人に比べれば少ないかもしれないが、それでも多すぎる死者数なのに戦時中で感覚が麻痺していたのか。
私が少し救われた点は前述の物理学者の友人以外にも所々ありました。
ヒトラー亡き後、空襲で既に壊滅状態の日本に原爆を投下する必要はないと訴えた科学者が居たこと(オッペンハイマーは残念ながら、原爆の直接的軍事使用しか方法はないと否定しています)。 また、原爆実験成功自体は喜んでいたオッペンハイマーですが、広島長崎の原爆投下を知った後は苦悩し、「私の手は血塗られている」と語ったこと。周りのアメリカ人はこれで戦争が終わり多くのアメリカ軍人の命が救われたと歓喜の渦にあったので、対照的でした。ここの苦悩はかなり表現されていて素晴らしかったです。
唯一の被爆国である私達が観てもアメリカは決して真っ黒ではなく、所々に白、もしくはグレー、または黒から薄い色に抜けていった箇所があり、考えさせられる映画ではないかと思います。未だに戦争が絶えないこの世界でたくさんの国に上映されてほしいです。
たしかにノーランらしさはあんまりなかった
みんなのレビューが適切なので気になったとこだけ列挙する。
長い。まぁそこは知ってたから良いけど
最初の方から白黒シーンとカラーシーンの繋がりがよく分からなかったのが回収が遅いのでもうちょっとわかりやすく出来なかったか、なんならモノローグでばらしておいても良かったのではないか。
実験のシーンでそんなに衝撃を受けるほどの衝撃がないのは核爆発じゃないのが見て分かるから、爆発シーンはそりゃ難しいし、なんと言うか燃焼シーンはCGってわかりやすいってのはある。
アジア人は一切出さないのはアメリカの物語にしたかったからかもしれないが、原爆被害者のかけらも映さないで目を背ける描写でアメリカ人にどこまでとどいたやら、、、
時系列が難しかった
世界史の知識が乏しいと深く理解できない。学生のときに、ちゃんと勉強しておくべきだった!
広島・長崎への原爆投下シーンが描かれていなかったのが物足りない気がしたが、オッペンハイマーは実際には見ていないのだから、彼目線の映画としては、それでよかったのだと思う。
原爆製作に成功したと言って喜ぶ姿は腹立たしかったが、鑑賞者にそう思わせることも演出なのだろうか。
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