オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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難解作品
クリストファーノーランのファンでこの映画を待ち望んでいたが、2023年内の公開は無さそうということで、2023年の夏に韓国で。そして日本で公開されてから再度鑑賞した。
テネットをはじめ難解なノーラン作品は今に始まったことではないが、この作品は前提知識がないと理解がかなり難しい。登場人物が多くそもそも名前が覚えられない、アクションが少なくセリフメインのため若干退屈。韓国で観た時は自身の英語力の無さから理解できないものだと落胆したが、日本語字幕で見たとて人物の関係性などは解説なしでは理解できなかった。
そして、この映画戦争映画ではないことに留意する必要がある。原爆の描写については日本人にとってセンシティブだとは思うが、あくまでオッペンハイマーの伝記的として描かれているので、原爆については浅い描写だった。それが良い悪いではなく、戦争映画ではなく伝記映画なのでこれは当然なのだろうなと思った。
ノーラン作品の時点で個人的には高得点をつけたいのだが、前提知識がそれなりに必要なことと単純に映画として感情の起伏が起きなく、少し冗長に感じたのであまり高くない評価をつけた。
個人的には多少のネタバレはされてでも、YouTubeなどで解説が上がっているので解説を見た上で映画を見た方が満足度は高いと思う。
オッペンハイマーの世界観に没入する
賛否両論のレビューを見て、しばらく観ることを躊躇していたが、逆に自分はどのように感じるのか確かめたくなり映画館へ。結論としてはノンストップでオッペンハイマーの世界観に没入してしまった。180分間に原子爆弾が“存在しない世界”から、“存在する世界”への時代性を追体験。そして博士が取り憑かれたように原子爆弾の完成という目的に突き進む姿と、完成した後に我に返り苦悩する姿に感情移入する。観ているこちらも実験成功した瞬間に全てのピークを迎え、徐々に冷静になっていく。
原子爆弾は無差別に大量殺戮を行う兵器であり、その創造は悪魔の所業に変わりない。しかしながら、研究開発する過程は人知を集結し実現困難な事を成し遂げようとするエネルギーで溢れており、劇中は兵器を作っているという引け目を感じさせない。新しいものを創造しようとする組織と、それを利用し実行しようとする組織の合理性を極限まで追求する事への危険性を感じた。過激な表現ではあったが、オッペンハイマーの私的な経験と他者との関わりは彼の人間性を理解する上で役立った。
芸術的なまでのパワープレイ
前提として
・原作と思しきものは未読。
・予備知識もほとんど調べずに視聴。
・クリストファー・ノーラン監督の他作品は『プレステージ』、『ダークナイト』三部作、『インセプション』、『TENET』を視聴済。
面白かった。そこは間違いないのだが、非常に難しかった。
正直に言って理解できてないところも多数ある。
まずはオッペンハイマーの心情描写。ここは理解できた。ここが十分に深いので、予備知識がほとんど無いままに観ても面白いと思う。
同じくストローズの心理描写もある程度理解できたと思う。少しだけ自信は無いが、オッペンハイマーへの感情はなんとなく理解できた。
主要二人はなんとなく理解できたが、他の人物たちまでは理解できてない部分が多い。
何より登場人物が多い。現実の伝記だから当然と言えば当然なのだが、上映時間だけで記憶して一人一人判断するのは無理。
それでもある程度は工夫されていると思う。久しぶりに出てきた人物名には一瞬だけカットが入るなど。
ストーリー(というか構成)の方だが、会話がメイン。専門用語や当時の時事ワードがびっしり、かつ時系列が大体3分割ぐらいある(視点は2つ)。なので情報量が異常に多い。しかも3時間あるし。
ただ、伝えたいメッセージは明確に伝わる。
"オッペンハイマーの人間性と後悔""核の危険性と世界へ与えた影響""我々が置かれている現実"。
日本人だからこそ言いたいことがあるかもしれない。他国の見解も聞きたい気持ち。
分からないことが多くて引っ掛かった。話は進むし、状況が良いのか悪いのかぐらいなら理解できる。その上でやっぱり引っ掛かる。
完全に理解しようとすると、科学だけでなく政治や哲学の知識も必要になってくるので、知識ゼロのまま観に行くとかなり苦戦すると思う。実際苦戦したし、解説動画等を観て少ーーーーーーしだけ理解できた。視聴後ですらそんな状況である。
が、これは好き嫌いの範疇だとも思う。映画をざっくり観たい人にはオススメできない。
音楽は相変わらず"ノーラン映画"って感じだけど、クラシックの良さは変わらずに美しい旋律が流れる。物理学を一種の芸術と捉えるような、そんな旋律。
とか思って音楽家の方を調べたら、『TENET』以外は担当していないのですね。似た旋律があったから同じ人だと勘違いしたのかもしれない。
映像も美しい。本当に美しいのだ。科学・物理学の芸術とも言うべき光景が自然界にもあることを再認識させてくれる。雨、風、植物、エネルギー、原子……。
字幕なしでここだけ観るのも悪くない。
難解で、会話だけで長ったるいはずの、しかも3時間ある映画。なのに話の重要な点は伝わるし、何よりも飽きさせない。省くべき無駄な部分も無い。ノーラン監督のパワープレイ。
配信されたらもう一回か二回観直して理解したい。難解だけど、引き込まれ理解したくなる。
そんな作品。
余談だけど、実在する人物の生涯を描くときは、どこかの時代だけ切り取るか、時系列を入れ替えた方が"物語"には適してるんだろうな、と納得した。
そこまで批判される映画では無い
日本で特に被害なあった方も居るので公開は賛否ありますが、原爆投下後の後悔や苦悩も描かれており
実際に彼は新しい原爆担当者から外れ開発に反対していましたので時間が経てば何をしても良いと言う訳では無いですがドキュメンタリー、歴史物で語り継ぐ為にもこう言う映画はあって良いと思います。
この映画が批判されるなら逆に新海誠監督の「すずめの戸締まり」は大地震がメインみたいな物で東北の大地震から10年は経過してますが大地震を扱うのはまだ早いのでは?と思いました。しかも地震の原因があの化け物みたいなって・・まだ記憶に残ってる人が多い中、特に被害にあった人はどう思ったのかと。アニメ空想と事実と作品は違えどオッペンハイマーもよりも悪質にも思えました。
ダメだった。
うーん、ダメだ。やっぱり被爆国の国民としての感情がどうしても湧いて来てしまって、原爆の犠牲者の事、アメリカの政治的なことなどが頭をよぎってしまい冷静には観られなかった。
作品としてはオッペンハイマーの人生に迫る映画だって事はわかっているけど、実験が成功した時は、あぁ…作ってしまった…と過去に見た広島や長崎の被爆地の映像がよぎってしまった。
その後の実戦での成功に対するアメリカでの賞賛の様子も、胸が苦しくて観ていられなかった。この裏で多くの日本人が亡くなっているのに、という感情をどうしても消して観ることが出来なくて。
最近は少しずつ若いアメリカ人の間で認識が変わって来ているとも聞くけど、「原爆投下は正しかった、戦争を終わらせて両国の犠牲者を減らすために、仕方ない事だった」という多くのアメリカ人の認識はあんまり変わっていないんだなぁ、とこの映画を観て改めて感じさせられた気がして、なんだか胸が苦しく悲しくなってしまった。
だから、原爆を作ったオッペンハイマーの苦悩は、原爆によって死んだ被害者たちに比べたら、どうしても私にとってはそんなに辛い事とは感じられなくて、映画の言わんとしている事は頭では理解はしたけど、どうしても感情的には共感できなかった。
それから、気になってトリニティ実験に立ち会った人たちの死因を調べたら、オッペンハイマーとサングラスをしなかったリチャードさんは癌で亡くなったらしい。やっぱり影響なのかな?他の人の死因はわからなかった。
博士が見た未来のフラッシュバック
2023年の全米公開時辺りで広島サミットが行われており、電撃訪日していたゼレンスキー大統領が原爆慰霊碑の前で神聖な気持ちで頭を下げていた事を全世界に中継されていたのに『バーベンハイマー』とふざけた言葉が一気に見る気が失せた。
戦後の我々日本人は漫画『はだしのゲン』で放射能による原爆症のグロテスクな模写を見ている。
また戦後、ウランやプルトニウム爆縮形の核爆弾よりも強力な原水爆のキャッスルブラボー作戦が行われた時、第五福竜丸が死の灰を浴びて船員の放射線障害を受けていたと日本の医師が主張していたのに、合衆国側は肝炎だと嘘の主張をしていたのをドキュメンタリーで見た。
オッペンハイマー博士は、現代の世の中でICBMの核武装の未来をラストのフラッシュバックで描かれていた事から、時間を戻す事が出来ない事をやってしまったことに酷く後悔して苦悩されていた個人的な映画だったので、オスカー賞を取ったのは頷けます。
この映画で、どんなことがあっても核を使ってはならない事も主張しているように思います。
歴史の裏側を知りたい方におすすめの映画
2024年の77回カンヌ映画祭中にカンヌにいたキリアン・マーフィーの主演映画。
原子爆弾を作った天才科学者の苦悩を描いた映画。
モノクロとカラーの両方から、時代や視点を変えて描かれていて面白かったが、
長くて複雑で非常にわかりにくかったのは否めない。
当時のアメリカや、技術開発をしていた技術者たちがどのような背景で、
どのような苦悩を抱えながら開発していたのかが理解できた。
社会の流れや政治、権力構造など様々な思惑が錯綜していて、
科学者の意思決定だけでは動けない状況になっており、見ている人も葛藤させられた。
決して、戦争で勝つことやむやみに人を殺めるために開発していたのではないということもわかった。
水素爆弾を作ったのは、テメェのメンツのことしか考えてない忘八者共でした
この映画、広島や長崎の被爆者団体が指摘している「原爆の被害を描いてない」ってのは確かにその通りです。しかし、はっきり言いますがそれよりも何十倍、何百倍も大事なことを描き切ってくれました。
原爆開発に成功したオッペンハイマーは、水素爆弾の開発には消極的……というより明らかに反対していました。それは、水爆を作ってしまった後の世界情勢を見通していたからなのですが、オッペンハイマーよりも大きな功績を上げたいテラーやらローレンスやらが当時アメリカ国内に吹き荒れていた赤狩りを利用して公聴会を開きました。これはもしも裁判にすると、原告側は立証責任を果たさなきゃいけないという事情もあります。
で、その公聴会を主導していたのが、オッペンハイマーに対して個人的な恨みを持ってるストローズです。
つまり、水爆なんていう人類を滅ぼす力を持った兵器を作った連中は、嫉妬だのあの時恥をかかされただのに顔を真っ赤にするようなケツの穴の小さな雑魚だったというわけです。
そんな喧嘩はバーでやればいいのに、奴らはオッペンハイマーの上にのし上がる手段として水爆を開発しました。
「嫉妬に狂った中年男」は、本当に怖いと改めて思い知らされる映画です。
ん〜原爆を作った科学者は英雄だった?
「near zero」
終映間近に小さい映画館で鑑賞、それでも見応え十分だった。
いつか再上映の機会を期待する作品の一つとなった。(キーになるような深いセリフは一度では理解しきれなかった。また今更ながら各フォーマット(特にIMAX)で観てみたい。)
ノーラン監督が映画で魅せる量子力学の表現、今回は合間(特に前半)に差し込まれるCG映像がとても美しかった。
アカデミー賞7部門受賞の一つ、音楽賞を受賞したルドウィグ・ゴランソンの音楽は、緊張と不安を持続させながら物語に勢いをつけて進展させる力があるように感じた。
現代史を取り上げると、細かいエピソードなどが本当にあったことなのかと思ってしまうが、本上映を機に文庫化された原作があるとのこと。監督が原作をどのように解釈したのか本もいつか読んでみたい(文庫版で3巻各400ページ...)
後半、オッペンハイマーの聴聞会とストローズの公聴会は、やや冗長に感じたが、あえての演出なのか。(ふと映画「東京裁判」を思い出した。)
エンドクレジット前の最後、CGで描かれたリスクは、決してzeroにはならないと監督が警鐘を鳴らしているとも感じた。
劇中何度か口にされる「near zero」が耳に残った。
【二度と見たくない映画】
サブスクがおすすめかも。。
天才科学者の喜びと苦悩
色々と考えさせられる深い映画だった…
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